乃木坂高校












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第10章
惹かれる魅力
遥香「なんか不思議やなぁ〜」
温泉街に出ると、遥香がしみじみ話し出す。

和也「急にどうしたの?」
遥香「和くんと旅行に来れると思ってなかったから」
和也「確かに。しかもこんなにいい所にね」
遥香「パパとママに感謝しなきゃ!」
和也「そうだね。お土産買っていかなきゃね」
遥香「うんっ!」
遥香は絡めている腕を抱き寄せた。

しばらく歩いていると、『ぐぅぅ〜』とお腹の音が鳴る。
和也「お腹空いた?」
音が鳴ったのは遥香のお腹だった。
遥香は恥ずかしかったのか、顔を赤くして、『コクッ』と頷く。

和也「俺もお腹空いた!お菓子とお饅頭しか食べてないし!なんか食べよっか」
遥香「和くん…ありがとう…」
和也「ん?何が?あっ、あれ食べたい!」
和也はそう言うとかまぼこ揚げの店に歩き始める。

和也「遥香は何にする?」
遥香「……」
しかし、遥香は何も答えなかった。
和也「何に悩んでるの?」
遥香は悩んだりすると、眉が八の字になるので分かりやすい。

遥香「エビマヨ揚げかチーズ揚げで…」
和也「すみません。エビマヨ揚げとチーズ揚げ1本ずつ下さい」
遥香「えっ…」
和也「俺も両方食べたかったんだ。だから、分け合って食べよ?」
和也はニコッと微笑んだ。
遥香「うんっ!ありがとう!」
和也「飲み物買ってくるから、あとよろしくね?」
和也は料金を払って近くの自販機に向かった。

「いい彼氏さんですね?」
店員の若いお姉さんに話をかけられる。
遥香「はいっ!自慢の彼氏なんです!」
遥香は照れ臭そうに笑って答えた。

和也は飲み物を買って遥香の元に戻る。
和也「そんなニコニコしてどうしたの?」
遥香「なんでもなーい!早く食べよ?」
和也「う、うん」
近くの空いていたベンチに座る。

『いただきまーす!』和也はチーズ揚げを遥香はエビマヨ揚げを食べる。
和也「うまっ!」
遥香「美味しい!」
一口食べた2人は思わず顔を合わせる。

和也「こっちも食べてみて?」
遥香「和くんも食べてみて?」
持っていた串を交換し、それぞれの串をかじる。
和也「うまっ!」
遥香「うまっ!」
和也に釣られてなのか、遥香は和也と同じ言葉を言ってしまう。

和也「ふふっ、めっちゃ真似するじゃん」
遥香「へへっ、釣られちゃった!」
揚げ串を食べ終わり、再び温泉街を回る。

和也「一回旅館に戻ろっか?」
歩いている途中、突然和也が旅館に戻ると言い出した。

遥香「えっ?なんで?まだ、全部回れてないで?」
和也「足。疲れたでしょ?」
遥香「えっ…なんで?」
和也「少し気にしてる様に見えたから。明日もあるし、ゆっくりしよ?」
時々、遥香は和也の行動に驚くことがある。
普段は鈍感で女心はこれっぽっちも分かってないのに、辛い時や悩んでいる時はすぐに気づいてくれる。
そう言うところも遥香が和也に惹かれた1つだった。

遥香「ありがとう…」
和也はニコッと微笑み、2人は旅館に戻った。

遥香「あっ、ママから電話だ」
旅館に戻ってゆっくりしていると、遥香の母から着信がきた。
遥香「ちょっと電話してくるね」
遥香は部屋を出て電話をしにいく。

遥香「うん。大丈夫だよ。うん、バイバイ」
電話が終わり、部屋の中に戻る。
遥香「お待たせ〜!心配で電話くれたみたい!」
『……』話しかけても和也から返答がなかった。

遥香「和くん?」
和也が座っていたところを見ると、座布団を枕に寝ている和也。

遥香「ほんま、よく寝る人やな…」
気持ちよさそうに寝ている和也をみて、遥香はゆっくり顔を近づける。
『チュ…』ほっぺに優しくキスをした。

遥香「和くん、好きやで?」
遥香の告白も寝ている和也には全く届かなかった。

しゃもじ ( 2022/05/08(日) 13:09 )