息子のことを…
久美「準備できた〜?」
アイドル部のメンバーは朝早くからライブの準備をしている。
美玲「準備バッチリ〜!後は着替えるだけだぁ〜!」
菜緒「久しぶりのライブだから緊張するなぁ〜」
菜緒がそう言いながら和也に抱きついた。
和也「父さんと母さんだけだから気軽にいこ?」
菜緒「パパとママだからって手は抜かないよ?」
菜緒が真剣な表情をする。
和也「ふふっ、そうだね。よろしくね?」
和也は菜緒の頭を撫でた。
美玖「ちょっと!いつまで抱きついてるの?」
美穂「そうそう!菜緒だけずるい!順番待ちしてるんだから早く!」
和也「順番待ち?」
和也は菜緒の後ろを見ると、メンバー全員が1列ならんでいた。
史帆「こしゃ〜!はやく〜!としちゃんは待ちくたびれたぞ〜!」
菜緒「ふふっ、はーい!なら、和くん。菜緒、頑張るね!」
そう言って菜緒が離れていった。
その後、みんなにハグをしてライブの時間になった。
白石「お父さん、お母さんこちらです!」
校門で白石と七瀬が和也の両親のことを待っていた。
母「白石先生、七瀬さん。今日はよろしくお願いします!」
白石「いえいえ。それでは行きましょうか?」
白石の案内の元、真っ暗になった体育館の中心にライトアップされている、2脚の椅子。2人はそこに座った。
すると、ステージがライトアップされる。
美玲「パパ!ママ!スペシャルライブにようこそ!!」
久美「今日は楽しんでください!」
京子「それじゃ、早速いくよ〜!」
京子の合図の元、和也がピアノの前に座り、演奏を始める。
『〜〜♪』ピアノの綺麗な音色が体育館に響く。
『君はどんな夢見てるか?何も語らずに…』
一曲目は『青春の馬』から始まる。
そして、『キュン』、『ドレミソラシド』と披露した。
みんなは踊っている時に最高の笑顔をしていたが、寂しさのあまり泣き出すメンバーもいた。
久美「今日はありがとうございました!!」
『ありがとうございました!!』
3曲終わり、スペシャルライブは終わった。
『パチパチパチ』父と母は立ち上がって泣きながら拍手をして幕を閉じた。
翌日。遂に父と母の出発する日になった。
メンバー、先生、七瀬が駅まで見送りに来た。
父「白石先生。和也のことお願いします」
白石「はい。和也くんのことは私が責任持ってみるので、安心してください」
史帆「ちょっと先生!私がじゃなくて、私達がでしょ〜!」
七瀬「まるで、まいやんと一緒に暮らすみたいやん!」
和也「白石先生、料理美味しいからそれもいいかもな〜!」
和也が冗談で言うと、みんなは真剣に怒り始めた。
京子「おいっ!!遂に本性をだしたな!」
彩花「やっぱり白石先生が好きだったんだ〜!」
鈴花「私達は遊びだったのかぁ〜!」
ひなの「遊び…先輩ひどいです…」
和也「うわぁぁ!ひなの、冗談だからね?そんな悲しい顔しないで!」
菜緒「なんで、なのちゃんだけフォローすんねん!!」
菜緒が和也の背中をつねる。
和也「いたたたっ!!菜緒、痛いよ!ごめんって!」
みんなと和也のやり取りをみて両親は笑っていた。
そして、もうすぐ電車に乗る時間になると、母と父が真剣な表情をする。
母「みんなにお願いがあるけどいいかしら?」
美穂「お願い?」
母・父「これからも息子のことをお願いします」
母と父がみんなに頭を下げた。
美玲「うんっ!!パパとママが帰ってくるまで任せてよ!」
美玖「帰ってきてからも任せてね!」
母「みんな…ありがとう…」
母はみんなの返事を聞いて泣き出した。
好花「ママ…泣かないで…私達も…」
史帆「今日は泣かないって決めたのに…笑顔でお見送りするって決めたのに…」
陽菜「ママ〜!パパ〜!」
陽菜が母に抱きついた。
すると、他のメンバーも父と母に抱きついた。
紗理菜「寂しい…寂しいよぉ…」
芽依「うぅ…いやや…いかんで…」
別れを悲しんでいる中、電車が駅に到着した。
父「みんな。次帰ってくる時までに絶対夢を叶えておくんだよ?それと、和也。元気でいるんだぞ?」
母「和也、数ヶ月留守にするけど、ちゃんとご飯食べて元気でいるのよ?みんなに迷惑かけちゃだめよ?」
和也「うん。父さんも母さんも元気で…」
両親は和也と同じ優しい笑顔で電車に乗った。
メンバーと和也。先生と七瀬は電車が見えなくなるまで手を振り続けたのだった。