19幕 北川愛乃
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北川愛乃 18歳
SKE48 8期生でチームSとして活動している。
SKE加入前は劇団への所属経験もあり、現在も舞台などに参加して活躍している。



事務所の一室で山下が打ち合わせをしている。

男「その話、本当にいいんですか?」

山下「ええ。お互いビジネスとして悪くない案件だと思うのですが」

山下「嫌なら、この話は無かったことに・・・」

男「いやいや、とんでもない!私達に取っては、これ以上無いほどのことです」

男「でも・・・壊れちゃうかもしれないですよ?」

山下「まあ、壊れたら仕方無い。それまでのものだったと言うことです」

山下「でも、これがうまくいったら次もお願いするかもしれません」

男「そうですか・・・分かりました」



愛乃は、新しい舞台への出演が決まった。
大喜びで実家の家族へ連絡を入れていた。


数日後、出演者の顔合わせをするとのことで、集合場所へと向かう。

山下は別スケジュールの都合で時間が取れないとのことだったので、愛乃は1人で現地へ向かった。

愛乃(ここでいいのかな?)

コンコン

小さなビルの一室、ドアをノックする。

ガチャ・・・

部屋から男が出てきた。
先日山下と打ち合わせしていた男だ。

男「えっと、北川愛乃さん・・・だね」

愛乃「はい!よろしくお願いいたします!」

愛乃が、深々と頭を下げる。

男(写真で見るよりめっちゃ可愛い子じゃないか・・・本当にいいのかよ)

男「さ、入って」

愛乃「はい。失礼します」

気持ちいいほど礼儀正しい。

愛乃を招き入れた後、ドアを施錠してチェーンロックを掛けた。

ワンルームの小さな部屋。
ダブルサイズのベッドが1つだけ置いてあるだけの質素な間取り。

愛乃「あの、今日って・・・」

今日は舞台の顔合わせのはずだが、部屋には愛乃と男の2人しかいない。

愛乃(早く来すぎちゃったかな)

余裕を持って早く到着したからまだ誰も来ていないのだろう。
何も疑わずにそう思っていた。

男「他の演者が遅れてるみたいで・・・すみませんね。座って待っててください」

取りあえずベッドに腰を掛けて差し入れされたお茶を飲んだ。

愛乃(中々来ないなぁ・・・)

愛乃「んんっ・・・」

愛乃が大きく背筋を伸ばす。

愛乃(眠くなってきちゃった・・・夕べ遅くまで自主練してたからかなぁ・・・)

待っていても人が来ない・・・気付いたときは寝落ちしてしまっていた。



愛乃(・・・・・・痛っ)

愛乃は頬に痛みを感じて目を覚ましていく。

大男「おい!起きろ!」

愛乃(あ・・・私、寝ちゃって・・・・・・え?)

目を覚ますと全裸のままでベッドに横たわっていた。

ガチャ!ガチャ!

手を動かそうとするが、ベッドの格子に手錠で括られていた。

愛乃(何?何?)

今の状況が理解できない。

大男「やっと起きたか」

頬に平手打ちしていた、ガタイの良い大男が手を止める。

改めて周りを見ると、馬乗りになっているこの大男と、昼間?会った男が1人、それと何故かカメラを構えている男が1人いた。

愛乃「これ・・・なんなんですか!?」

男「やあ、気分はどう?」

愛乃「気分って・・・!」

ガチャ!ガチャ!

何とか逃げ出そうと暴れるが、どうにも身動きが取れない。

愛乃「なんでカメラ撮ってるんですか!?」

愛乃「それに今日は・・・」

男「今日は?」

愛乃「今日は舞台の顔合わせって聞いてます!なのに!」

男「そっか・・・残念だったね。それは無いんだ」

愛乃「私たちを・・・騙したんですか!?」

男「騙してたなんて人聞きが悪いね。合意してることなんだから」

愛乃「え?何それ・・・」

男「君は売られたんだよ」

愛乃(売られた・・・?)

まだ状況が理解できない。

男「マネージャーの山下さんと契約を結んだんでね」

愛乃「う、嘘・・・」

男「嘘だと思うなら後で聞いてみればいい。そして今日は・・・」

愛乃(売られたって・・・何?どういうこと?)

男「今日は記念日になるんだよ。君が"女"に変わる記念日にね」



愛乃が生きてきた中で、最も長い1日が始まろうとしていた。

ブラック・キャット ( 2019/05/30(木) 20:01 )