日向高校




























小説トップ
第9章
隠された真実
白石先生と話が終わったあと、購買にお昼ご飯を買いに行こうと職員室を出ると菜緒がいた。
和也「どうしたの?誰かに用事?」
菜緒「和君待ってた。紗理菜さんに聞いたら、白石先生に呼ばれたって言ってたから。」
和也「俺か。どうしたの?」
菜緒「お弁当作ってきたから、一緒に食べよ?」
和也「ほんとに?嬉しい!」
菜緒と一緒に屋上に行った。
和也「なんだこれ?」
菜緒「誰かさんのせいで屋上に人がいっぱいやな〜」
屋上はいつもより人がおり、なぜか女子が多い。
和也「俺のお気に入りの場所にまで人がいる。何かあったのかな?」
菜緒「あほや・・・」
菜緒は小声で呟き、階段を降りて行く。
和也「今なんて?聞こえなかった!」
菜緒「あそこで食べよ。多分人いないから。」
和也「あそこってどこ?」
和也は菜緒について行く。
菜緒「ここにしよ。誰もいないし」
そこは、菜緒をアイドル部に誘った時の、部室近くの木陰のベンチだ。
和也「懐かしいな〜。ここで菜緒を誘ったんだっけ。」
菜緒「覚えていたんだね。」
和也「菜緒とのことだから忘れないよ。」
菜緒は嬉しそうに微笑んだ。
菜緒「はい。お弁当。菜緒の手作りやで?」
お弁当をもらい開けると、色とりどりのおかずが入っていた。
和也「ありがと。作るの大変だったよね?」
菜緒「大変じゃないよ?和君が体育祭頑張ったご褒美。」
和也「頑張ってよかったよ。食べていい?」
菜緒「召し上がれ!」
和也はハンバーグを箸で掴み口に運ぶ。
和也「うまっ!!でも、普通のハンバーグと何か違う。」
菜緒「それは豆腐ハンバーグなの」
和也「豆腐ハンバーグ。初めて食べた!めちゃくちゃ美味しいよ!」
菜緒「よかった。今度大きいの作ってあげるな〜!」
和也「ありがと!めっちゃ食べたい!」
菜緒のお弁当はどれも美味しく、あっという間に食べ終えた。
和也「ごちそうさま!美味しかった。ありがと!」
菜緒「いえいえ。ところで聞きたいことがあるんだけど。」
菜緒が急に真剣な顔になる。
和也「急にどうした?」
菜緒「体育祭の練習の時に、菜緒がビンタした一年生の子と何かあったよね?」
和也「何もないよ?なんで急に?」
菜緒「リレー終わった後に、謝りにきたのがどうも引っかかって。」
和也「何もないよ?気にしないで?」
菜緒「うそ。お願いだから教えて?」
菜緒が涙目で和也をみる。和也はこれ以上秘密にするのは無理だと思った。
和也「わかった。でも、もう終わったことだから気にしないでね?」
そう言って、何があったのか全て話した。話した終えると菜緒は泣いていた。
菜緒「菜緒のせいでごめんね・・・和君ごめんね・・・」
菜緒は自分を責めた。和也はこうなることを予想していたので、菜緒には言えなかった。
和也「菜緒のせいじゃないよ?だから、気にしないで?」
菜緒は泣き止まなかった。もうすぐ、昼休みが終わる時間になる。和也はこのままには出来ないので、潮さんに「体調が悪いから保健室に行くから、先生に伝えてほしい」と送り、宮田さんに「菜緒と一緒だけど、体調が悪いみたいで、保健室に行くから伝えてほしい」とメッセージを送った。幸いなことに、部室の鍵は和也が持っているので、菜緒を部室に連れて行く。菜緒はまだ泣いていた。和也は背中を摩る。段々菜緒も落ち着きを取り戻してきた。
和也「気にしなくていいからね?」
菜緒「でも・・・菜緒のせいで和君が辛いめにあった・・・」
和也「全然辛くないよ。それよりも、俺は菜緒が怒ってくれて、守ってくれた事が嬉しかったんだ。祐が亡くなった時に、このままずっと1人だと思ってたんだ。でも、菜緒が俺を守ってくれたから、俺も菜緒の気持ちを守りたかった。」
菜緒「でも、もし負けてたら菜緒は、アイドル部のみんなに顔向けできなかったよ。」
和也「大丈夫だよ。もし、負けてたとしても、監督として辞めて、マネージャーとして再入部する予定だったから。」
菜緒「ふふっ。なんやそれ。めっちゃズルやん。」
和也「やっと笑った。菜緒は笑顔が1番可愛いよ。」
菜緒「だから、前も言ったけど笑顔じゃない時が可愛くないみたいやん。」
和也「ずっと可愛いから大丈夫」
菜緒の頭を撫でる。
菜緒「和君。チューして。」
和也「えっ、でもここ学校だし。」
菜緒「いいから。一回だけお願い。」
和也は菜緒にキスをした。そのキスは、今までにないぐらいしょっぱい味がした。
菜緒「あーあ。初めて授業サボっちゃった。」
和也「俺も。なんかドキドキするね。」
菜緒「和君。いつも守ってくれてありがと。今度お礼するね。」
和也「そんなのいいよ」
菜緒「それじゃ菜緒の気が済まん。」
こうなると菜緒は引かない。
和也「ん〜なら今週ずっとお弁当作って?菜緒のお弁当美味しかったから、毎日食べたい。」
菜緒「そんなんでいいん?それでいいならいいけど。てっきり、身体を求められるかと思った。」
和也「そんなことしないよ。」
菜緒「金村としたもんね。」
和也「なんで知ってるの??」
菜緒「やっぱり。」
和也「えっ?知らなかったの?」
菜緒「なんか怪しいと思ったの。女の勘は鋭いんやで?」
和也「以後気をつけます。怒ってる?」
菜緒「怒ってはない。和君はみんなの監督だから。でも、ヤキモチは妬いてる。」
和也「ごめんね?ありがと。」
すると菜緒は和也に抱きつく。
菜緒「今度は菜緒をいっぱいかまってね。」
和也は菜緒の頭を撫でて「うん。」と返事を返した。菜緒は5限目の授業が終わるまでずっと抱きついていた。

しゃもじ ( 2021/05/08(土) 22:01 )