乃木坂高校












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第10章
伝える勇気
(う、うーん)昼寝をしていた和也が目を覚ます。

(なんかいい匂いがする…それに…)
目を開けると、和也の腕を枕にして、遥香が隣で気持ち良さそうに寝ていた。

(気持ち良さそうに寝てるな〜。んっ?)
和也は遥香の胸元に目線がいく。
浴衣がはだけており、谷間が少し見えていたからだ。

少し見た後、(ダメだダメだ!)目を閉じて、首を小さく横に振って意思を強くする。
すると、「エッチ」と遥香の声がする。
和也「お、起きてたんだ」
遥香「今、起きた」
和也「そ、そうなんだね。おはよ」
遥香「おはよ。それより見てたでしょ?」
和也「な、何を?」
遥香「ここだよ?」
遥香が胸元を指で指した。
(ヤバっ…)胸元を見ていたことがバレていた。
どう答えるか悩んでいると、「ぷぷっ、あははっ!」と遥香が笑い出した。

遥香「あははっ!冗談やで?」
そう言いながら身体を起こして、はだけた浴衣を直す。

遥香「なんか目を覚ました時に、和くんが首を横に振ってたから、からかっただけ!」
和也「……。遥香、ヨダレ垂れてるよ?」
遥香「えっ!嘘やろ!?」
慌ててティッシュを取って口周りを拭き始める。

和也「あははっ、冗談だよ?」
仕返しをすると、遥香の顔が見る見る赤くなっていく。
遥香「もうっ!なんやねん!」
プクッと頬を膨らませて、和也の身体を叩く。
和也「痛い、痛いって!」
抵抗する様に遥香の手を掴む。

和也「うわぁ!」
遥香「きゃあ!」
2人はバランスを崩して倒れ込む。
『……。』遥香が和也の上に覆い被さり、至近距離で見つめ合った。
そして、遥香は目を閉じてゆっくり顔を近づける。
『チュッ』2人の唇が重なり合った。
数秒重なった唇を離すと、遥香は恥ずかしそうに微笑んだ。

その姿を見た和也は感情が抑えきれなくなり、遥香を抱き寄せた。
遥香「和くんの匂い…」
和也「なんかそれ変態っぽいよ?」
遥香「もうっ!デリカシーがない!」
和也「ごめん」
和也は遥香の頭を撫でた。

遥香「和くん…お風呂入らなきゃ…」
抱きしめてどれぐらいの時間が経ったのだろう。
外は日が落ち、空はオレンジ色に染まっていた。

和也「そうだね。遥香、先に入っておいで?」
遥香「……。」
遥香が何も言わずに和也を見つめる。

和也「遥香?」
遥香「一緒に…入らへん…?」
頬を赤く染め、勇気を振り絞って和也にお願いした。

しゃもじ ( 2022/05/09(月) 18:09 )