日向高校




























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第26章
それぞれのバレンタイン2
和也「彩花!京子!お、おはよう」
和也は机の中が見えない様に身体で隠す。

京子「おはよ。それで?」
和也「それで…?」
彩花「何が助かったなの?」
和也「そんなこと言ったっけ?」
京子「言った。それにその体勢まで不自然だし」
彩花「キミは一体なにを隠してるんだ!」
和也「えーっと…」
2人に追い詰められる和也。

京子「まぁ、大体予想はつくけどね?」
彩花「ってか、机の上に置いてあるし」
和也「あっ…」
教室まで来る間にもらったチョコを机の上に置いたあったことに気づく。

和也「ご、ごめんなさい!」
和也は全力で謝った。

京子「んっ?なにが?」
和也「へっ…?」
てっきり史帆や菜緒の様に怒られると思っていた和也。
しかし、2人の反応は予想とは違った。

和也「いや、怒られるかと思って」
彩花「なんで怒るのよ?和くんがこうなることなんて予想出来るし」
京子「それともなに?浮気でもしたの?」
和也「してないしてない!そんなことしてないです!」
彩花「焦り過ぎだから!」
2人はあたふたしている和也を見て笑う。

京子「それよりこれ。和のために一生懸命作ったんだ」
彩花「happy Valentine!」
2人はそう言って和也にラッピングされた箱を差し出す。
和也「ありがとう。嬉しいよ!」
和也は2人からチョコを貰った。

京子「……。」
彩花「……。」
彩花と京子は何故か黙って和也のことを見続ける。
和也「な、なに?」
京子「何って食べないの?」
和也「えっ、今?」
彩花「うん。今」
和也「えーっと、今はお腹が空いてない…」
しかし、2人はジーッと和也を見つめる。

和也「いただきます…」
京子から貰ったチョコのラッピングを剥がしていく。
箱の蓋を開けると、少し歪な形をしたチョコが入っていた。

そのチョコを手に取り口の中に入れた。
菜緒のチョコとは違い、少しほろ苦い味がした。
料理が苦手なのに、精一杯作ってくれた事にありがたみを感じる。

和也「美味しい。ありがとうね?」
和也は京子の頭を撫でた。
京子「べ、別にこれぐらい普通だから!」
京子は顔を赤くして、プイッとそっぽ向く。

彩花「和くん!早く私のも食べてよ〜!」
彩花に急かされ、彩花がくれたチョコを開けていく。
彩花のチョコはホワイトチョコだった。

和也「うん!これも美味しいよ!」
美味しそうに食べる和也を見て、彩花は嬉しかったのか笑顔になる。
そして、頭を和也の方に傾ける。
和也は彩花の頭を撫でると、「えへへっ」と照れ臭そうに笑った。

その後、2人は宿題をやってない事に気づき、慌てて教室に戻っていった。

和也はお腹一杯になったので、消化する為に校内を適当に散歩する。

すると、『ドンッ』と曲がり角で誰かとぶつかってしまうのであった。

しゃもじ ( 2022/04/01(金) 21:36 )