乃木坂高校












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第9章
過去と後悔
さくら「わぁー!着いたー!」
電車を何度か乗り継いで、着いた先は水族館だった。

和也「さくらと水族館来るの久しぶりだね?」
さくら「そうだね!あっちにいた頃はよく行ってたけどね」
和也とさくらの地元では有名な水族館があり、小さい頃はよく家族で行っていた。
そんなこともあってなのか、さくらは水族館に行きたくなったらしい。

さくら「早く〜!」
和也「そんなに急いだら危ないよ?」
さくら「だいじょーぶー!!」
はしゃいでいるさくらを見て、和也は微笑みながら後をついて行く。

さくら「えーっと、まずは〜」
水族館の中に入り、パンフレットをもらってどこに行くか悩んでいる。

和也「とりあえずルート通りに見ていく?」
さくら「うん!そうする!」
2人はルート通りの見て回ることにした。

さくら「うわぁ〜、でかーい!」
大きな水槽の前で、中で泳いでる魚を見て喜んでいる。

さくら「和くん、和くん!あのお魚なんていう名前かな?」
和也「エイじゃない?形的に」
さくら「エイかー!どこにお顔あるんだろう?」
和也「どこだろうね?でも、エイって尻尾に毒があったよね?」
さくら「えっ、こわっ…」
さくらは和也の腕にギューっと抱きつく。

和也「あははっ、刺されないから大丈夫だよ」
さくら「次の場所いこ!」
さくらは逃げるように水槽から離れて行く。
和也はそんな桜を見てずっと笑っている。

次に着いたのが、小さな水槽に小型の魚類がいるコーナーだった。

さくら「チンアナゴって可愛いなー!クラゲもいる!」
さくらは小学生の様にはしゃぎ回っている。
夏祭りのライブでピリピリしていたので、ちょうどいいリフレッシュになったのかもしれない。

さくら「わぁ!カワウソだ!!」
カワウソコーナーに着いて、今日1番テンションが上がる。

さくら「カワウソってお家で飼えるのかな?」
和也「どうなんだろうね?飼っている人見たことないから、飼えないんじゃないかな?」
さくら「そうなんだー」
さくらは少し残念そうな顔をしている。

和也「カワウソ飼いたかった?」
さくら「ううん、そうじゃないけど、でも、昔、動物飼いたいなって時はあったかな」
和也「そうなん?」
さくら「お家で1人でお留守番してる時は、寂しかったからほしかったけど、今は兄ちゃんやママがいるから大丈夫!」
和也「……。」
昔、両親も共働きで、和也も野球をやっていたので、さくらは1人でお留守番する時が多かった。
さくらはいつも「大丈夫だよ!」と言っていたが、強がりで本当は寂しかったのだと今更気づいた。
もっと早くに気づいてあげれたらと後悔をしてしまう。

さくら「どうしたの?」
和也「ううん、さくらには兄ちゃんがずっとついてるからね?」
さくら「もうっ!今日は兄ちゃんじゃないのにー!あっ、そろそろイルカショーが始まる!行こー?」
さくらは和也の手を握って歩き出す。
和也もさくらの手を離さないように、ギュッと強く握り締めたのだった。

しゃもじ ( 2022/03/27(日) 14:24 )