乃木坂高校












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第4章
妹の成長
さくら「うーん。やっぱり違うのにしようかな〜?」
さくらは先程まで抹茶を食べると言っていたが、いざ、店に来て、ショーウィンドウを見ると、目移りしている。
さくら「兄ちゃんは決まった?」
和也「うん。俺はバニラでいいかな」
さくら「兄ちゃんって、いつもバニラだよね?」
和也「そうだったかな?でも、シンプルのが好きなんだよね」
さくら「シンプルかぁ〜、よしっ!なら、抹茶にする!」
和也「抹茶でいいの?」
さくら「なんか、その言い方ダメみたいじゃん!」
和也「さっきまで悩んでたのに、急に決めたからさ。いいならいいけど」
さくら「そう言われると、揺らいじゃうじゃんかぁ〜」
さくらは再び悩み始めた。
和也は、こういう風にさくらをおちょくるのを少し楽しんでいる。

さくら「んーっ!美味しい!」
ベンチに座ってアイスを食べる。
和也「結局、抹茶にしたんだね」
さくら「うんっ!シンプルのにした!」
和也「そっか。和菓子好きのさくらにとっては、それがいいかもね」
さくら「そうだね!兄ちゃんのアイスは美味しい?」
和也「うん、美味しいよ。食べてみる?」
さくら「いいの?なら、私のもあげる!」
アイスを交換し、2人はアイスを一口食べる。
和也「んっ!抹茶も美味しい!」
さくら「んっ!バニラも美味しい!」
2人は同時に同じ言葉を言って、目を合わせて笑いあった。

アイスを食べ終えて、次にどこに行くか悩んで歩いている。
さくら「兄ちゃんは行きたい所ないの〜?」
和也「そうだな〜。あれとかどう?」
さくら「えっ!あれって…」
和也が指を差したのはお化け屋敷だった。
超が付くほどの怖がりのさくらは顔が引きつっている。
和也「ふふっ、冗談だよ」
和也は、いつもの様にさくらをからかっただけだったが、「いいよ!お化け屋敷入ろ!」と予想外にもさくらがOKした。
和也「えっ!さくら、大丈夫なの?」
さくら「うん!だって、兄ちゃんは入りたいんでしょ?だから、行こ!」
さくらは手を掴んで、入場エリアまで歩いて行く。
順番待ちをしている間も、さくらは手をギュッと強く繋いでいた。
和也「大丈夫?入るの辞めとく?」
さくら「だ、大丈夫だよ!でも、手は繋いでてもいいかな…?」
和也は頷くと、さくらは少し表情が和らいだ。

順番が来て、お化け屋敷の中に入る。
さくら「うぅ〜、いかにも何か出てきそうじゃんかぁ〜」
順路を進んでいると、明らかに怪しい扉があった。
さくらは繋いでいた手を離して、腕に抱きついてきた。
和也「そうだね。でも、案外何も出てこなかったりして」
扉の前を通ると、特に何も出てこなかった。
さくら「ふぅ〜、なんだよ〜!」
何も出てこなかった事に安心したさくらは、少しだけ強気になっていた。
しかし、次の瞬間。『わぁ〜!!』と後ろからゾンビが現れた。
さくら「きゃー!!出たぁ〜!!」
さくらは和也に抱きついて、胸に顔を隠した。
和也「いててっ!痛い!」
抱きつく時の力が強くて、痛がる和也。
痛がる和也に気が回らないほど、怖がっているさくら。
この状況が何回か続いて、少し時間がかかったが、出口に到着することが出来た。

さくら「うぅ〜、怖かった〜」
和也「はぁ、痛かった〜」
出てきた時の感情が全く違う2人。
近くにあったベンチに座ると、さくらが少し涙が溢れていた。
和也は持っていたハンカチで、さくらの涙を拭いた。
和也「怖かったのに、入ってくれてありがと」
さくら「ううん。兄ちゃんが行きたい所だもん!」
和也「そっか、ありがとね?」
さくらは「うんっ!」と頷いて、笑顔になった。

その後、2人は時間が許す限り遊んだ。
遊び疲れたのか、帰りの電車の中でさくらは寝てしまった。
電車を降りる時に、さくらを起こしたが、全く起きる気配がなく、和也はさくらをおんぶすることにした。
(大きくなったなー)
さくらを久しぶりにおんぶして、さくらが大きくなった事を実感する。
さくら「兄ちゃんにおんぶしてもらうの久しぶりだなぁ」
和也「起きてたんだ」
さくら「さっき起きた。ねぇ、お家までこのままでいい?」
和也「うん、いいよ。今日はいっぱい遊んだから疲れただろうし」
さくら「兄ちゃん、ありがと。これからもさくのことよろしくね…」
和也「急にどうしたの?」
さくら「なんもなーい!お腹すいたから、兄ちゃん、走れ〜!」
和也「うわぁ、危ないって!もぉ!ちゃんと捕まってなよ!」
和也はさくらの言う通りにし、家まで走った。
家までの帰り道は、兄妹の笑い声が響き渡るのであった。

しゃもじ ( 2021/10/29(金) 19:10 )