日向高校




























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第17章
本当の監督
翌日、登校していると目の前に鈴花さんと監督が、並んで歩いている姿を見つけた。昨日のこともあったので、私は距離を取って歩くことにした。すると、後ろから誰かに声をかけられた。振り向くと美玲さんがいた。
美玲「未来虹おはよ!あれ?元気ない?大丈夫?」
未来虹「おはようございます!いえ、元気ですよ!」
美玲「そっか!ならよかったぁ!あっ、和君とおすずがいる!おーい!!」
美玲は大きな声を出して、目の前の2人を呼んだ。
美玲「あっ!気づいた!未来虹も行こっ!」
美玲さんは私の手を握って監督達に駆け寄った。
美玲「2人ともおはよ〜!今日は2人で登校してるんだぁ!」
鈴花「みーぱんさんおはようございます!未来虹もおはよ!はい、家を出たらたまたま先輩も家を出ていたので!」
和也「美玲、高橋さんおはよ」
未来虹「おはようございます」
美玲「いいなぁ〜!みーぱんも和君のお家の横に住みたい〜!」
和也「横でも中々会わないよ!鈴花は基本的に起きるの遅いからね?」
鈴花「先輩がおじいちゃんみたいに、起きるのが早すぎるんですよ!」
みんなが楽しそうに話している中、私は愛想笑いをしてその場を誤魔化していた。そして、学校に着いて授業を受ける。授業中も私はずっとモヤモヤしていた。全ての授業が終わって放課後になる。私は掃除当番だったので、遅れて部活に行くことになっている。ゴミを持ってゴミ捨て場に向かうと、監督が前を歩いていた。私は気になって後を追いかけた。体育館裏に着くと、女子生徒が待っていた。私は隠れながら声が聞こえる位置まで移動した。
女子生徒「あの、私、佐藤君のことが好きです!付き合ってください!」
監督は告白されていた。私は心の中で怒りが込み上げてきた。監督はオッケーして、付き合うのだと思い込んでいた。しかし、監督は私の予想とは違うことを口にした。
和也「気持ちは嬉しいんだけどごめんなさい。付き合うことは出来ません」
女子生徒「理由を聞いてもいいかな?」
監督は困った顔をして黙っていた。
和也「ごめんなさい。今はアイドル部のみんなと夢に向かって頑張ってるんだ。だから、今はみんなのこと以外考えれないと言うか、みんなのことを裏切りたくないから。だから、ごめんなさい」
監督は告白を断った。女子生徒も納得したのか「ありがとう」といってその場から立ち去った。「パサッ」私は持っていたゴミ袋を落としてしまった。そして、最悪なことに監督と目が合ってしまった。
和也「高橋さん、今の聞いてた?」
未来虹「あ、あのすみません!ゴミを捨てにきたら、監督がいたので気になっちゃって」
私は監督に怒られると思って全力で謝った。すると、監督は急に笑い始めた。
和也「あははっ、俺も同じ経験したことあるよ!」
未来虹「えっ?えっ?怒ってないんですか?」
和也「えっ?何に怒ることがあるの?てか、やばい!もうこんな時間だ!高橋さんも早く部活に来てね〜!」
監督はその場から走って立ち去っていった。私はその後ろ姿をみて呆然と立ち尽くしていた。掃除が終わって部室に行くと、監督が何故かみんなに怒られていた。
未来虹「なのちゃん、なんで監督は怒られてるの?」
ひなの「先輩が遅れてきたから、みなさんが何かあると感づいて問いただしているの」
なのちゃんに事情を聞くと私は監督達の元に近寄った。
史帆「和君!白状しなさい!どこに行ってたの!」
和也「なにもないよ!たまたま遅れちゃっただけで」
美玲「なんか怪しいんだよね〜!女の感ってのが働くんだよね」
未来虹「私、監督がどこにいたか知ってますよ?」
菜緒「ほんと??どこにいたの?」
和也「ちょっと!高橋さん!!」
監督はもの凄く焦っていた。
未来虹「監督は私のゴミ捨てを手伝ってくれましたよ?重そうだからって持ってくれました!」
和也「えっ?」
監督は私の言葉を聞いて唖然としていた。
美穂「なーんだぁ〜!そう言うことかぁ〜!」
京子「それならそうとすぐ言えばよかったじゃん!」
久美「みーぱんの女の感も外れちゃったね〜」
美玲「おっかしいなぁ〜!でもいいや!和君は優しいなぁ〜!」
史帆「としちゃんも〜!」
彩花「あっ!みーぱんと史帆は、そうやってすぐに和也君に抱きつく!!」
私はみんなの姿を見ていると、鈴花さんが近寄ってきた。
鈴花「今の話嘘でしょ?」
未来虹「なんのことですかぁ〜?」
鈴花「ふふっ、まぁいいけどね〜!」
未来虹「あの、今日の部活が終わったら教えてください。監督とアイドル部にどんなことがあったのか」
鈴花さんは笑って頷いてくれた。部活が終わって近くの公園に行ってベンチに座った。そして、鈴花さんが話し始めた。
鈴花「まずね、先輩は自分からアイドル部に入ったんじゃなくて、みーぱんさん達が誘ったの」
鈴花さんは色々な話をしてくれた。アイドル部が出来た話、球技大会に体育祭。合宿や夏祭りのライブの話。監督とアイドル部の間には、私にはわからない信頼関係があったのだ。
鈴花「先輩はね、いつも私達を励まして、応援してくれて、みんなは俺の夢だって言ってくれるの。私達はそんな先輩が大好きなんだ」
私は全ての話を聞くと泣いていた。
未来虹「私、何も知らないのに監督に酷いことを言ってしまいました」
鈴花「大丈夫だよ。先輩は優しいから許してくれるよ!てか、鈍感だから気にしていないかもよ!」
鈴花さんは泣いている私を慰めてくれた。すると、公園の入り口から誰かの呼ぶ声がした。
和也「おーい!鈴花〜!高橋さん〜!何やってるの〜?」
入り口には監督がいた。
鈴花「いいタイミング!未来虹行こっ!」
鈴花さんが私の手を握って監督の元に駆け寄った。
鈴花「先輩!私、これから用事があるから未来虹のことお家まで送ってあげてください!」
未来虹「えっ!ちょっと鈴花さん!」
鈴花「それじゃお願いしますね!また明日〜!」
鈴花さんは走り去っていき、監督と2人で取り残された。
和也「一体なんだったんだ?まぁ、いいや。もう暗くなったし送るね!」
未来虹「えっ、あっはい。ありがとうございます」
監督と2人で歩き始める。
未来虹「あの、昨日はなにも知らないのに酷いこと言ってすみませんでした」
私は立ち止まって頭を下げた。
和也「昨日?何かあったっけ?」
未来虹「えっ?昨日ですよ?部活終わった後に」
和也「う〜ん。あっ!それより今日はありがとう!助かったよ。またみんなに怒られるところだったよ!」
監督は何事も無かったかのように笑顔で話し始めた。私はその優しさが嬉しくて涙が溢れてきた。
和也「えっ!?どうしたの?何かあった?もしかして、みんなに嘘をつくのが辛かった?」
私は首を横に振ったが監督はテンパっていた。
未来虹「監督、絶対覚えていますよね?」
和也「うん。でも、気にすることじゃないよ?これからゆっくりお互いのこと知っていこうね?」
監督はそうやって言うと私の頭を撫でてくれた。私はその瞬間、今まで感じたことのない感情を感じていた。
未来虹「ありがとうございます。あの、これから和也先輩って呼んでもいいですか?」
和也「いいよ!なら俺は未来虹って呼んでもいいかな?」
未来虹「はい!お願いします!」
和也先輩と私は笑い合った。そして、再び歩き出して和也先輩はお家まで送ってくれた。そして次の日。
菜緒「なぁなぁ、いつの間に未来虹は和君と仲良くなったん?」
美玖「わかんない。なんか未来虹凄い笑顔だね」
陽菜「もしかして、一番弟子の座をねらっているのかな?」
好花「それはないから大丈夫だと思うよ」
鈴花「ふふっ、遂に未来虹も先輩の良さに気づいちゃったかぁ〜!」
みんなが見ていることも知らずに、私は和也先輩に話しかけていた。私は改めてアイドル部に入れてよかったと思ったのだった。

■筆者メッセージ
しばらく夜に更新できないので、この時間に更新します!

日向坂後援会さん、サムさん、うさん、マスターさん
コメントありがとうございます!みんなの期待に応えれるよう頑張ります!
しゃもじ ( 2021/06/26(土) 11:19 )