乃木坂高校












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第10章
服と髪飾り
昼食を食べ終え、桃子が麻衣に服を選んで欲しいと言ったので、ショッピングモールに向かう。

ショッピングモールに向かう途中、和也はある違和感に気づく。
和也「この距離感はいったい…」
明らかに桃子と距離感がある。

桃子「な、なんでもない!…です…」
麻衣の身体で顔を隠しながら答える桃子。
麻衣「ふふっ、照れてるだけだよね?」
桃子「もうっ!そんなことないです〜!」
和也「照れてるの?あっ!そういうことか!」
桃子「えっ!!もうっ!白石さんのせいでバレちゃう〜!」
桃子は和也に何か気づかれたと思い、あたふたする。

麻衣「いいチャンスじゃん!」
麻衣は桃子の背中を押して、和也の前に立たせる。
和也「んっ?なんのチャンス?てか、なんで前に?」
麻衣「……。えっ?キミはいったい何に気づいたの?」
和也「桃子が照れている理由が麻衣さんに服を選んでもらえるからだよね?初めて着た服を見せるの恥ずかしいよね〜」
明らかに見当違いのことを言っている和也。そんな和也に桃子と麻衣は冷たい目線を送る。

麻衣「……。」
桃子「……。」
和也「えっ?なに?どうしたんですか?」
麻衣「もも、行こっか?」
桃子「そうですね…」
呆れた2人は和也を置いて歩き出した。
和也「あれっ?どうしたんですか?」
慌てて2人の後を追いかける。
麻衣「すごく鈍感なんだね?」
桃子「はい。そのせいでみんな大変なんです」
出会って半日も経たないうちに麻衣は和也のことを理解したのだった。


ショッピングモールに着くと、2人は麻衣の行きつけのショップに入って行った。
和也は一緒に着いて行くのが気まずかったので、1人でぶらぶらすることにした。

(なんも欲しいものがないな〜)
普段から物欲がない和也は特に欲しいものが見つからず、うろうろしていると、ある物が目に入った。

和也「すみません。これって…」
近くにいた店員に話しかけて、詳しい話を聞いた。

その後、1時間程して桃子から終わったと連絡が入った。
2人の所に戻ると、ショップの外で2人が待っていた。

和也「お待たせしました」
麻衣「おっ!おかえり!どこ行ってたの?」
和也「そこら辺ぶらぶらしてました」
桃子「何か買ったのー?」
和也「んっ?あぁ、これね。桃子にプレゼント」
桃子「ももこに!?」
桃子は驚いた表情をする。

麻衣「なになに〜?妬けちゃう〜!」
和也「大したものじゃないけど、桃子っぽいなって」
和也は袋を桃子に渡す。
桃子「開けてもいい?」
和也が頷くと、桃子が箱を開ける。

桃子「わぁ!綺麗〜!」
箱の中には桃の花が付いた髪飾りが入っていた。
和也「その花、桃の花なんだって。だから、桃子にピッタリだと思って」
桃子「ぐずん…嬉しい…和くんありがと〜」
桃子は泣きながら和也に抱きついた。

麻衣「きゃあ!!もう、お姉さん、キュンキュンしちゃう〜!!」
何故か嬉しそうな麻衣と周りの目線が気になる和也。
桃子「ずっと大切にするね…」
桃子はそう言ってしばらく泣き続けた。


麻衣「それじゃ、2人ともまたね?」
その後、もう少し3人で遊んで、時間麻衣が帰る時間になった。
駅で麻衣の見送りをする。

桃子「お姉さま、今日はありがとうございました」
和也「麻衣さんに会えてよかったです」
麻衣「私も和也くんに会えてよかったよ。それに安心した」
和也「安心?」
麻衣「和也くんがいい人で。これなら、桃子も安心だ」
桃子「もうっ!お姉さま!?」
麻衣「ふふっ、なら、和也くん。桃子のことよろしくね?」
和也「はい。もちろんです」
麻衣「桃子、辛いことあると思うけど頑張るんだよ?また遊ぼうね?」
桃子「はい!頑張ります!」
麻衣「それじゃ、またね?みんなによろしくね?」
麻衣はそう言い残し電車に乗る。

電車が出発し、姿が見えなくなるまで和也と桃子は見送った。

和也「俺たちも帰ろっか?」
桃子「うんっ!そうだね!」
和也は桃子を寮まで送っていく。

桃子「和くん、今日はありがとう」
和也「こちらこそありがとう。楽しかったよ」
桃子「また今度遊ぼうね?次は2人で!」
和也「うん、いいよ」
桃子「その時はお姉さまに選んで貰った服と、和くんがくれた髪飾りを付けていくんだ!」
和也「楽しみにしてるね?」
桃子は「うんっ!」と頷き、和也の手を握った。

桃子「和くんの手温かいね!」
桃子は今日1番の笑顔で笑っていた。

しゃもじ ( 2022/05/02(月) 20:23 )