第二話
「あの、どこかお探しですか?」
地図を持ったショートカットの女の子に取りあえず背後から声を掛けてみる。
「え? あ、はい! 私立難波学園へ行きたいんですが」
いきなり声を掛けたので少し驚かれたが質問の答えが返ってきた。
「それなら私も今向かってるんで一緒に行きましょう」
「いいんですか! ありがとうございます!」
「いいですよ、目的地は一緒ですから」
「よろしくお願いします! 私は須藤凜々花って言います」
「私、太田夢莉。難波学園の2年です」
「じゃあ、同い年ですね」
お互いに自己紹介し、須藤さんの顔をまじまじと見る。綺麗な瞳、お人形さんみたい。
「あの、太田さん、その膝大丈夫ですか?」
「これね、まあ痛いけど学校までの我慢だから大丈夫」
「雑菌が入ったら大変ですよ。私、消毒液と絆創膏持ってるのでちょっと待ってください」
そう言うと、須藤さんは鞄を漁り始めた。
「そんなの用意してるなんて、女子力高いですね」
「そんなんじゃなくて、自分がよく怪我をするんですよ」
会話しながら手際よく、消毒して絆創膏を貼ってくれる。
「はい、終わりました」
「ありがとう、須藤さん。じゃあ、行こうか」
「はい、太田さん。よろしくお願いします」
「そうだ、夢莉でいいよ。同い年なんだし敬語もなしで」
「うん、なら夢莉ちゃんで、私も凜々花でいいよ」
「うん、よろしく凜々花。じゃあ、そろそろ行こっか、この路地を抜けたら後は一本道の坂だから」
凜々花に声を掛けて歩き始める。