日向高校




























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第24章
悪かわだっち
ある日の部活前。部室で急に史帆が叫びだす。
史帆「なーい!どこにもなーい!!」
何かを無くして、探し回っているみたいだ。
和也「何か無くしたの?」
史帆「机の上に置いてたプリントが無くなったぁ〜!」
和也「プリント?それって明日までに出さないといけないやつ?」
史帆「そうだよぉ〜!部活前に書こうとしたのに、飲み物買いに行ってる間に無くなっちゃった!」
史帆は泣きそうな顔をしている。
和也「俺も一緒に探すよ」
史帆「和くん…ありがとぉ〜」

好花「せんぱ〜い!私の鏡も無くなりましたぁ〜」
プリントを探そうとすると、好花も鏡が無くなったと相談してくる。
和也「えっ?好花も?よく無くなるなぁ〜。プリントと一緒に探すよ」
好花「ありがとうございます!」

しかし、床や鞄の中、部室の隅々まで探したが全く見つからない。
和也「ねぇ、陽菜。机の上に置いてあったプリントと、好花の鏡知らない?」
背を向けて何かの作業をしている陽菜に話をかける。
陽菜「えっ?プリントと鏡ですか?」
陽菜が振り返ると、手にハサミと紙を持っている。
和也「陽菜、何してるの?」
陽菜「前髪が伸びてきたから切ってるの!」
すると、『あーっ!!』と後ろから叫び声が。
史帆「としちゃんのプリント!!」
好花「私の鏡!!」
和也「えっ?陽菜が待ってたの!?」
どうやら陽菜は、好花の鏡を見ながら史帆のプリントを受け皿に髪の毛を切ってたみたいだ。
陽菜「えっ?これを探してたんですか?」
史帆「そうだよぉ〜!!」
好花「なんで陽菜が待ってるの!?」
陽菜「だって置いてあったから!」
陽菜の平然とした態度に力が抜ける史帆と好花。
和也「これから借りるときは一声かけようね?」
「はいっ!」陽菜はニコニコしながら返事をした。

部活終了後。部室で陽菜と明里が話している。
明里「陽菜ってよく寝落ちするよね〜」
陽菜「ちょっと!それ言わなくてもいいじゃん!」
明里「だって昨日も寝落ちしたんでしょ?」
陽菜「そうだけど…。実際みんなもしてるでしょ?みんなはそれを隠してて、陽菜は正直に言ってるの!」
明里「あんまりしないよ〜!」
陽菜「丹生ちゃんが明日寝坊して遅刻します様に…」
明里「ちょっと陽菜〜!縁起でもないこと言わないでよぉ〜!」
陽菜「師匠〜!丹生ちゃんがいじめてきます!」
和也「えっ?明里が?そんなことしないと思うけど」
明里「先輩騙されないでくださいね?陽菜は私のことなめてるんで!」
陽菜「えへへっ!師匠、一緒に帰りましょ!」
陽菜が腕を掴んで歩きだす。
明里「あぁ〜!置いてかないでよ〜!」
明里も慌てて後をついてくる。

和也は、少しだけ陽菜の悪いところを見た気がしたのだった。

■筆者メッセージ
少し早めの更新です!
しゃもじ ( 2021/12/09(木) 18:37 )