日向高校




























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第15章
聖母の優しさ
みんなに散々怒られた後に教室に戻った。
和也「あー疲れた〜」
席に座りぐったりしてしまう。
潮「今日は凄い怒られたもんね〜!あっ!そうだ!これを聴かせてあげるよ」
潮さんはそういうと鞄の中から何かを取り出した。「シャラーン♪」丸い玉を振って音が流れる。
和也「その玉はなに?」
潮「これはガムランボールって言ってね、別名ドリームボールとも言われるんだぁ!幸せを呼んで、願いを叶えてくれるんだよ」
潮さんは優しく微笑んで、ずっと鳴らしたくれていた。
和也「綺麗な音だね」
和也は潮さんが、みんなから聖母って言われるのが納得できた。潮さんはみんなから怒られている時は、いつも止めてくれる。だが、この先、潮さんも一緒になって、和也を怒ることになるなんて和也はまだ知らなかった。
白石「はい、みんな席に着いて〜!今日はいいお知らせがあります!」
みんなは何事かとざわざわしていた。
白石「それじゃ入ってきて〜!」
先生がそういうと教室に影山さんが入ってきた。
白石「留学から帰ってきて、今日からみんなと一緒に勉強することになったからね!」
影山「みんなまたよろしくね〜!あっ!監督じゃん!」
白石「あれ?影山さんは佐藤君のこと知ってるの?」
影山「朝、屋上にいたらみーぱん達に怒られてたんです。写真?のことで」
白石「あーあの写真ね〜」
白石先生はそれを聞くと笑っていた。こっちはその写真のせいで、朝から散々な目にあったのに呑気なものだ。
白石「それじゃ、あそこの席が空いてるから座ってね〜!」
午前の授業が終わって昼休みになる。部室横の木陰のベンチに座ってご飯を食べている。みんなは影山さんと一緒に、白石先生に入部届けを出しに行ったので、1人で休憩していた。
菜緒「またパンばっかり食べてる!」
和也「あっ、菜緒。どうしたの?」
菜緒「和君とご飯食べたかったから。屋上に行ってもいなかったからここかなって」
そう言って菜緒は横に座った。
和也「そうなんだね。ここは誰も来ないから落ち着くんだよね」
菜緒「菜緒もこの場所が1番好きなんだぁ〜!」
和也「そうなの?なんで?」
菜緒「ここから、全てが始まったから。和君にアイドル部に誘ってもらって、仲良くなって。全部ここからスタートしたんだ」
和也「そうだね。あれからもう半年経つんだね」
菜緒「まだ半年だよ!これからずっと和君に側に居てもらうんだから!」
和也「ふふっ。そうだね!みんなと一緒に居れるように頑張らなきゃ」
菜緒「もう!そういう意味じゃなかったんだけどなぁ〜!」
菜緒は少し拗ねていたが、何のことか全く分からなかった。
和也「ん?どういう意味だったの??」
菜緒「自分で考えて下さーい!あっ、和君にこれあげるね!」
菜緒はお弁当からおかずを箸でつかんで、和也の口に近づけた。
和也「えっ?食べていいの?」
菜緒は頷いて、和也はおかずを食べた。菜緒「どう?美味しい??」
和也「すごく美味しいよ!ありがと」
そして、菜緒と一緒に休憩して教室に戻る。
影山「あっ!監督、どこに行ってたの?」
和也「影山さん、どうしたの?」
影山「無事にアイドル部に入部出来ました!これからよろしくね!」
和也「そっか。こちらこそよろしくね」
影山「それと、私のことは影山さんじゃなくて、かげこって呼んでね!」
和也「・・・かげこ?」
和也は少し困惑していた。さすがにその呼び方で呼ぶのは恥ずかしいからだ。
影山「やっぱりだめかぁ〜。なら、優佳って呼んでね!」
和也「うん。わかった!今日の部活は遅れるから、久美に色々聞いてね」
優佳「はーい!それじゃまた部活でね!」
優佳は自分の席に戻っていった。
午後からの授業も終わって、和也は、自分のクラスと部活で披露するピアノの練習をする為に、音楽室に向かった。家に帰ってから練習しているので、指の動きもだいぶスムーズになってきた。ピアノの練習をしていると、音楽室に潮さんが入ってきた。
潮「私も練習していいかな?」
潮さんはクラスの指揮者に選ばれたので、ピアノに合わせて練習をしたかったみたいだ。
和也「うん!いいよ!俺もそっちの方が練習になるから」
こうして、潮さんと練習することになった。しばらく練習をして、部活に行くことにした。
潮「あっ!そうだ!佐藤君にこれをあげたかったんだ!」
潮さんは鞄の中から、カエルの形をした謎の物を取り出した。
和也「なにこれ?カエル?」
潮「これはギロって言ってね、背中をこうすると音が出るの!邪気を払ってくれたり、願い事を叶えてくれたりするんだよ!これ聴いて、合唱祭で最優秀賞取ろうね!」
和也「ありがと!大事にするよ。合唱祭頑張ろうね」
潮さんは笑って頷いた。そして、2人は部室に向かったのだった。

しゃもじ ( 2021/06/11(金) 08:21 )