乃木坂高校












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第12章
体育祭まで残り10日
体育祭まで残り10日。各クラスの士気は高まり、本番を見据え練習を行っていた。
それはもちろん芸能科もだ。

放課後、いつも通りC組で練習していると、芸能科のみんなはリレーの練習をしていた。
和也はちょうど休憩時間だったので、木陰で座りながらその様子を眺めていた。

すると、C組の男子の会話が耳に入ってきた。
「やっぱ芸能科って可愛いよな」
「そりゃアイドル目指してるからな」
「俺は美月ちゃん推しだな〜」
「俺は飛鳥先輩だな!あのSっぽいがたまらん!」
男子生徒は芸能科の話をしていた。

(やっぱりみんな人気あるんだな〜)
そんなことを考えながらボーッと考えていると、美月が和也に気づいて手を振った。

「おっ!美月ちゃんが手を振ったぞ!」
「ばかっ!お前にじゃなくて俺にだよ!」
「笑顔だし、可愛いな!」
「おーい!頑張れ〜!」
と男子生徒が反応して嬉しそうに手を振り返した。

「全く!男子ったらすぐこれなんだから!」
「まぁまぁ。可愛いは正義だからね〜」
と女子生徒が呆れながら話している。

「それに私達も…ねっ?」
女子生徒が何人か和也の元に近寄ってくる。
「遠藤くん。もし、よかったらこれ使って?」
そう言いながらタオルを差し出してくる。

和也「えっ、でも…。それ使ったらキミが使えなくなっちゃうよ?」
「私?いいのいいの!私は大丈夫だから!」
和也「あ、ありがとう…」
和也は遠慮がちにタオルを受け取る。

「遠藤くん!これ飲んで?さっき買ってきたんだ!」
次にスポーツ飲料を渡される。
和也「いや、でも…」
「いいからいいから!はい!」
半ば強引に渡されてしまう。
和也「ありがとう」
気まずそうにお礼をすると、芸能科の方が騒がしくなり始めた。

「なんか盛り上がってるぞ?」
「なにがあったんだろう?」
「それに飛鳥先輩達も集まってきたぞ?」
不思議そうに男子生徒は眺めている。
(なんかヤバい空気な気がする…)
和也の嫌な予感は的中していた。

それは10分前の出来事だった。
美月「あーあ、和くんは今日もあっちか〜。つまんないの〜」
史緒里「しょうがないよ。私達も頑張らなきゃ!」
美月「そうだけどさぁ〜!あっ、和くんがこっち見てる!」
桃子「ほんとだ!休憩時間なのかな?」
美月「おーい!和くーん!」
美月は和也に手を振った。

蓮加「んっ?和也くんじゃない人が反応してる」
美波「ほんとだ。C組の男子が反応してる」
美月「ありゃ?なんで和くんは振り返してくれないんだ?」
美月は苦笑いをしながら手を振り続けた。

祐希「あっ!!」
理々杏「与田?急に大きな声でどうしたの?」
祐希「あれ見て!?」
祐希の指の先にみんなの目線が集まる。
『あーっ!!!』と大声を出す一同。

遥香「みなさん、どうしたんですか?」
真夏「なになに?大声出してどうしたの?」
近くにいた1年生と3年生が集まってくる。

桃子「ま、ま、真夏さん!あれ見てください!」
真夏「ん?あれって…」
飛鳥「あーっ!!和のバカヤロウが浮気してる!?」
真夏「浮気ってそんな物騒な…」
絵梨花「いやいや!あれは浮気でしょ!」
真佑「あれは浮気です!」
あやめ「タオルだけじゃなくて、飲み物ももらってるでやんす!」
遥香「こらーっ!!浮気すんなぁ〜!」
さくら「兄ちゃんのばかーっ!」
聖来「珍しくさくちゃんが怒ってる!」
リレーの練習をそっちのけで和也に対して怒っているメンバー。

おかげでその日の練習は全く行われなかったのであった。

そして、後で和也が怒られたのは言うまでもない。

しゃもじ ( 2022/07/18(月) 12:36 )