日向高校




























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サイドストーリー
明里の誕生日
美穂「にぶちゃん、そんなに目を細めてどうしたの?」
ある日の部室でプリントを見ている美穂と明里。

明里「昨日遅くまでゲームやってたら目が疲れちゃって〜」
美穂「まさか一緒にやった後も続けてたの?」
明里「だって、昨日は1位が取れる気がしたんだもーん!」
美穂「それで結果は?」
明里「3位だった…」
明里は沈んだ顔をした。その姿を見て「ぷぷっ」と和也は笑いが抑えきれなくなった。

明里「あーっ!先輩が笑ったぁ〜!!」
和也を見て明里が頬を膨らませている。

和也「ごめんごめん。明里を見てたらつい。ほんと、表情が豊かだよね?」
美穂「にぶちゃん、可愛いですよね〜?」
和也「そうだね。なんか、赤ちゃんのまま大きくなったみたい」
明里「それって褒められてるのかな?」
美穂「褒められてるんだよ?」
明里「そうなんだ!やったぁ〜!」
明里は先ほどとは打って変わり、満面の笑みをする。

美玖「にぶちゃーん!ちょっと来て〜!」
「はーい!」明里は美玖に呼ばれて行ってしまった。

美穂「先輩、ちょっと」
手招きされて美穂の横に座る。
和也「どうしたの?」
美穂「先輩にお願いがあるんです」
和也「俺にお願い?どうしたの?」
美穂「にぶちゃん、もうすぐ誕生日ですよね?それで何かしてあげたいんですけど」
和也「あー、俺も考えてた。何したら明里は喜ぶかな?」
美穂「それがですね…」
美穂は和也の耳元である計画を話した。


そして、明里の誕生日当日。
明里は美穂と美玖の家に集まっていた。

『にぶちゃん、お誕生日おめでとう〜!

美穂と美玖がクラッカーを鳴らしてお祝いする。
明里「わぁ〜!!ありがと〜!」
明里は幸せそうな表情をしている。

美玖「でも、よかったの?本当は先輩とお誕生日過ごしたかったんだよね?」
明里「うーん。そうだけど、お願いする勇気がなかったから…」
美穂「先輩ならお願いしたら絶対オッケーしてくれるのに!」
明里「でも、私は美穂と金村にお祝いしてくれるだけで幸せだから!」
美玖「もぉ〜!にぶちゃんは本当に可愛いなぁ〜!」
美穂「そんなにぶちゃんに私達からプレゼントがありまーす!!」
明里「プレゼント!?なになに!?」
明里は周りをキョロキョロと見始める。

美玖「それではどうぞ〜!!」
『ガチャ』美玖の合図と共に部屋のドアが開く。
明里「せ、せんぱい!?」
部屋に入ってきたのは和也だった。

和也「明里、誕生日おめでとう!」
明里「なんで先輩がここに!?」
美穂「それはね〜!」

      〜数日前〜
美穂「にぶちゃん、お誕生日に先輩と過ごしたいみたいなんです。だから、私達と一緒に過ごしてくれませんか?」
和也「私達?美穂だけじゃなくて?」
美穂「金村もです!先輩にお願いしたかったから、金村ににぶちゃんを呼んでもらったんです!」
和也「なるほどね。うん、いいよ!俺も明里の誕生日お祝いしたいから」


美穂「まぁ、こんな感じかな?」
美穂が説明をし終えると、明里は目を大きく見開いていた。
美玖「にぶちゃん、先輩と一緒にゲームしたいって言ってたからね?」
明里「えぇ!?先輩、明里とゲームしてくれるんですか?」
和也「うん。あんまりやった事ないから下手っぴだけどね?」
明里「なら、明里が教えますね!!」
明里はテンションが上がったのか、急にバタバタし始める。

美玖「ふふっ、可愛いなぁ〜!」
美穂「なら、私と金村はケーキ買ってくるんで、にぶちゃんはそれまでに先輩に教えてあげてね?って聞いてないや…」
明里は和也にゲームのやり方を教えるのに必死で全く話を聞いてなかった。

2人は部屋から出ていき、2人っきりになった和也と明里。
しかし、明里は和也とゲームが出来る嬉しさからなのか、全く気にすら素振りがなかった。

和也「あっ、そうだ。明里に渡したいものがあったんだ!」
一通りやり方を教えてもらい、和也は鞄からラッピングされた箱を取り出した。

和也「これ。誕生日プレゼント」
明里「えぇーー!明里にですか!?」
和也「今日誕生日なのは明里だけでしょ?」
明里「嬉しいです!嬉しいです!わぁ〜!開けても良いですか?」
和也「どうぞ?」
明里は和也の返事を聞いて、綺麗にラッピングを剥がし始める。

明里「うわぁ〜!!ブルーカットメガネだぁ!!」
和也「前、ゲームのやり過ぎて疲れたって言ってたでしょ?だから、これにしたんだけど…」
明里「嬉しいです〜!!」
明里は勢いよく和也に抱きついた。

明里「このメガネずっと欲しかったんです〜!先輩、ありがとうございます!」
和也「喜んでもらえたならよかったよ。ただ、ここ美玖の家だよ?」
明里は和也の言葉にハッとして、慌てて離れた。

美玖「ただいま〜!!」
美穂「にぶちゃん、ちゃんと教えてあげた?ってか、なんでそんな顔が赤いの?」
タイミング良く2人が帰ってきた。

明里「ちょっと色々ありまして〜」
明里は恥ずかしいのかモジモジしている。
美玖「あれ?そのメガネどうしたの?」
明里「先輩がお誕生日プレゼントでくれたの!!」
美穂「えぇ〜!いいなぁ〜!ちょっと貸して?」
明里「だめ〜!明里の宝物だもーん!!」
美玖「あっ!にぶちゃんのケチー!!」
美穂「すごい幸せそうな顔してる!」
2人は明里を追いかけた。

明里「だめったらだめだもーん!」
明里はおひさまの様に、いつもみんなを癒してくれる笑顔で笑っていたのだった。

しゃもじ ( 2022/02/16(水) 19:14 )