乃木坂高校












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第6章
女神様
桃子「与田と七瀬さんの話は聞いた?」
和也「うん。前、聞かせてくれたよ」
桃子「桃子も与田と一緒で、白石さんに助けられたの」
そう言って桃子は過去のことを話し出した。

      〜1年前〜

桃子「おはようございます!あれ?返してくれない」
1年前、桃子は地元の先輩の後押しもあり、乃木坂高校に入学した。
しかし、地元では当たり前だったことも、ここだと当たり前ではなく、不安に襲われていた。

怯えながらも教室に入り、指定された席に着く。
(うわぁ…あの人もいる…)
桃子は美波の姿を見て怯える。
他の人が仲良くなっていく中、桃子はビクビクして、常に泣きそうになっていた。
(地元に帰りたい…ちゃーちゃんやみんなは元気かな)
地元の家族のことを思い出すと、涙が溢れてきた。

「あの…大丈夫ですか?」涙でぼやけた視界から、ハンカチの様なものが見える。
顔を上げると、そこには美波が立っていた。
美波「これ、よかったら使って下さい。あっ、私は梅澤美波って言います」
桃子「桃子は、えっと、あの、」
突然ことでテンパってしまう桃子。
美波「桃子ちゃんだね?よろしくね?」
桃子「あっ、はい。よろしくお願いします。それと、ハンカチありがとうございます」
美波「いえいえ。なんで泣いてたのか聞いてもいいかな?」
桃子「地元が恋しくなって。知ってる人もいないし怖くなって」
美波「桃子ちゃんは訛ってるけど、地元はどこなの?」
桃子「鹿児島です。鹿児島の田舎の方です」
美波「そうなんだね!鹿児島か!その訛り可愛いね?もし、よかったら私とお友達になってくれないかな?」
桃子「はい!よろしくお願いします」
初めは怖かった美波と打ち解けることができ、笑顔で話せる様になった。

そして、学校の説明などが終わり、先輩と対面することになる。
美波「もも、大丈夫?」
桃子「みなみん。どうしよう…緊張する…」
桃子は緊張のあまり泣き出してしまう。
美波に引っ張られ、先輩が待っている部屋に到着した。

そして、部屋の中に入ると、先輩メンバーが拍手で迎える。
1人1人自己紹介をしていきし、桃子の番になった。

桃子「ぐずん…うぅ…」
部屋に入ってからずっと泣いている桃子。
しばらく無言が続いた。しかし、次の瞬間、「もも!!」桃子は過呼吸を起こして、意識を無くして倒れてしまった。

桃子「んー、ここは…?」
桃子が目を覚ますと、見慣れないベットの上で寝ていた。
「あっ、起きた?大丈夫?」
夕日が差し込む窓から、誰かに声をかけられる。
桃子「女神様…?」

それが桃子と白石麻衣の出会いだった。

しゃもじ ( 2021/12/19(日) 12:47 )