放課後になり、吹奏楽部と合流する為に音楽室に向かう。

『コンコン』女性ばかりの部活と聞いたので、念の為ノックをする。
「はーい」と返事が来たので中にはいる。
すると、ドアの周りには部員が集まっていた。

和也「えーっと、ライブまでお世話になります佐藤です。よろしくお願いします」
困惑しながら挨拶をすると、『キャー！』と黄色い声援が起こる。

部長「こちらこそよろしくお願いします。それでね…」
部長からどういう風にアレンジをするか説明を受ける。
過去に絵梨花にピアノの楽譜を作ってもらったが、あくまでピアノのみの話だ。
他の楽器で演奏となると色々変わってくる。

ライブで披露する曲は『ドレミソラシド』と『青春の馬』の2曲になった。

（そろそろ新しい曲を増やしたいな。てか、みんな大丈夫かな…先生に迷惑かけてないといいけど…）
話を聞きながら、アイドル部のことを考えてしまう。
部長「あの〜、聞いてるかな？」
和也「あっ、ごめん。それで？」
しかし、その後もアイドル部のことが心配で話が全く入ってこなかった。

その頃、アイドル部の部室では和也の不安が的中していた。

『カントクがいない！？』
部室に響き渡る大きな声。
史帆「うえーん！としちゃんも吹奏楽部に行く〜っ！」
白石がライブのことを伝えて、和也が吹奏楽部に行っていることを伝えると、予想通りメンバーが騒ぎ出した。

白石「静かにしなさーい！！」
美穂「先生！先輩はいつ帰ってくるんですか？」
白石「吹奏楽部が演奏出来る様になって、合同で練習する様になってからです」
彩花「それまで会えないの？寂しい〜」
鈴花「吹奏楽部は女の花園…もしかして…」
『浮気！？』メンバーは目を合わせて、焦った表情をする。

京子「これは音楽室に乗り込まなきゃ！」
『オーッ！』みんなが部室を出ようとすると、「みんな待って！！」とメンバーを止める久美と美玲。

彩花「久美さんとみーぱんどうしたの？」
美玲「和くんなら大丈夫だよ。絶対浮気しないから」
久美「だから、私達は私達のことをしっかりやろ？お世話になった3年生の方の為のライブだよ？適当にやったらダメだよ」
久美と美玲は真剣な表情で2年生メンバーに話し始める。

菜緒「みんなもそうだよ？ここで頑張って、和くんが戻ってきた時に驚かせちゃお？」
菜緒は1年生メンバーに語りかける。

すると、みんなは冷静さを取り戻したのか、反省した表情をする。

美玲「和くんは和くんで頑張ってるんだもん！だから、みーぱん達も頑張らなきゃ、和くんに褒めてもらえないよ？」
久美「よしっ！着替えて体育館に向かうよ！！」
『はいっ！！』みんなは表情を変えて大きく返事をした。

白石「ねぇ、あなた達3人は和也くんから聞いてたの？」
体育館に行く前に白石は久美、美玲、菜緒の3人を呼び止めた。

久美「はい。部室に来る前に和也くんから聞きました」
美玲「もしかしたらみんなが騒ぎ出すから、白石先生をたすけてあげてって」
菜緒「キャプテン1人じゃ大変だから、菜緒は1年生をお願いって」
白石「あの子ったら…。それより、あなた達は和也くんがいなくて大丈夫なの？」
美玲「それは…」
何故か3人は頬を赤くしている。

白石「なに？どうしたの？」
久美「な、なんでもないです！行ってきます！」
菜緒「先生もはよ来てくださいね！」
3人は慌てて体育館に向かった。

白石「なんだったのかしら？」
白石は首を傾げて3人の後ろ姿を見る。

3人が和也に『頑張るからギュッてして？』とお願いしていたことも知らずに…。