ジコチューでいこう!
飛鳥「あんなデレデレしちゃってさ…。飛鳥ちゃんもいるんだぞ…」
飛鳥はレジャーシートに座り、砂に和也の名前を書いていた。
飛鳥「初めてだったのにな…」
飛鳥は和也との初めての行為のことを思い出した。
飛鳥「和にとっては特別じゃなかったのかな…」
マイナスなことばかり考えてしまい、泣きそうになる飛鳥。
すると、「特別でしたよ?」と声が聞こえて、「えっ?」と飛鳥が顔を上げる。
飛鳥「和…」
和也「飛鳥さんと遊んだことや、それ以外も特別ですよ?」
飛鳥の目線に合わせるため、和也は飛鳥の前にしゃがみ込む。
飛鳥「……。いつから?」
和也「えっ、だから、遊んだ時からですけど?」
飛鳥「違う!!いつから聞いてたの!?」
和也「えーっと、初めから?」
和也がそう言うと、みるみる飛鳥の顔が赤くなる。
飛鳥「さいてーっ!スケベ!変態!!」
和也「いやいや、声に出してたの飛鳥さんですし!」
飛鳥「……。本当なの?」
和也「なにがですか?」
飛鳥「本当に特別だった?」
和也「もちろん」
飛鳥「わがままでジコチューだし、なかなか素直になれないけど、嫌いになったりしない?」
和也「大丈夫ですよ。それが飛鳥さんらしいですから」
飛鳥「……。ばかっ…」
和也「なんでですか!あっ、それよりこれ食べます?飛鳥さん、お肉好きですよね?」
和也は持っていた牛串を一本差し出す。
飛鳥「しょうがないな!食べてあげるか!」
飛鳥は嬉しそうな表情をして、受け取ろうとすると、和也が『ひょい』と手を引っ込める。
和也「しょうがないならいいかな〜?」
飛鳥をからかうような口調でニヤニヤしながら喋る。
飛鳥「おいっ!先輩で遊ぶなっ!」
和也「冗談ですよ。はい、どうぞ?」
和也が再び差し出すと、飛鳥は警戒しながら手を近づける。
和也「もうしませんって」
飛鳥が受け取って、和也は飛鳥の横に座った。
飛鳥「ねぇ、和…?」
和也「なんですか?」
飛鳥「かき氷もこのお肉もありがと…」
和也「いいですよ?あっ、やっぱりお礼がほしいな?」
飛鳥「お礼?何すればいいの?」
和也「飛鳥さんが作った料理食べてみたいです」
飛鳥「……。」
飛鳥は考え込んだ顔をしている。
和也「あっ、やっぱり今のなしで!何にしようかな〜」
和也は飛鳥の表情が気になったので、話題を変えた、
飛鳥「いいよ。飛鳥ちゃんが料理作ってあげる!」
和也「えっ?いいんですか?」
飛鳥「うん!しょうがないからな!」
和也「ありがとうございます!楽しみにしてますね?」
そして、飛鳥と話していると2人のスマホが鳴った。
飛鳥「んっ?真夏からだ」
和也「さくらからだ」
『お腹空いたからご飯食べよ?』
送り主は違うが全く同じ文章だった。
和也と飛鳥は顔を見合って笑った。
和也「いきましょうか?」
飛鳥「うん。そうだね」
2人は立ち上がり、先ほどの海の家に向かう。
飛鳥「あっ、ちょっと待って」
飛鳥がそう言うと、手を握ってきた。
飛鳥「着くまででいいから、だめかな?」
和也「いいですよ。ほんとツンデレですね?」
飛鳥「うるさい!早く行くぞ!あっ、でもやっぱりゆっくり!」
和也「どっちですか。まぁ、飛鳥さんに合わせますよ」
2人は笑いながらみんなの元に戻っていった。