乃木坂高校












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第3章
最強のツンデレ
飛鳥「ねぇ、和はギュッてしないの?」
しばらくお互い無言だったが、飛鳥が声をかけた。
和也「いや、いいんですか?」
飛鳥「うん。和ならいいよ」
和也「それでは失礼します…」
両手を背中に回して抱き寄せた。
飛鳥さんの身体は凄く華奢だった。
飛鳥さんには絶対言えないが、抱き寄せてるのに、胸の感触が全くしない。
飛鳥「ふふっ、これで飛鳥ちゃんも大人になったな」
和也「えっ?何でですか?」
飛鳥「だって、抱き合ったら大人になるんだろ?ドラマとかでも、大人同士抱きついてるし」
和也「飛鳥さん、それ本気で言ってますか?」
飛鳥「あたりまえだろ!飛鳥ちゃんは大人なんだから!」
この人は純粋なんだと思い、それと同時に。少しからかいたくなった。
和也「抱きついて大人なら、キスしたらどうなるんですか?」
飛鳥「き、き、キス〜?キスってチューのこと!?」
刺激が強かったのか、びっくりした飛鳥さんが離れていった。
和也「まぁ、キスもチューも同じですよね」
飛鳥「チューはその…なんというか…」
和也「飛鳥さんはしたことあるんですか?」
飛鳥「なっ、あたりまえじゃん!飛鳥ちゃんにかかったら、チューの3、4回あるわい!」
和也「そうなんですね。さすがですね」
飛鳥「か、和はしたことあるの?チュー…」
和也「はて?どうでしょうかね?」
飛鳥「したことあるんだろ!もしかして、やまか??」
和也「どうでしょうかね〜」
飛鳥「やまなんだな!正直に言え!」
飛鳥さんが少し怖い顔をする。
和也「えっ、まぁ、そんなとこです」
飛鳥「うぅ…。しょうがない!飛鳥ちゃんもチューしてあげてもいいんだぞ!」
和也「そんな張り合わなくても…」
飛鳥「張り合ってなんかない!ただ、初めてのチューは和がいいの…」
和也「嘘つき。さっき3、4回したって言ったくせに…」
和也はそう言って飛鳥の唇に唇を近づけた。
『チュ』唇の先と先が触れ合った小鳥の様なキスをした。
顔を話すと、飛鳥さんは顔を真っ赤にして、固まっていた。
和也「おーい、飛鳥さーん!」
手を顔の前で振って、飛鳥を呼び戻す。
飛鳥「あ、うん。その、ありがとうございました」
和也「ふふっ、それなんのお礼ですか?」
飛鳥「なんもない!でも、ありがと!」
飛鳥さんは再び抱きついて来た。
でも、さっきとは違い、なんだか空気が柔らかかった。

飛鳥「おばさん。お昼ご飯ごちそうさまでした」
家を出る時間になり、飛鳥さんが玄関で母さんに挨拶をしている。
母「いいのよ。飛鳥ちゃん、またいつでもいらっしゃいね?それと、これからも和也とさくらをお願いします」
飛鳥「はい。2人とも任せてください。それでは、お邪魔しました」
家を出て、打ち上げ会場に向かう。
和也「飛鳥さん、意外と礼儀正しかったんですね」
飛鳥「意外とってなんだよ。バカにしてんの?」
家を出ると、飛鳥さんはいつものツンツンした感じに戻った。
和也「なるほど。これがツンデレか」
飛鳥「はぁ?なに1人でぶつぶつ言ってんの?それより疲れた。おんぶして」
和也「疲れたって、歩いてまだそんな経ってないじゃないですか!」
飛鳥「いいから、おーんーぶー!」
和也「全く。ワガママな先輩ですね」
和也は飛鳥の前でしゃがんだ。飛鳥がのったのを確認して、立ち上がり歩き出す。
飛鳥「ねぇ…」
和也「次はなんですかー?」
飛鳥「いつもワガママ聞いてくれてありがと…」
飛鳥さんが耳元で呟いた。
和也「いいですよ。マネージャーですからね」
そう答えると、飛鳥さんは笑ってくれている様な気がした。

しゃもじ ( 2021/10/01(金) 21:53 )