02
菅原「・・・こんなの着るの!?」
菅原は衣装を見て思わず声を上げた。
菅原「ちょっと・・・こんなスケスケじゃ下着丸見えじゃん」
しかし他の出演女性は、特に驚いてる様子もなく着替えはじめていた。
三着の衣装が準備されていたのだが、用意されていたのはシースルーのワンピースだったり、際どい形状の下着のようなものだっり、日常ではお目にかかれないものばかりだった。
更にバタフライマスクも用意されていた。
菅原「ねえ嶺奈ちゃん、これ何かヤバくない・・・て、嶺奈ちゃん!?」
菅原が振り返ると、そこには淡々と衣装に着替えている一色の姿が目に入った。
菅原「嶺奈ちゃんっ・・・!」
一色「ん?まーやんも着替えないと。リハ始まっちゃうよ」
菅原「え・・・こ、こんなの着られない・・・嶺奈ちゃん大丈夫なの?」
一色「・・・恥ずかしいの?」
菅原「えー?だってこんなの人前で着るなんて・・・」
一色が怪訝そうな表情で菅原に小声で耳打ちをする。
一色「ねえ、まーやんって・・・したことない?」
菅原「?何のこと?」
一色「ほら、だから男の人とそういうことを」
菅原「・・・?そういうことって何?」
一色(もしかしてとは思ったけど・・・)
菅原のキョトンとした表情を見て全てを察した。
一色「まーやん、ちょっと待ってて」
一色は小走りにディレクターの所に向かい、何ごとかを会話をはじめた。
D「え!!そんなこと聞いてないよ!」
突然大声を上がると、菅原の視線が一色とスタッフのほうに向いた。
D「あ・・・」
D「いや、アイドルグループの事務所所属だとは聞いてるけど、彼女のマネージャーと打ち合わせしたときはそんな事言ってなかったし・・・」
一色「そうなんですか・・・」
一色とスタッフは小声になって話していた。
D「連絡してみるよ・・・。あ、君!リハーサルの準備できたら始めてて!」
ディレクターはスマホを取り出しながら、近くにいた別のスタッフに指示を出す。
菅原「何かあったの?」
一色「ん、何でもない。リハいこ」
菅原の手を握り歩き出す。
一色「・・・頑張ろうね」
菅原「う、うん」
何か含みを持たせたような感じに違和感を覚えたが、他の出演者と合流してリハーサルへと向かっていった。
菅原(やっぱり恥ずかしい・・・)
まだ観客が誰もいないランウェイを、ほぼ下着の衣装で歩いていく。
見ているのは数人のスタッフと、何かの撮影用だろうか?ビデオカメラのセッティングが行われていた。
菅原(嶺奈ちゃん、堂々としてるなあ)
菅原(卒業してから色んな経験してきたんだろうな)
菅原の前を歩く一色を見て自分は緊張してガチガチだし、まだまだだなと感じていた、
出演者がリハーサルをしている頃
D「ええ、そうらしいんです」
D「え?ええ・・・」
D「好きにって・・・本当にいいんですか?」
D「・・・はい。分かりました」
ピッ
D「ふぅ・・・何だよ、マネージャーも彼女が男性経験ないって知ってたんじゃないか」
D「でもうちらに任せるって言ってたし・・・少し内容変更するか」
ディレクターは急な演出変更に頭を悩ませていた。
リハを終えた出演者達が楽屋へと戻ってきた。
D「ちょっとみんな集まって・・・あ、茉椰ちゃんはそこで休んでていいよ」
菅原を除く4人がディレクターと共にパーティションの裏へと姿を消した。
数分後、打ち合わせを終えて戻ってくる。
D「じゃあ14時から本番だから。よろしくね」
ディレクターが楽屋を出ていく。
菅原「うわあ!ねえ嶺奈ちゃん、凄い豪華なお弁当だよ!」
一色「うん・・・」
菅原は用意されていた弁当にはしゃいでいるが、一色は気のない相づちを返した。
それに何故か他の出演者からの視線が菅原に集まってる気がしていた。
菅原(な、何だろう・・・私のリハの出来が悪かったからかな・・・)
菅原は少しバツの悪さを感じながら、弁当をもくもくと食べていった。
そうしている内に開演時間がやってきた。
舞台袖から会場を覗くと、たくさんの観客が集まっていた。
菅原(うわ、うわあ・・・マジ緊張してきたあ・・・)
ショーが始まり、衣装を着替えながらランウェイを歩いていく。
菅原(恥ずかしい!恥ずかしい!恥ずかしい!)
心を無にして挑もうと思っていたが、観客のまとわりつくような視線に顔を強ばらせながら何とかリハーサル通りに進行していった。
菅原(はぁ〜、やっと終わった・・・)
全ての進行が終わり、菅原はほっと胸を撫で下ろす。
しかしこれは終わりでは無く、これから始まる淫靡な宴の始まりであることに気付いていなかった。
『皆さんお楽しみいただけているでしょうか。さて、これからはお待ちかねのショータイムになります!』
突如会場内のスピーカーから声が響いてきた。
菅原(なに?なに??ショータイムって?)
司会『それではステージにお上がりください!』
観客の中から1人の男がステージに上ってきた。
この男は仕込みのAV男優。
男はステージの真ん中で仰向けで横たわった。
そして、出演者の中の1人の女が小さなカゴを手に持って男に近付いていく。
菅原(何が始まるの?台本に書いて無いし、リハもしてないよ?)
菅原「ね、嶺奈ちゃん・・・何が始まるんだろうね」
一色「・・・・・・」
一色は舞台袖からじっとステージを見つめていた。
菅原(・・・?)
菅原も同じように無言でステージに視線を向ける。
する・・・
すると何の前触れも無く、女が男のズボンに手をかけてズボンとパンツを脱がしていく。
菅原(え・・・え・・・?)
自然な流れで行われてた行為に、菅原は理解が追い付いていなかった。
女は、そのままの流れでまだ勃起していないペニスを手に包み込んで揉むように動かした。
巧みなテクニックでペニスがみるみる勃起していく。
カゴの中からコンドームを取り出すと、それを口に咥えて器用にペニスに被せた。
そして今度はローションを手に取り、ペニスとまんこに塗ると男の上に股がってゆっくりと腰を下ろしていった。
女「んっ・・・」
何の抵抗も無く、ペニスを奥まで咥えこんでいった。
菅原(え?え?え?)
菅原は目の前で繰り広げられている光景に、頭の中は半ばパニックになっていた。
菅原「ちょっと嶺奈ちゃん!な、なにあれ!?ヤバイよここ!」
慌てふためく菅原は、近くに居た一色に話しかけた。
一色「しっ・・・良く見てて・・・」
菅原「えっ・・・れ、嶺奈ちゃん?」
菅原は、自分と対称的で静かにステージを見ている一色に驚いた。
バタフライマスクの奥の表情は良く分からないが、かなり冷静だと感じていた。
再びステージに目を移すと、女は騎乗位で男の胸に手をついて腰を前後左右に動かしていた。
男「・・・っ」
数分後、マグロのように横たわっていた男が腰をひくつかせた。
女が腰を上げると、コンドームの中には射精されたザーメンが溜まっていた。
行為の最中に全く声を上げなかったのは、さすがプロの男優というべきか。
女はペニスからコンドームを抜き、ウェットティッシュでザーメンを拭き取っていく。
その後、男は静かに立ち上がるとパンツとズボンを履いてステージから降りた。
行為を終えた女も、カゴを手にして舞台袖へと引き上げていく。
菅原(こ・・・こんなの見たことないよ・・・)
菅原は唾を飲み込んだ。
菅原(も、もしかして私・・・何されるの・・・?)
まだ状況を飲み込めていない菅原の横で、一色が先の女からカゴを受けとる。
一色「次は私の出番・・・行ってくるね」
司会『次に登場するのは人気上昇中の期待の新人、RENAちゃん!』
また別の男がステージに上ってきていた。
菅原「れ・・・嶺奈ちゃん・・・ウソでしょ・・・?」
菅原はステージへと向かう一色の後ろ姿を信じられないといった眼差しで見つめていた。