乃木坂高校












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第4章
大好きな人
翌朝、和也は早くに目を覚ますと、隣でさくらがスヤスヤと寝ていた。
さくらが腕にくっついており、温かみを感じる。
(そっか。昨日、服を着ずに寝ちゃったんだった)
時計を見ると、まだ早かったので、さくらが起きるまでぼーっとする。

さくら「うぅーん。あれ?兄ちゃんおはよ。起きるの早いね?」
30分程して、さくらが目を覚ました。
和也「おはよ。たまたま目が覚めたんだ。よく寝れた?」
さくら「うんっ!兄ちゃんの隣は落ち着くんだぁ〜」
さくらが強く抱きついてきた。腕に柔らかい感触がする。
和也「そうなんだね。とりあえず、服着ようか?」
そう言うと、さくらはハッとした。恐らく服を着ていない事を忘れていたのであろう。
そして、みるみる顔が赤くなっていく。
さくら「服着るから、兄ちゃんは目を瞑ってて!」
和也「えっ、そこ気にするの?」
さくら「いいからぁ!瞑ってて!」
和也はさくらの言う通り目を瞑った。
さくらが布団から出る感じがした。
少しすると、「もういいよ」と声をかけられる。
パジャマ姿になったさくら。和也も服を着ると、再びさくらが抱きついてきた。
さくら「起きるの早かったけど、どこかに出かけるの?」
和也「うん。ちょっと約束があってね」
さくら「そうなんだぁ。私もあすぴーさんと約束があるから、準備しなきゃ!」
和也「飛鳥さんと?」
さくら「うんっ!飛鳥さんが一緒にお出かけしよって誘ってくれたんだぁ!」
さくらが幸せそうな顔をしている。
和也「そっか。なら、飛鳥さんによろしく伝えといてね」
和也が頭を撫でると、さくらは嬉しそうに頷いた。

さくらが自分の部屋に戻って、和也も出掛かる準備をする。
20分程で準備が終わり、駅に向かった。
(5分前、いい時間かな)集合時間の5分前に着いて待っていると、「和くーん!」と少し遠くから名前を呼ばれる。
和也が手を振ると、小さな女の子が走ってきた。
祐希「和くんっ!」
祐希がそのままの勢いで抱きついてきた。
和也「うわぁ!そんなに急いだら危ないから」
祐希「えへへっ!おはよっ!」
和也「おはよ。朝から元気だね」
祐希「和くんに会えるから嬉しかったけん。それでどこに連れてってくれると?」
和也「ん〜、たぶん祐希は喜んでくれると思うけど。とりあえず、時間がもったいないし行こっか」

2人は電車に乗って目的地を目指す。
横並びに座っていると、祐希が「くんっくんっ」と匂いを嗅いできた。
和也「な、なに?どうしたの?」
祐希「うーん。今日の和くんからは、さくらちゃんの匂いがするなぁ〜」
昨日、さくらとくっついて寝ていたせいだろう。
それにしても野生児。どんな嗅覚をしているのことか。
和也「まぁ、兄妹だし一緒に暮らしているからね」
祐希「そっかぁ!!兄妹っていいよね〜!」
和也「祐希は弟がいるんだっけ?」
祐希「うん!そうそう!生意気で祐希よりも身長が大きいんだよ!」
和也「まぁ、祐希より小さい人は中々いないよね!」
祐希「もう!またバカにしたっ!祐希だって、まだ身長伸びるんだからねっ!」
和也「あははっ、そうだね。そういえば、こっちにきてお姉さんみたいな人に出会えたって言ってたよね?」
祐希「覚えてたんだね。うん、祐希の憧れで大好きな人なんだ」
和也「よかったらその人の事聞かせてくれるかな?」
祐希「うんっ!いいよ!あれはね…」
祐希が懐かしそうに話してくる。祐希の大好きな西野七瀬さんという人のことを。

しゃもじ ( 2021/10/20(水) 21:42 )