乃木坂高校












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第7章
カッコいいヒーロー
飛鳥「ふぅ〜。極楽じゃぁ〜」
浮き輪入りながら、飛鳥は気持ち良さそうにしている。
真夏「温泉じゃないんだから」
飛鳥の浮き輪に捕まっている真夏。
飛鳥「うるさーい!おりゃ!」
飛鳥は足で真夏を引き離そうとする」
真夏「ちょっと飛鳥〜!ごめんって!」
絵梨花「あー!面白そう!私もやる〜!」
絵梨花も混ざって真夏を蹴り始める。
真夏「いくちゃん!それはもはやガキ大将と同じだからね!」
一実「あははっ!みんな楽しんでるね〜!」
真夏「かずみん!笑ってないで助けてよ!」
なんだかんだで楽しんでいる真夏だった。

一方、さくら達も海の家で借りたイルカの浮き輪で楽しんでいた。
聖来「よーしっ!せいらが乗るからみときや〜!」
イルカの背中に座る聖来。しかし、2秒も経たないうちにひっくり返る。
あやめ「全然ダメだったね!」
聖来「うーん、惜しかったわ〜」
遥香「全然惜しくなかったで?」
さくら「次はまゆちゃんがやる?」
真佑「まゆはちょっと泳いでくるね!あの、丸い浮きまでいってみようかな!」
あやめ「えぇー!あんな遠い所まで?」
さくら「危ないよ…」
真佑「大丈夫、大丈夫!いってきまーす!」
真佑は顔だけ出して、平泳ぎで少し離れた浮きまで目指した。

遥香「ところで和くんは?」
さくら「トイレ行くってさっき行っちゃったよ?」
遥香「そっか。私も行ってこよ〜」
遥香は一度浜辺に上がり、トイレに向かった。
そして、トイレの前で和也が出てくるのを待った。

「ねぇ、1人?俺と遊ばない?」
和也のことを待っていると、いかにもチャラそうな人に絡まれる遥香。
遥香「いえ、1人じゃないです…」
「えー!どうみても1人じゃん!てか、その水着可愛くね?」
遥香「待っているんで…」
遥香はグイグイくる人に恐怖を感じて、声が小さくなってしまう、
「あそこでメシ奢るからさ〜、ちょっと付き合ってよ」
腕を掴まれて、連れてかれそうになる。
遥香「痛いっ!やめて!」
泣きそうな声で大きな声を出すと、『パシッ』っと、もう片方の腕を誰かに掴まれた。
和也「遥香?」
振り返るとそこには少し怖い顔をした和也の姿が。
遥香「和くん…」
和也の姿を見て、我慢していた涙が溢れた。

和也「あの、遥香に何か様でも?」
「なに?この子はるかちゃんっていうの?水着だけじゃなくて、名前も可愛いじゃん!」
和也「人の話し聞いてます?てか、遥香の腕離してもらえますか?」
和也は遥香の腕を掴んでいる手をもう片方の手で握りしめる。
「いてぇな!離せよ!」
男が和也の手を離そうとするが、野球をやっていた和也の握力に敵うはずもなく、全くビクともしなかった。

そして、和也が更に力を込めると、男はあまりの痛さに遥香の腕を離した。
和也はその一瞬の隙に、男の手を捻って後ろに回した。
和也「これ以上、無様な姿見せれないですよね?だから、俺の彼女に手を出さないでくれます?」
遥香「えっ……」
「いててっ、わかった、わかったから!離してくれ!」
和也が手を離すと、男は逃げる様に去って行った。

和也「ふぅ〜。大丈夫だった?」
遥香「和くん!」
遥香が和也に勢いよく抱きついた。
和也「連れ去られる前で良かったよ」
遥香「助けてくれてありがと。それにさっき…」
和也「さっき?」
遥香「あの人に俺の彼女って…」
和也「あー!!ごめん!そう言えばもう近寄らないかなって!ごめんね」
遥香「ううん!嬉しかったよ。守ってくれてありがとう」
和也「どういたしまして」
和也は遥香の頭を撫でると、『オーッ!』と歓声が。
一部始終を見ていた人達から歓声と拍手が沸いた。

遥香は恥ずかしさのあまり和也から離れた。
和也「みんなの所に戻ろっか…」
遥香「そ、そうだね…」
2人は顔を赤くして、頭を下げながら素早く立ち去った。

遥香「お待たせ!」
みんなの元に戻った和也と遥香。
絵梨花「なんか歓声が聞こえたけど、なんだったのかな?」
遥香「すごくカッコいいヒーローがいたんですよ!」
聖来「カッコいいヒーロー?」
あやめ「あやも見たい!まだ居るかな?」
遥香「うーん、ずーっと近くにいるよ?」
さくら「近くに?かっきーどう言うこと?」
遥香「内緒〜!私だけの秘密かな?」
聖来「なにそれ?教えてや〜」
遥香「やーだよ!!」
遥香は和也を見ながら、ずっと笑っていた。

しゃもじ ( 2022/01/31(月) 12:15 )