日向高校




























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第23章
ど天然の救世主
同点になったことで、日向高校の動きが格段に良くなった。
そして、運動量が多いゼロトップのせいか、相手チームの動きが鈍くなっていた。
日向高校はそのチャンスを生かし、攻める時間が増えるも、相手GKのファインセーブや、ポストに弾かれて追加点が奪えずにいる。

久美「先生?今日、勝たないとサッカーは無くなっちゃうんですよね?」
白石「そうね…」
史帆「久美さん、急にどうしたの?」
久美「いや、同点の場合はどうなるのかなって」
鈴花「確かに!その場合はどうなるんですか?」
白石「詳しくはわからないけど、勝利が条件だったから恐らく…」
先生の雰囲気で察したメンバーの表情が暗くなる。
陽世「だ、大丈夫ですよ!あの先輩がいるんですもん!」
茉莉「そうですよ!先輩なら絶対なんとかしてくれます!ねっ?なのちゃん?」
ひなの「そ、そうだね!先輩、頑張れ〜!」
美玖「私達も負けてられないね!」
美穂「そうだね!先輩、頑張れ〜!」
史帆「むむっ!このままじゃ、後輩達に負けちゃう!!」
美玲「和くんいけーっ!!」
アイドル部の応援にも熱が入った。

しかし、無常にも時間は過ぎていき、残り時間は5分を切った。
激しい攻防が続き、ボールはサイドラインを超えた。
そして、その間に和也は主将の元に近づいた。
和也「ちょっとお願いがあるんだけど」
主将「はぁ…はぁ…。どうした?」
和也「次、ボールが渡ったら右サイドに蹴ってくれないかな?」
主将「右サイドに?でも、そこからどうするんだ?」
和也「後はなんとかする。だから、蹴ったらゴール前まで走ってて!」
和也はそう言って、ポジションに戻っていった。

相手チームのスローインで再開され、日向高校はボールを奪う為に、必死にディフェンスをする。
部員A「おりゃーっ!」
必死に足を伸ばして、パスカットに成功する。
部員B「先輩!こっち!!」
ボールがハーフラインを超える。
主将「こっちだ!!」
主将にボールが渡り、その瞬間、和也は右サイドを走りだす。
そして、和也の作戦通り、右サイドにボールを蹴って、主将は相手ゴール前に走り出した。
残り時間、2分を切った所で、右サイドにいた和也にボールが渡る。

彩花「あの位置って…」
美玲「昨日、和くんが練習してた所だ!」
優佳「和也くん!!」

昨日、練習した右サイドからのセンタリング。
最後に成功したイメージを思い浮かべて、身体を動かす。
蹴ったボールは相手DFの足をギリギリの所を抜けて、ゴール前に上がる。
そして、そのボールの先に待っていたのは、日向高校の主将。
和也「いけーっ!!」
『パサッ』和也の上げたクロスは、ピンポイントで主将まで届き、綺麗なボレーシュートが決まった。

『ピッピー』ゴールが決まった瞬間、試合終了の笛が鳴り響いた。
『よっしゃー!!』サッカー部のメンバーがガッツポーズをして喜んでいる。
それはサッカー部だけではなく、アイドル部も同じだった。
久美「勝った!勝ったよぉ〜!」
紗理菜「かげこ、やったね!」
優佳「ぐずん。うん…やった…」
美玲「優佳…」
泣きじゃくる優佳を美玲が優しく抱きしめた。

主将「和也!!ナイスパス!」
部員B「先輩、いつの間にあんなパスできる様になってたんっすか!?」
和也「昨日、練習したんだ。俺にはあんなボレーできないからね」
部員A「いやいや、センタリングもかなり難しいんだぞ…」
和也「そうなの?だから、全然上手くいかなかったのか!」
和也の天然ぶりに唖然とするサッカー部メンバー。

美玖「なんか、あっちの雰囲気おかしくない?」
菜緒「どうせあのど天然さんがなんかいったんじゃない?」
美穂「それはありえるかもね!」
史帆「早く和くんのところに行こっ!」

こうして、和也の活躍もあり、日向高校サッカー部は勝利することができた。

■筆者メッセージ
影ちゃんエピを作る為に、無理矢理サッカーの話を入れ込んじゃいました!笑

もう少しでこの章が終わって、次はクリスマスと和也の誕生日編になります!
しゃもじ ( 2021/12/03(金) 20:15 )