乃木坂高校












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第9章
美波の気持ち
ショッピングモールに着くと、真っ先にメンズの服が売っているショップに入っていく。
美波は入ってすぐに色々な服を手に取り始める。

美波「うーん、これもいいなー。でも、こっちも…」
自分の世界に入ってしまい、和也は何もすることがなかったので、店内をぶらぶらすることにした。

すると、周りがザワザワし始める。
「あの人めっちゃ美人じゃね?」
「モデルとかかな?」
「てか、なんでメンズショップにいるんだ?」
など、明らかに美波のことを言っている。

美波もその声が耳に入ったのか、近くにいると思っていた和也がいないことに気づく。
周りをキョロキョロして、和也を見つけるとすぐに駆け寄ってきた。

美波「もうっ!なんで勝手にいなくなるのよ!」
和也「ご、ごめん」
美波「全く!与田や桃みたいなことして!恥ずかしかったじゃん!もう離れないでよ!」
さっきの甘えた姿とは違い、いつも通りのお姉さんの様になる。

和也は引っ張られて、美波がさっきまで見ていた服の所に連れてかれる。

「あの人彼氏か?」
「やばっ!めっちゃ羨ましいんだけど」

和也が美波の横に立っていることで、再び周りがザワザワし始める。
美波は気にしてないふりをしていたが、顔はほんのり赤くなっていた。

その後、何度か美波に服の試着をさせられる。
美波「うーん、思ってたのと違うなー。次はこっちお願い!」
和也は言われるがまま何回も試着を繰り返す。

そして、「うんっ!これだ!」美波は納得がいったのか、満足そうな顔をしていた。

和也「選んでくれてありがとう。買ってくるからちょっと待ってて?」
美波から服を受け取って、レジに向かった。

和也「お願いがあるんですけど…」
和也は開会中に店員に話しかけた。
店員「どうなさいましたか?」
和也「タグ取ってもらえませんか?あと…」

(和くんまだかな〜)美波はショップの前のベンチに座って和也のことを待っていた。

(これって、デートなのかな…?和くんはどんな気持ちなんだろう…)
普段から相手の気持ちを優先して、自分のことを後回しにしているが、今回は違った。
飛鳥達先輩や、同級生、後輩達の和也に対する気持ちはなんとなく気づいている。
和也が美波に対する何気ない言葉や行動。
それがいつしか美波の中で大きくなっていた。
いつもだったら、一歩引いてしまうが今回だけは譲れなかった。

(デート…だったらいいな…)
そんなことを考えていると、「お待たせ」と和也の声が聞こえた。

美波は顔を上げてると、「えっ…」思わず声が出てしまった。
和也「どうかな?」
照れ臭そうにしている和也。服装はさっきまでと違い、美波が選んだ服に着替えている。

美波「もう…着てくれたの?」
和也「うん!せっかくの美波とのデートだからね!どうせだったらと思ってさ」
美波「デート…」
美波は小さな声でつぶやいた。

和也「んっ?なんか言った??」
和也は服を見ていて、上手く聞き取れなかったみたいだ。

美波「ううん、何でもない!やっぱ、似合ってるね!」
美波はニヤけてしまいそうな顔を必死にこらえる。

和也「選んでくれてありがとう。それより、お腹空いたね!何か食べに行こ!」
美波「そうだね!なら、公園に行こっ?」
和也「えっ?公園?ご飯食べにいくんじゃないの?」
美波「いいからいいから!いくよ〜?」
美波は和也の背中を押して歩き始める。

和也「えっ?あっ、ちょっと!」
和也は美波に背中を押されて、2人はショッピングモールの近くにある公園に向かったのだった。

しゃもじ ( 2022/03/24(木) 12:32 )