日向高校




























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第22章
日向町の冬
和也「ただいま」
学校が終わり、家に帰宅した和也。
母「おかえりなさい。学園祭はどうだった?」
和也「忙しかったけど、楽しかったよ」
母「それは良かったわね!それより、美玲ちゃんを迎えにいってらっしゃい」
和也「なんで美玲が来ること知ってるの?」
母「なんでって、メッセージしてるから?」
和也「そういえばそうだったね。最近、暗くなるの早くなったし、迎えにいくつもりだよ」
和也は荷物を部屋に置いて、美玲を迎えにいった。

和也「うぅ〜寒っ。もう冬じゃん」
季節は冬に近づき、夜になると寒くなっていた。
和也「こっちは雪が降るのかな?あとで、美玲に聞いてみよ」
そんな独り言を呟きながら、美玲の家を向かう。

美玲「いってきまーす!!」
美玲の家の前に着くと、ちょうど美玲が家を出るところだった。
美玲「あれ?和くん?」
和也「ちょうど良かったね。迎えに来たよ」
美玲「えっ、わざわざ良かったのに!寒かったでしょ?」
和也「大丈夫だよ。それに暗くなるのも早くなったし、母さんも行けって言うからさ」
美玲「そっか…でも、ありがと!」
美玲は申し訳なさそうにしていたが、どこか嬉しそうにも見えた。
和也「どうしたの?なんか笑顔だけど」
美玲「和くんに早く会えたから嬉しくって!」
和也「さっきまで会ってたじゃん。それより、寒いから早く行こ」
美玲「うんっ!!和くん、ブレザーのポケットに手入れていい?」
和也「うん、いいよ。今日は冷えるしね」
美玲にそう言うと、ブレザーのポケットに手を入れてきた。
美玲「和くんも冷えてるでしょ?」
美玲は一度入れた手を出して、和也の手を握ってポケットに入れた。
美玲「うわぁ、和くんの手、凄く冷えてるよ?」
和也「こっちの夜は寒いからね。東京はもっと暖かかったからさ」
美玲「そうなんだ!確かに東京は雪が降るイメージないもんね!」
和也「やっぱり、日向町の冬は雪降るの?」
美玲「うんっ!もうたーくさん!雪掻きをしなきゃいけないぐらい!」
和也「そうなんだ。楽しみだな」
美玲「和くん、雪、好きなの?」
和也「好きと言うか、あまり見たことないんだ!でも、寒がりだからちょっと不安かも…」」
美玲「寒がりなのに、北海道の川に飛び込んだの?」
修学旅行の時に、未来虹のお土産を取りに行く為に、北海道の川に飛び込んだ和也。
和也「あれは無我夢中だったから」
美玲「しかも、体調不良なのに、やせ我慢してるし!!本当に心配したんだからね!」
美玲が頬を膨らませている。
和也「その節はお世話になりました」
美玲「もうっ!今年の冬は、みーぱんが寒いのから守ってあげるからね!」
美玲は、ポケットの中で繋いでいる手を強く握りしめた。
和也「あははっ、頼りにしてます!」

和也「ただいま」
美玲「おじゃましまーす!」
家に着いた2人。母さんが玄関まで出迎えてくれる。
母「美玲ちゃん!いらっしゃい!寒かったでしょ?」
美玲「大丈夫だよ!和くんが居たから!」
母「うちの子は役に立ったかしら?」
和也「なんか、棘のある言い方だな…」
美玲「和くんのおかげで、寒くなかったし、怖くもなかったよ!」
母「なら、よかったわ!今からお鍋の用意するわね」
美玲「わーい!お鍋だぁ〜!みーぱんもお手伝いする!」
母「あらあら、ほんと可愛いわね〜!なら、一緒に作りましょ!」
母さんが美玲の手を引いて、台所に戻っていった。
玄関に1人残される和也なのであった。

しゃもじ ( 2021/10/16(土) 15:59 )