日向高校




























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第13章
競い合う2人
翌日、菜緒が昼から来るので、午前中に商店街に向かった。
「いつも手伝ってくれてありがとうね」
商店街の人が声をかけてくれる。
和也「いえ!逆に本当にありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか」
「お礼なんていいから!これからも頼むよ!」と笑顔で言ってくれる。本当にいい町だと思うのだった。
和也「それでは!来週取りに来ます!」
昼まで手伝って家に帰った。母さんと父さんはもう出かけており、机の上にはメモ書きとお金が置いてあった。菜緒が来る前に部屋の掃除をして、帰りにコンビニで買ったカップラーメンを食べる。
「ピンポーン」インターホンが鳴って玄関を開ける。
菜緒「こんちにわ!今日はよろしくね」
和也「いらっしゃい!上がって!」
菜緒が来て家の中に入る。
菜緒「また栄養がないものを食べてる!」
菜緒は食べかけのカップラーメンをみて少し怒っていた。
和也「でも美味しくてさ。菜緒はこれ食べたことある?」
菜緒は首を横に振った。「一回食べてみて!」和也はそう言って菜緒にラーメンを渡す。菜緒はラーメンを一口食べた。
「美味しい!!」そう言って次から次へと口に運ぶ。
菜緒「あっ!全部食べちゃった!」
菜緒は美味しかったのか、全部食べ切ってしまった。
和也「あははっ!そんなに美味しかったんだね!」
菜緒「ごめんね?和君のご飯なのに」
和也「いいよ!だいぶお腹いっぱいになってたから」
菜緒「ありがと!夜ご飯は菜緒がいーっぱい作るからね!」
そう言って菜緒が和也に寄り添った。
2人はソファに座って、菜緒が借りてきた映画を観ていたが、久しぶりにゆっくりと時間を過ごしているためか、睡魔が襲ってきてしまった。気づいたら意識がなくなっていた。どれぐらいの時間が経ったのだろうか。気づいたら菜緒の膝の上で寝ていた。
菜緒「あっ、起きた。おはよ!」
和也「ごめん!寝ちゃったよ」
和也は起きあがろうとしたが、菜緒がそれを止めた。
菜緒「ううん。疲れてるもんね?今日はゆっくりする約束だったから、まだ横になってていいよ?」
菜緒はそう言って和也を寝かして、頭を撫でていた。
和也「なんだろう。凄く居心地がいい」
菜緒の膝の上で頭を撫でられるのは凄く安心感があった。
菜緒「それはよかった!いつでもしてあげるから言ってな?」
その安心感と菜緒の優しい表情が落ち着いた時間となり、和也はまた眠りについてしまった。
和也が目を覚ますと陽は傾きかけていた。菜緒を見ると菜緒眠っていた。
そのまま寝かしてあげたかったが、買い物に行かないといけないので、かわいそうだったが起こすことにした。
和也「菜緒起きて!そろそろ買い物行かなくちゃ」
菜緒「あっ、うーん。和君?おはよ」
和也「おはよ!ってまだ目が開いてないよ」
菜緒「うーん。起きる〜!起きるからチューして?」
菜緒はキスをねだんできたので、和也は唇を合わせた。「よし!起きる!!」菜緒はそう言って起き上がった。そして、2人で近くのスーパーに向かった。
菜緒「和君は何が食べたい?」
和也「うーん。あれがいいな、豆腐のハンバーグ!」
菜緒「豆腐ハンバーグね!おっけぇー」
菜緒は次々と食材をカゴに入れる。
菜緒「これぐらいでいいかな!」
会計を済ませて家に帰ると、家の前でウロウロしている美玖がいた。
和也「美玖どうしたの??」
美玖「あっ!先輩!これうちの親からなんですけど、いつもお世話になっているからもっていきなさい!って。それで家の前に着いたんですけど、なんて言おうか考えてて」
美玖は早口で今の状況を説明していた。
和也「ありがとう!いただくね」
美玖から荷物をもらった。
美玖「ところでなんで菜緒がいるの?」
菜緒「今日和君の家に泊まるからだよ?」
美玖「えっ?そうなんですか?」
美玖は驚いた表情で和也を見る。
和也「えっと、今日から親が旅行に出かけていないからさ。それで菜緒が夜ご飯を作ってくれるんだ」
美玖「そうなんですか!あの・・・私も泊まっていいですか??」
和也「えっ?それは菜緒がいいならいいけど」
和也が菜緒の方を見る。
菜緒「いいんじゃない?」
和也「らしいですよ?」
美玖「ありがとうございます!親に連絡しますね!」
美玖が少し離れて電話をかけ始めた。
和也「本当にいいの??」
菜緒「うん!ここでダメって言ったら美玖がかわいそうだし」
和也「そっか。菜緒は優しいね」
そう言うと菜緒は微笑んだ。
美玖「菜緒も一緒ならいいって言っていました!」
和也「そっか、ならよかったよ。それじゃ家に入ろっか」
3人は家の中に入った。
菜緒「ご飯作るからゆっくりしててね」
美玖「私も手伝うよ!」
菜緒「美玖も休んでていいよ?」
美玖「ううん!突然泊まらせてもらうことになったんだから、お手伝いぐらいさせて?」
菜緒「そっか、ならお願いしようかな?」  
2人が夜ご飯を作ってくれている間にお風呂にお湯を入れて、部屋に布団を運んだりしていた。料理も出来始めて、だんだんいい匂いがしてきた。
菜緒「和くーん!出来たよ〜!」
ソファでテレビを観ていたら菜緒に呼ばれた。テーブルには菜緒が作った豆腐ハンバーグに、たぶん美玖が作った肉野菜炒めが置いてある。
和也「美味しそうだね!2人ともありがとう」
『いただきます!』2人が作ってくれたご飯を食べようとすると
菜緒「和君?菜緒が作ったハンバーグから食べてな?」
美玖「先輩、まずは野菜から食べた方がいいから、野菜炒めの方がいいですよ?」
菜緒「ハンバーグ!!」
美玖「野菜炒め!!」
和也「あの・・・順番にね?なら、ハンバーグから食べようかな」
そう言うと菜緒は笑顔になった。ハンバーグを一口食べる。
和也「うん!やっぱり菜緒のハンバーグは美味しい!」
菜緒「やったぁ〜!嬉しい!」
美玖「やっぱりって前も食べたことあるんですか?」
和也「前、菜緒がお弁当作ってくれて、その時にこのハンバーグが入ってたんだ」
美玖「ふーん!先輩!次は野菜炒め食べて下さい!」
次に美玖が作ってくれた野菜炒めを食べる。
和也「うん!これも美味しいよ!味付けが最高!」
美玖「やったぁ!!いつでも作ってあげますからね!」
菜緒「和君!どっちの方が美味しかった?」
美玖「たしかに!どっちの方が良かったですか?」
和也「えっ!?どっちも美味しいけど」
『どっちか!!』2人の勢いに圧倒される和也。
和也「えーっと、あれだよ、ハンバーグと野菜炒めって違う料理だから、どっちが美味しいってのは決まらないよ!」
和也は苦し紛れな言い訳をしてその場をやり過ごそうとした。
菜緒「うーん。確かに!」
美玖「同じ料理じゃないから、どっちかは決めにくいね」
2人は納得してくれたようでホッとしたが、この後も2人の競い合いが始まらないかとヒヤヒヤする。
菜緒「んっ!美玖が作った野菜炒め美味しい!!」
美玖「菜緒が作った豆腐ハンバーグも凄い美味しい!」
2人は仲良くお互いの料理を食べあっていた。この状況についていけない和也であった。

しゃもじ ( 2021/05/30(日) 14:34 )