乃木坂高校












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第4章
祐希の過去
     〜1年前の春〜
祐希「うわぁ〜!ここが乃木坂高校かぁ〜!」
祐希母「祐希!ウロウロすると迷子になるわよ」
祐希「はーい!!」
私はこの春、乃木坂高校に入学することになった。

きっかけは本当に偶然だった。
家族旅行の時に、この高校でアイドルを目指している人たちのライブをたまたま見かけた。
祐希「うわぁ、あの真ん中で踊ってる人可愛い」
センターで優しい笑顔で踊っている、女の人。自然とその人に目を奪われた。
祐希「乃木坂高校…。」
将来のことをまだ決まらなくて、高校も地元、福岡の学校に行こうと思っていた。
しかし、この出会いが私を変えた。

その後、乃木坂高校のアイドルについてたくさん調べた。そして、いつの間にかファンになり、両親に乃木坂高校に行きたいと話した。
初めは反対していたが、熱心に説得をした結果、応援すると言ってくれた。
そして、乃木坂高校に入るために勉強をした。
受験の日になり、乃木坂高校に行くと、芸能科に入ろうとする人がたくさんいた。
その中でも一際目立っていた女の子がいた。
その子を見ると、自信がなくなったが、私は自分なりに精一杯頑張って、無事に合格することが出来た。

そして、ついに今、憧れの高校に入学する。
祐希母「こんなので寮生活できるかしらねぇ」
祐希「大丈夫やけん!もう祐希は子供じゃないと!それじゃ、行ってきます!」
芸能科の教室に入ると、あんなにたくさんいた受験者のに、合格したのは12人だけだった。
私はどうしたらいいのか分からず、席に座っていると、「私、山下美月です。これからよろしくね」と声をかけてもらえた。
その人は、受験の時にいた一際目立っていた人だった。
祐希「よ、与田祐希です。よろしくお願いします」
その後、クラスの子がたくさん話をかけてくれて、すぐに仲良くなることが出来た。

入学式を終えて、その日はこれで終わった。
祐希母「それじゃ、お母さんは行くからね。ちゃんと連絡しなさいね」
祐希「うんっ!お母さん、祐希、頑張るね!」
お母さんと別れて、今日から寮生活が始まる。
ほんとは凄く寂しかったけど、同じクラスの大園桃子ちゃんや伊藤理々杏ちゃんも寮生活なので、少し心強かった。

次の日、遂に憧れの人と対面した。
放課後になり、先生の案内でレッスン室に入った。
そこには、先輩がたくさんいた。
(あっ。あの人だ…)その人は少し控えめに、人を盾にして隠れる様にいた。
その姿でさえ、可愛く思えた。

それから1ヶ月、レッスンばかりが続いたが、今だに話すことが出来なかった。
そして、事態は思いもやらない展開に発展する。
先生「それでは次の楽曲のフォーメーションを発表する。今回はWセンターになるからな」

今日は新しい楽曲のフォーメーションを発表される。
だか、私たちにはまだ早いので、呼ばれる事がないと思っていた。
次々に名前が呼ばれる。
先生「2番、白石麻衣。5番、西野七瀬」
(白石さんと、西野さんがセンターじゃないんだ)
私は発表を聞いてそんな事を考えていた。
先生「3番、センター、大園桃子」
『ざわざわ』先生から桃ちゃんの名前が呼ばれて、室内はざわめきだす。
桃ちゃんも呼ばれて放心状態になっていた。
そして、一気に緊張感が高まった。
先生「ラスト4番、センター、与田祐希。以上のフォーメーションになる」
最後に呼ばれたのは私だった。
呼ばれた瞬間、頭が真っ白になり、涙が溢れ出来た。
(なにも考えれない。どうしよう、怖い)
いつの間にか発表が終わって、解散になっていたが、私はその場から動くことが出来なかった。
同級生メンバーが集まってきて、喜んでくれたり、励ましてくれたりしてくれたが、その言葉ですら耳に入らなかった。

そして、この日から怒涛の様な毎日を過ごすことになった。

■筆者メッセージ
過去の話になります!
デートの話は少しお待ちを…。
しゃもじ ( 2021/10/21(木) 13:41 )