推し変?
花火大会が終わり少し話してから解散した。
美緒「それじゃ、また後で伺わせてもらいます!」
美緒は何度もお辞儀をしながら、迎えに来てくれた美緒の母と帰っていった。
和也「俺達も帰ろっか?」
さくら「そうだね!」
2人は自然と手を繋いで家に向かう。
さくら「兄ちゃん、今日楽しかったね?」
和也「そうだね。みんなと居ると飽きないよ」
さくら「ふふっ、個性豊かだもんね!それに優しいし!」
和也「俺には厳しい気がするけど…。でも、みんなモテそうなのになんで彼氏作らないんだろう?」
さくら「その疑問は兄ちゃんには一生解決できないかもね?」
和也「えっ?どういうこと?」
さくら「なーんも!美緒ちゃん来る前にお風呂入らなきゃ!」
家の前に着くと、さくらは手を離して先に家の中に入っていった。
和也「うーん。さくらってたまに不思議な事を言うなー」
和也は首を傾げながら家の中に入っていった。
リビングに入ると、さくらは母に浴衣を脱がしてもらっていた。
さくら「兄ちゃん!あっち向いてて!」
さくらは身体を見られるのが恥ずかしかったのか、和也に見ないように言う。
和也「あっ、ごめん」
和也はすぐに後ろを向いて、目を逸らした。
さくら「もういいよ!なら、お風呂行ってきます!」
さくらは慌ただしくお風呂に向かった。
和也「全く。慌ただしいな〜」
母「美緒ちゃんが泊まりに来るのがよっぽど嬉しいのね。和也もこっち来なさい」
母に浴衣を脱がしてもらい、出かける準備を始める。
母「あら?どこかいくの?」
和也「美緒を迎えに行こうと思って。なんかあっても困るしね」
母「そうね。いってらっしゃい。美緒ちゃんのことよろしくね」
和也は頷き、美緒を迎えに行くために家を出た。
美緒の家に向かっていると、前方から声が聞こえてきた。
「怖くない怖くない。お化けなんていない。怖い人もいない」
(この声、どっかで聞いたような…)
和也はその声の先に向かって歩いていくと、小さな女の子が歩いてきた。
和也「美緒?」
美緒「きゃーー!!!あれ?先輩?」
美緒は悲鳴をあげた後、話しかけられた相手が和也だと認識した。
美緒「なんで先輩がここに?」
和也「迎えに来たんだ。女の子を夜1人で歩かせる訳にいかないでしょ?」
美穂「うぅ…せんぱーい!!」
美緒は涙目になりながら抱きついた。
和也「怖かったんだね?」
美緒「はい…。私、お化けとか苦手なんです…」
和也「迎えに来て正解だったね」
美緒「ありがとうございます、ありがとうございます!」
美緒は何度もお礼を言った。和也はその姿を見て「ふふふっ」と笑いが溢れた。
美緒「先輩、なんで笑っているんですか?」
和也「なんか落ち着きがない所がさくらにそっくりだなって」
美緒「そ、そんな!女神様のさくちゃんと一緒だなんて!!おこがましいですよ」
和也「そんな謙遜することじゃないのに。それより、さくらが待ってるから行こっか?」
和也はさくらそっくりの笑顔で美緒に手を差し伸べた。
美緒「えっ……」
美緒は和也の行動に思考停止する。
和也「手を繋いだら怖く無くなると思ったけど、嫌だったかな?」
美緒「い、嫌じゃないです!よ、よろしくお願いします!」
美緒はお辞儀を和也の手を握った。
美緒「あたたかいなぁ…」
和也「んっ?何か言った?」
美緒「な、何でもないです!!」
美緒は繋いでない手をブンブン振った。
和也は美緒の行動にひたすら笑っている。
(ごめん、さくちゃん。私、もしかしたら推し変しちゃうかも…)
美緒は心の中でそう呟いたのだった。