第4章【CL編】
53話
「修二大丈夫なんかな。」

「俺達に勝った男やで?信じてみようや」

「あぁ、アイツはここで止まる様なやつじゃねーよ」

「僕もそう思うよ、最後のシュートなんて修二らしさが出てたしね」

「俺以外のキーパーに止められるんじゃないぞ。」

彼らはカンプ・ノウの中でシティの反撃を望む数少ない者達だがシティの反撃を恐れる者は要塞の中に大勢居た。

シティのキックオフ。開始と同時にバルサはハイプレスを仕掛けボールを奪おうとするがシティも想定内だ。バックパスを繰り返しキーパーのエデルソンまで下げるとそこから速いパス回しでデブライネの足下へ収まる。ビダルが寄せに来るとシルバへ渡しシルバもビダルが寄せに来るとデブライネへ渡すバックパスも混ぜたパス交換でシティはジリジリとラインを上げる。修二はいつもより低い位置でボールを待って居た。デブライネからシルバにボールが渡りビダルの寄せがないのを確認し前を向くと4枚の攻めのカードが一斉にバルサゴールへ向かって走り出すとバルサもラインを上げオフサイドを狙う。4枚の内3枚はラインを超えボールを貰えば笛がなっただろう。修二がボールを収めると笛はならずキーパー1人対シティの4FW。修二は視線でフェイクを入れキーパーの出方を伺うとテア・シュテーゲンは賭けに出てアグエロと修二の間に飛び込む。
いたずらな笑顔のままテア・シュテーゲンを手玉にとった修二はテア・シュテーゲンを避けそのままゴールネットを揺らす。
シティは1点差を追いかける。自分でゴールへ入れたボールを持ってピッチの中央へ置くと天に向かって指を1本突き出し叫んだ。

「エースは俺だ!!」


「「「…プッ、ブハハハハ!!!」」」

「今日何回笑わせる気だよ!」

「このアグエロ様からポジション奪ってから言え!」

「どんな形でもいい。勝つぞ!!」

「「「おう!!!」」」

観客もバルサの選手も呆然としていた。負けているチームの方が笑ってピッチに立っている。そんな異様な空気の中試合はリスタート。
1対2の試合展開から両チーム守りに入る考えはない。
シティはボールを奪いカウンターでアグエロの足下へ収まり前を向くとスターリングへスルーパス。中には修二とザネ。グラウンダーのクロスは修二のスライディングした足に当たりゴールへとコースが変わる。
しかし、ピケもスライディングでそれを阻むとボールはビダルの足下へ収まる。切り替えの早いバルサは神にボールを託し雪崩のようにシティ陣地へ走り込む。
細かいマークチェックをしながら最終ラインを統括するフェルナンドと神がマッチアップ。
ボディフェイントのみでドサッとフェルナンドが尻もちを着き抜かれる。独特なリズム、テンポのドリブルに1人また1人と抜かれキーパーすら抜き去る。神は5人抜きの偉業を成し遂げると無人のゴールへ流し込みシティをまた突き放す。
後半10分カンプ・ノウが息を吹き返すように盛り上がる。


東魁 ( 2020/09/24(木) 13:19 )