乃木坂高校












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第5章
私のヒーロー
遥香が目を瞑って、耳を塞ぐのを確認した。
和也「ねぇ、キミはなんでこんなことしてんの?」
「な、なんでって、遥香ちゃんが好きだからに決まってるじゃないか!」
和也「好きなら何してもいいの?」
「う、うるさい!お、お前はいつも遥香ちゃんに付きまといやがって、なんなんだよ!」
和也「まぁ、いいや。どっちにしろ俺はお前を許さないから」
「う、うわぁぁー!」

(怖い…和くん大丈夫かな…)
何も見えない、聴こえない状況がどれだけ経ったのだろう。
私の中ではすごく長く感じて、1時間ぐらい経った様に感じる。

和也「遥香、もう大丈夫だよ」
塞いでいた手を離されて、和くんの声が聞こえたので目を開けた。
そこにはいつも助けてくれる、優しい笑顔の和くんの姿が。
遥香「和くん…和くん…」
私は和くんに抱きついて、たくさん泣いた。
和くんは優しく温かく抱きしめてくれた。
和也「あっ!ごめん!!」
少しすると、和くんが急に謝って離れた。
遥香「えっ?なにがごめんなの?」
和也「いやーっ、めっちゃ走ったから汗かいててさ!ベタベタしてそうだし、汗の匂いが、遥香の制服に付いたらやだかなーって」
遥香「もうっ!ほんとムードのかけらもないんやから!ふふっ、でも、ありがと」
和也「でも、ごめんね?俺の勘違いのせいで怖い想いさせて…」
遥香「ううん。確かに怖かったけど、和くんが来てくれるって信じてたから…。それより、あの人は?」
和也「あー、あそこで伸びてるよ?」
和くんの後ろを見ると、さっきの人が大の字で寝転がっている。
そして、和くんの行動が少しおかしかった。
遥香「和くん…殴ったりした?」
和也「えっ!?なんで?」
遥香「普段、ポケットに手を入れたりしないじゃん。手、見せて?」
和也「なんもないよ!今日はたまたまだよ!ほら、スマホがポケットに入っているから、落とさない様にさ」
明らかに動揺しながら、和也はもう片方の手で頭をかいた。
この人は正直者だから、嘘が下手なんだ。
遥香「うそっ!いいから、見せて!」
私は和くんの手を掴んで、無理矢理ポケットから出した。
遥香「えっ…」
そこには血だらけになっている手が…。
和也「人は殴ってないからね!地面なら殴ったけど」
遥香「地面…?」
和也「俺があの人を殴ったら、俺もあの人と同じになっちゃう気がしてさ。だから、地面をね…てか、お願いだから、もう泣かないで!」
和くんの手を見て、再び涙が溢れてきた。
遥香「お願いだから、これからは無茶しないでね?」
和也「はい…ごめんなさい…。それより、スマホ貸してくれないかな?」
遥香「スマホ?いいけど、自分のはどうしたの?」
和也「急いでたから、校門にかばん投げ捨ててちゃってさ!その中に入ってるからないんだよね」
和くんは笑いながら答えた。

その後、和くんは先生に連絡した。
10分ぐらいして、先生となぜか柚菜が一緒に来た。
柚菜「かっきー!先輩!」
遥香「えっ、なんで柚菜がいるの?」
柚菜「先輩と校門にいた時に、先輩が急に怖い顔して走っていったから心配で…。それに先輩のかばん…」
先生「遠藤、状況を説明してくれるか?
和也「はい。あのですね…」

和くんは状況説明をしに、先生と倒れている人の所に行ってしまった。
柚菜「かっきー大丈夫だった?」
遥香「うん。和くんが守ってくれたから」
柚菜「そっか…。いい先輩だね?」
遥香「そうだね。ヒーローみたいだった。でも、鈍感でおっちょこちょいだけどね」
私と柚菜は笑い合った。
柚菜「柚菜も先輩のこともっと知りたくなったなぁ〜」
遥香「えっ!?それどういうこと!?」
柚菜「ふふっ〜!内緒だよ〜!」
遥香「ちょっと柚菜〜!!」

その後、和くんの手をお家で治療した。
遥香「ちゃんと、お風呂に入ったら包帯を巻き直してね!?」
和也「でも、これ小説を読む時に邪魔なんだよね」
遥香「だめっ!ちゃんとしなさい!」
和也「は、はい!分かりました」
遥香「よろしい!それじゃ、また明日ね?」
和也「うん、また明日ね」
和くんと挨拶をして、自分の家に帰っていった。
私はその後ろ姿を見えなくなるまで、ずっと見ていたのだった。

■筆者メッセージ
りさん
コメント、ご指摘ありがとうございます!
これから気をつけます!

うちさん
コメントありがとうございます!
とりあえずこれで解決しました!
しゃもじ ( 2021/11/01(月) 18:31 )