日向高校




























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サイドストーリー
美穂の誕生日
(今日こそは絶対に言おう)
ある日、美穂はある事を伝える為に気合いを入れていた。

美穂「なっちょさん、先輩いますか?」
昼休みにぬり、美穂は和也の教室に入って、紗理菜に話をかけた。

紗理菜「和也くんなら急いで購買に行ったよ?」
美穂「急いで?そうですか!ありがとうございます!」
美穂はお礼を言って急いで教室を出た。

紗理菜「あっ!美穂!行っちゃった…」
愛奈「美穂、なんやって?」
紗理菜「和也くんを探してるみたい」
愛奈「美穂ってもうすぐ誕生日だよね?」
優佳「なるほどね〜!乙女だね〜!」
紗理菜「そう言うことか!上手くいくといいね」
3人は美穂の目的を勘づいたのか、美穂が出て行った教室のドアを見つめて微笑んだ。


美穂「先輩どこかな〜」
お昼ご飯を買いにたくさんの人が購買に集まる。
そんな中、人混みから抜け出してきた和也を見つける。

和也「ふぅ〜。やっと買えた〜」
(ふふっ、可愛いなぁ〜)
やっとの思いで買えたパンを見て微笑む和也を見て、美穂も微笑んだ。

美穂「せーんぱい!嬉しそうですね?」
和也「あっ、美穂!ちょうど良かった!これ、今日新発売のパン!」
和也は美穂に買ってきたパンを差し出す。

美穂「えっ、私にですか?」
和也「うん。前、食べてみたいって言ってたでしょ?」
美穂「覚えててくれたんですか…?」
和也「ちょっとだけ記憶力がいいかなね?あっ、でも、美玲には内緒で!1つしか買えなかったからさ」
美穂「ふふっ、どうしようかなぁ〜」
美穂はイタズラな笑みをする。

和也「お願い!じゃないとまた怒られちゃう!」
和也は手を合わせてお願いする。
(ふふふっ、なんで先輩がお願いしてるんだろう?)
美穂は和也の行動に笑いが抑えきれなくなる。

美穂「なら、お願い聞いてください!」
和也「お願い?なんでも聞きます!」
美穂「この後、一緒にお弁当食べませんか?」
和也「そんなことでいいなら!」
美穂「それじゃ、行きましょ?」
美穂は和也のブレザーの袖を掴んで歩き出した。

美穂「今日は暖かいですね〜」
今日は2月にしては暖かかった。

和也「そうだね。なんか暖かいとお腹空くなぁ〜!」
美穂「そうですね!早く食べましょ?」
2人はベンチに座って、買ったパンを食べ始める。

美穂「んっ!美味しい〜!」
新作のパンを一口食べて、美穂は幸せそうな顔をする。

和也「そんなに?」
美穂「はい!食べてみますか?っていっても、先輩が買ってくれたんですけど」
和也「いいの?なら、いただきます!」
和也は美穂からパンを受け取って、一口食べた。

和也「ほんとだ!うまい!」
美穂「そうですよね!私、ハマっちゃいました!」
和也「俺も!また、明日買わなきゃ!」
美穂「その時はみーぱんさんの分もですよ?」
和也「そうだね!」
和也と美穂は目を合わせて笑いあった。


『キーンコーンカーンコーン』
お昼休みが終わる5分前のチャイムが鳴る。
和也「そろそろお昼休みが終わるし戻ろうか?」
美穂「そうですね!」
ベンチから立ち上がり、出入り口に向かう?

(言わなきゃ、言わなきゃ)
美穂「あ、あの!」
和也「あのさ!」
2人は同時に言葉を発した。

和也「あっ。美穂からどうぞ」
美穂「いやいや、先輩からお願いします」
和也「わ、わかった。あ、あのさ、今週の休みなにしてるかな?」
その日は美穂の誕生日だ。

美穂「今週ですか?」
和也「もし、予定がなくて暇だったらでいいんだけど、遊びに行かない?」

美穂の願いが通じたのか、和也の方から誘ってくれた。
美穂は嬉しさのあまり顔がニヤけそうになってしまう。
和也「美穂…?」
美穂「あっ、すみません!今週ですよね?暇です!めちゃめちゃ暇してます!」
和也「そっか。なら、10時に家に迎えにいくね?」
美穂「はい!!それじゃ、私は先に戻ります!」
美穂はニヤけた顔を見られたくなかったので、急いで自分の教室に戻った。

和也「美穂!?……。美穂は何が言いたかったんだろう?」
美穂の後ろ姿を見て和也は首を傾げた。


美穂「やったぁ〜!」
教室に入ると、嬉しさのあまり叫んでしまう。
鈴花「びっくりした!みーたん、急にどうしたの?」
好花「この表情はなにか嬉しいことがあったな?」
美穂「わかる?今日はいい1日だなぁ〜!」
鈴花「急になに?なにがあったの?」
美穂「なーいしょー!絶対教えない!」
好花「ええやん!教えてや〜!」
2人が美穂にじゃれ合う。
すると、「ううん!!」と後ろから咳払いする音が。
3人は恐る恐る後ろを振り返る。

白石「ふふふっ、私の授業の前に騒いでる理由を聞かせてもらおうかな?」
白石は笑っているが目が全く笑ってなかった。
『ごめんなさーい』3人は慌てて自分の席に座った。
クラスメイトから笑いが溢れた。


そして、迎えた誕生日当日。
美穂は鏡を見ながら、リップを塗った。
美穂「これでよしっ!」
いつもより気合いを入れてメイクをして、髪の毛も丁寧にコテで巻いた。
クローゼットからお気に入りの白のセーターと黒のロングスカートを取り出して着替える。

着替え終わった後、スマホの画面で時刻を確認する。
待ち受け画面は、和也と花火大会に行った時に撮った写真だ。

美穂はこの日に自分の全てを和也に捧げた。
異性との初めてのデートとお泊まり。初めてのキス。そして、初体験も。
この画像を見る度に、あの日の事を思い出してしまう。

『〜〜♪』待ち受け画面を見ていると、スマホが鳴った。
美穂「うわぁ!ビックリした!も、もしもし!」
和也「おはよ。今、家の前に着いたんだけど」
美穂「は、はい!わかりました!すぐ行きます!」
美穂は電話を切って部屋を飛び出した。

美穂「先輩!おはようございます!」
玄関を開けて、外で待っている和也に挨拶をする。

和也「おはよ!んっ?今日はなにかいつもと違うね?」
(頑張ってお化粧したこと気づいてくれたのかな)
美穂「わかりますか?」
美穂はドキドキしながら和也を見る。

和也「うーん、わかった!髪型が違うんだ!!」
『ガクッ』思わず力が抜けてしまう。

和也「あれ?違った?」
美穂「先輩の鈍感!!」
美穂は頬を膨らませて1人で歩き出した。
和也「ごめん!!ごめんって!」
和也は後をついて来て必死に謝る。
そんな必死に謝る和也を見て、美穂は笑いを堪えるのに必死だった。

美穂「ふふふっ、冗談ですよ?この髪型どうですか?」
和也「なんだぁ〜!ビックリした!うん、可愛いよ!それに、リップ?もいつもと違うし、それも似合ってるよ」
和也は鈍感なりにいつもと違う美穂に気づいていた。

美穂「先輩…。嬉しいです!」
美穂は和也の腕に抱きつき、いつも以上に幸せな表情をした。

その後、ご飯を食べたり、映画を観たり、デートを満喫した2人。

美穂「今日はありがとうございました!」
美穂の家の前に着き、美穂は和也の前に立ってお礼を言った。
和也「こちらこそ。あっ、そうだ」
和也は何かを思い出したかの様に、鞄の中から何かを取り出す。

和也「これ、誕生日プレゼント」
綺麗にラッピングされた袋を美穂に渡した。
美穂「いいんですか…?」
和也「うん。最後になっちゃったけど誕生日おめでとう!」
美穂「先輩!!」
美穂は和也に抱きつき、背伸びをして和也に顔を近づける。

『チュッ』触れ合った唇。
美穂「幸せな誕生日でした!」
美穂は今日1番の笑顔で笑い、放心状態の和也の唇には、美穂のお気に入りのリップがついていたのであった。

しゃもじ ( 2022/02/26(土) 19:42 )