日向高校




























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第16章
お嬢様みたいな女の子
和也は鈴花と別れて、屋上に向かった。何故かチラシを配るのを禁止されて、やることがなくなったので屋上で横になることにした。最近は暑くなくなったので、日陰ではなく、お気に入りのベンチにいることが多くなった。ベンチに向かうと知らない女の子が横になっていた。この学校に来て、しばらく経ったが一度も見たことない子だったので、気になって顔を見ていると、彼女が目を覚ました。
和也「あっ、ごめんなさい。怪しいものではありません」
???「眠いなぁ〜」
彼女は目を擦りながら起き上がる。
???「えっ、王子様?」
和也「王子様??誰のこと?」
和也は周りを見渡したが、自分の他に誰もいなかった。
???「すみません。夢を見ていたみたいで、寝ぼけていました」
和也「ふふっ、そうなんだね。寝ていたのに邪魔しちゃってごめんね?」
???「いえ、大丈夫です!気にしないで下さい」
和也「ありがとう。俺もここのベンチが好きで良く寝てるんだ」
???「そうなんですね!ここから見る景色は綺麗ですもんね」
彼女は優しく微笑んだ。
???「それではそろそろ私は戻ります。失礼します」
丁寧にお辞儀をしてその場から離れていった。(普通に話してたけど誰なんだろう)そんなことを思いながら、和也はベンチに横になった。しばらくして、教室に戻るとアイドル部のみんなが集まっていた。
史帆「あっ!和君どこいってたの〜?」
和也「屋上にいたよ。みんなどうしたの?」
紗理菜「今日から一年生に転校生が来るみたいでその話をしていたの」
美玲「しかも3人もだよ!同じ日にすごいよね〜」
和也「そうなんだね。あっ、もしかしたら3人のうち、2人は会ったかもしれない」
久美「えぇ!和也君もう会ったの?」
和也「たぶん。1人はスマホを拾ってくれた子で、もう1人はさっき屋上のベンチで寝てた子かな?見たことない子だったから」
愛奈「どんな子だったの?」
和也「うーん。1人は背の大きな子で、もう1人はお嬢様みたいな子だったかな」
京子「そうなんだ。会ってみたいなー」
彩花「お昼休みは一年生の教室近くでチラシ配ってみよ?」
芽依「うん!もう1人の子も気になるね〜」
優佳「そうだね。どんな子なんだろうね」
みんなで転校生の話で盛り上がっていると、白石先生が入ってきた。
白石「佐藤君、土曜日はありがとね!新メンバーの募集の調子はどう?」
和也「いえ、先生も料理と片付けありがとうございました。とりあえず、朝チラシを配って、お昼も配ってみます」
白石「そっか!ありがとね〜!それじゃHR始めるから、みんなも教室に戻りなさい」
『はーい』みんなは自分の教室に戻っていった。そして、午前の授業が終わって昼休みになる。お昼ご飯を素早く済ませて、チラシを配り始める。
史帆「アイドル部です!よろしくお願いします〜!」
和也「よかったら入ってください!あっ!」
和也は朝、屋上で会った女の子を見つけて駆け寄った。
和也「アイドル部です。よかったらどうぞ」
和也は彼女にチラシを渡すと、それを受け取って微笑みながら立ち去っていった。
紗理菜「綺麗な子だね〜!」
彩花「めっちゃ可愛い〜!」
愛萌「彼女がうちのクラスに転校してきた、森本茉莉さんです!」
美玖「フランスに住んでたことあるみたいですよ」
『フランス!?』みんなフランスと聞いて驚いている。
菜緒「しかも、めっちゃお嬢様という噂ですよ」
久美「ほんとに?アイドル部に入ってくれないかな?」
明里「おっとりしてそうなのに、剣道3級らしいですよ!」
ひなの「字もすごく達筆と聞きました」
陽菜「色々な部活からスカウトされてるらしいです!」
美玲「そうなんだ!みーぱん達も負けてられないね!」
京子「よし!和に任せた!!」
和也「えぇ?なんで俺なの?」
史帆「だって和君は監督だからね〜」
ひより「監督なら大丈夫です!」
鈴花「よし!監督いってらっしゃーい!」
好花「頑張ってくださいね〜!」
みんなに後押しされて、彼女を探しに行った。とりあえず、屋上を探してみることにした。屋上に行くと、ベンチで横になっている人を見つけ、近寄ると森本さんだった。和也はどう話をかけるか考えて会えると、彼女のスマホが鳴った。
森本「ふふっ、お母さんからだ!」
彼女はスマホを見ていると和也の存在に気づいた。
和也「あっ、どうも。決して怪しい者ではないです」
森本「・・・。朝もここで会いましたか?」
和也「覚えててくれたんだね!よかった

森本「今思い出しました!それでどうかしましたか?」
和也「あの、今日から転校生してきたんだよね?部活動に興味ないかな?」
森本「ふふっ、ありません!」
(・・・。終わった。)和也は少し心が折れそうになったが、みんなにお願いされたのでもう少し頑張ることにした。
和也「そうなんだね。もし、よかったらでいいんだけど、アイドル部って部活があるんだ。本格的なアイドルを目指してて、部活のみんなもいい人だから、よかったら是非」
森本「うーん。帰宅部でいいんじゃないかとお母さんと話してて」
和也「そっか。時間取らしちゃってごめんね」
森本「いえ、お話してると楽しいので!また、会ったらお話してくれますか?」
和也「うん。いつでも気軽に話しかけてきてね」
和也がそう言うと彼女は嬉しそうに笑っていた。
森本「ありがとうございます!それでは教室に戻ります!」
彼女は教室に戻っていった。和也はスカウトに失敗してしまったので、みんなになんて言おうか悩んでいた。
その日の夜の森本家。
森本「ママ〜!今日、面白い人に会ったんだ!」
森本母「そうなの?どんな人?」
森本「先輩だと思うんだけどね〜」
和也は森本家で話題になっていることは知らなかった。

しゃもじ ( 2021/06/20(日) 05:12 )