乃木坂高校












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第6章
優しい温もりで
(う、うーん。んっ?手が温かい)
寝ていた沙耶香が目を覚ます。
手の温もりを感じ、横を見るとそこには和也が寝ていた。

(和くん、ずっと居てくれたんだ。優しい温もりだ)
和也の姿を見て、嬉しくなり、涙を流しそうになる。
沙耶香は和也に布団をかけた。
(ホントお兄ちゃんみたいだな〜)
沙耶香は地元の兄の事を思い出す。
過去に和也にも伝えたが、日に日にその想いは強くなる。
そして、それ以外の感情も。
(和くんは好きな人いるんかな?)
そんなことを思いながら、和也の顔を見つめる。

和也「うーん、さぁちゃん?」
和也は目を覚まして、見つめていた沙耶香と目が合う。
沙耶香「和くん、おはよ。色々ありがとね?それとごめんなさい」
和也「ううん。俺もごめんね?さぁちゃんが頑張ってるの気づいてなかったから、無理させちゃったね」
沙耶香「和くんは悪くないよ?私が覚えるのが遅いから、その分頑張らないと」
和也「さぁちゃんはさぁちゃんのペースで頑張ればいいんだよ?そうすれば絶対結果はついてくるから。ねっ?」
和也の言葉で、沙耶香は胸を打たれた。

沙耶香「和くんって不思議だよね?」
和也「唐突だね?なんで急に?」
沙耶香「和くんに言われると不思議と素直に受け入れられるの。私、子どもだから普段は反発しちゃうのに、和くんの時だけ素直になれる」
和也「それはさぁちゃんが元から素直なんだよ。さぁちゃんのいい所だね?」
沙耶香「和くん…ギュッてしてもいい?」
和也「また唐突だね?うん、いいよ?」
沙耶香は感情が抑えきれなくなり、和也に抱きついた。

沙耶香「和くんはいつも温かいなぁ〜。それにいつも優しい」
和也「そうかな?夏だから暑いのは嫌なんだけどな」
沙耶香「もうっ!そういう事じゃないの!」
沙耶香は頬を膨らませて少し怒り、布団を和也に投げつける。

沙耶香「んっ?私っていつの間にか着替えてるの?まさか、和くんが?」
和也「俺じゃなくて真佑が着替えさせてくれたんだ。さすがに着替えはまずいでしょ?」
沙耶香「和くんだったらいいんだけどなー」
和也「えっ?」
沙耶香「まゆたんにお礼言わなきゃ!」
沙耶香はそう言うと立ち上がった。
和也「さぁちゃん?どうしたの?」
沙耶香「まだ午前のレッスンしてるよね?私、いかなきゃ!」
和也「だめだよ。ちゃんと休んでなきゃ」
沙耶香「たくさん寝たから大丈夫〜!それに、和くんがそばにいてくれたから。和くんも早く行くよ〜!」
沙耶香は笑顔で部屋を出ていった。
いつも唐突で、気分屋な沙耶香に振り回されるのも悪くないなっと和也は思うのであった。

しゃもじ ( 2021/12/16(木) 12:14 )