45話
クラブ・ブルッヘ戦ファーストレグ(アウェイ)
「今日の相手はクラブ・ブルッヘだ!
鬼のフィジカル ディアニェ、スピードスター オケレケ、俊足ドリブラー ディアタのFW
スタミナお化けのキャプテン フォルメル、『戦艦の舵取り人』生田、『赤い悪魔の化身』アザールのMF
マンマーカー メレへ、脅威のロングパス デリ、何でも屋の左サイドバック ソボレ、豊富な運動量の右サイドバック マタのDF
元リバプールでベルギー代表のミニョレがキーパーだ。
小技を多用せずフィジカルとスピードでガンガン攻めてくるアタッカーにキープ力随一のアザール、安定感のある生田が加わりさらに強くなったチームだ。パリ・サン同様簡単に勝てる相手では無い。気を引き締めて行くぞ!」
「「「おう!!!」」」
「修二、久しぶり」
「お、翔太!日本じゃ結局対戦しなかったからな。今日は倒すぞ」
「お手柔らかに」
「冷たいな翔太!修二くん。君のマークは翔太だから気を付けとけよ!」
「アザールさん!そうか、やってやんよ」
イタズラな笑顔でその場をあとにしスタジアムに入っていく。
翔太にボールが渡り前線へロングフィードをディアニェがヘッドで落とし走り込んだディアタの足元へドリブルを警戒するシティはストーンズが詰めると俊足ドリブラーはチップキックで抜け出した右サイドのオケレケが中へ折り返すと走り込んできたアザールの足元ドンピシャ。
間一髪シティDFのラポルトのスライディングでシュートが弾かれるとロングフィードを出したはずの翔太が走り込んで足元へ
「な、なんでそこにいる!」
「お前さっきまで自陣の奥深くに居たろ!」
シルバとデブライネが焦りのあまり声を出す
翔太は走り込んできた勢いそのままゴールへ向けて強烈なシュートを放つ。エデルソンの反応惜しくゴール右隅へ決められた。
ホームでの先制点にクラブ・ブルッヘのサポーターは盛り上がる。
「修二、これが俺のサッカーだ。」
「流石だ。超えてやるよ」
クールに翔太が笑うと自陣へ戻って行った。
シティは得意のポゼッションでリズムを取り戻そうとするが翔太の高速プレスとコーチングが進軍を阻む。
フィジカル中心のチームに頭脳戦最強格で守備的な選手からリベロへと変化を遂げた翔太が入ったことで飛躍的に伸びたクラブ・ブルッヘに苦戦を強いられていた。
シティの支配率は60近くのはずだがゴールを決める所かシュートを1本も打たせて貰えず前半が終わる。
「デブライネ、シルバ!消極的過ぎるぞ!縦パスどんどん入れてけ、ボールを持ってもシュート打てなきゃなんの意味も無いぞ!」
「「おっす!!」」
「修二、マークを剥がせないと話にならんぞ。スピードはお前に分がある。難しいことを考えるな。」
「おっす!」
それぞれ細かい指示を受けピッチへ戻り後半が始まった。
「修二、ボールは触らせないよ!」
「まるで渡辺みたいなディフェンスだな。正直苦手だが勝つのは俺たちだ。」
「成長したのは修二だけじゃないんだよ」
またも修二へのパスを翔太がカットし右サイドを駆け抜けるアザールへスルーパスが通る。絶対的キープ力で味方の上がりを待ち中に入れると見せかけアザールの1列後ろまで走り込んで来た翔太に落としセンタリングを上げる。
2度目の奇襲にペップが焦るが選手は冷静であった。
ストーンズがヘディングで弾くとこぼれ球をデブライネが拾いアグエロの足元へ素早いパスを入れる。
左ウィングのスターリングへスルーパスするとダイレクトで翔太がマークを外した右ウィングの修二に折り返しキーパーと1対1。スピードに乗った修二は勢いそのままシュートを打つもキーパーの手に当たりコーナーキックに。シティサポーターからは決定機を逃したショックでため息が聞こえた。
後半も残り10分コーナーキックをデブライネが上げると翔太がヘディングでクリアする。
しかし、コーナーキックの競り合いに参加しなかった修二のもとへ転がったボールをダイレクトで放つ。ボールはドライブ回転でバーの下を掠めながらゴールへ入っていった。
同点ゴールにスタジアムに居たシティファンは大盛り上がり。監督に言われた通り難しいことを考えず本能でこぼれ球の場所を嗅ぎ分け本能のままダイレクトでシュートを放った。
1人のストライカーがさらに覚醒した瞬間でもあった。