日向高校




























小説トップ
サイドストーリー
史帆の誕生日
史帆「和くん!!2月2日ってなんの日か知ってる?」

ある日、史帆がワクワクした、何かを期待している顔で和也に話をかける。

和也「2月2日?うーん、なんだろう?」
史帆「えぇ〜!わかんないの?世界で1番ハマっちゃう日だよ〜!」
和也「ハマっちゃう日?あっ!」
史帆「おっ!思い出した??」
和也「さっき陽菜がツインテールの日って言ってた!」
史帆「むーっ!和くんのバカァ!もう知らない!」
史帆は頬を膨らませて去って行った。

(ほんとにこれでよかったのかな?)
和也は史帆の後ろ姿を見て、ちょっと前の出来事を思い出していた。

      〜30分前〜
久美「としちゃんの誕生日?」
和也「うん。最近欲しいものがあるとか、行きたい所があるとか言ってなかった?」

和也は史帆の誕生日の事について、普段から仲の良い久美に相談していた。

久美「うーん、あっ!ここ行きたいって言ってたよ?」
久美はスマホで何かを調べて見せてくれた。
和也「これってあの映画の?」
久美「そうそう!今度、東京で開かれるらしいよ?それ見てすごく興奮してた」
和也「東京か…。史帆の誕生日はちょうど土曜日だから行けないこともないね。うん、ここにしよう!久美、ありがとう!」
和也は久美にお礼を言って、教室に戻ろうとすると、「和也くん待って!」と久美に呼び止められる。
久美「どうせならサプライズの方がいいよ?」
和也「サプライズ??」
久美「うん。絶対としちゃんは誕生日に和也くんと一緒に居たいはずなんだ。だからね…」
久美からアドバイスを貰って、和也はその方法でサプライズをする事にした。

しかし、怒っている史帆を見て、少し不安になるのだった。

そして、史帆の誕生日当日の朝。
史帆は誕生日なのに誰からも誘われることもなく、家で布団の中に包まっていた。

史帆「せっかくの誕生日なのに、メッセージだけで誰も遊びに誘ってくれなかった…」
少し泣きそうになりながら、早く誕生日が過ぎる様に寝ようとしていた。

『コンコン』部屋のドアをノックされるが、あまりの落ち込み具合で無視をしていた。
『ガチャ』誰が部屋に入ってくる気配を感じた。
(ママが洗濯物持ってきてくれたのかな)
そんなことを考えていると、「史帆、出かけるよ?」と大好きなあの人の声が聞こえた。
(和くんのこと考えてたら、空耳が聞こえた)
気のせいだと思って、再び目を閉じる。
和也「まだ寝てる?」
再度聞こえた和也の声。まさかと思い、史帆は布団から顔を出すと、「起きてた。おはよ?」と優しい顔をした和也がした。

史帆「えっ、和くん?夢?」
史帆は自分の頬をつねった。
史帆「痛い…夢じゃない…」
和也「ふふっ、なにやってるの?」
史帆「なんで和くんがお家に?」
和也「なんでって、史帆の誕生日だから?」
史帆「覚えててくれたの…?」
和也「当たり前でしょ?世界で1番ハマってる日なんだからさ?」
史帆「和くん!!」
史帆は起き上がり、泣きながら和也に抱きついた。

和也「せっかくの誕生日なんだから泣かないの?」
史帆「だっでぇ〜、ゔれじいんだもーん」
和也「忘れてたフリしてごめんね?」
史帆「ううん、今、幸せだから大丈夫」
和也「ありがとう。じゃあ出かける準備するよ?」
史帆「そういえば出かけるってどこに?」
和也「まだ内緒。それじゃ、俺は夏帆ちゃんと遊んでるから、準備が出来たらリビング来てね?」
そう言って和也は史帆の部屋から出て行った。

史帆は出かける準備が終わって、リビングに向かった。
史帆「どうかな…?」
史帆は黄色のケーブルニットにコートを着ていた。
和也「うん、可愛いよ!」
史帆「もう!ママの前なのに照れちゃう〜!」
史帆母「自分で聞いたんでしょ?それより、時間大丈夫?」
和也「あっ、そうだ。それじゃ、おじゃましました!史帆、いくよ!」
和也は史帆の手を握って、家から出て駅に向かった。

史帆「ねぇ、どこいくの〜?」
何度も電車を乗り換えて、外はだんだん都会になっていく。
和也「まだ内緒。楽しみにしてて?」
史帆「ぶーっ!ケチ〜!」
少し拗ねる史帆を見て、和也は笑っていた。

そして、長い電車移動が終わり、東京に着いた。
史帆「東京だぁ〜!!久しぶりに来たね?」
和也「って言っても去年の夏だけどね?それより、急がなきゃ!」
和也は史帆の手を握って歩き出した。

和也「ここだ!」
少し歩いて目的地に着いた。
史帆「えっ?ここって!!」
着いた先は、史帆が大好きと言っていた魔法学校を舞台にした映画の展覧会だった。
和也「史帆、来たがってたんだよね?」
史帆「うんっ!!わぁ〜!嬉しい〜!」
史帆は身体をクネクネして喜んでいる。
和也「それじゃ、中に入ろ?」
史帆は頷いて、2人は展覧会を見に行った。

史帆「うわぁ〜!すごーい!!」
中に入るとすぐに史帆が興奮状態になる。
史帆「わー!これ、映画で観た〜!和くん、見て!これはねぇ〜」
史帆が楽しそうに解説して、和也はそれを嬉しそうに聞いている。

そして、楽しい時間はあっという間に過ぎていき、帰る前にグッズ売り場に向かった。
史帆「うーん、どっちがいいかなぁ〜?」
史帆は魔法の杖を買おうとしていたが、いつも通り、2種類で悩んでいた。
和也「ちょっと貸して?」
和也は史帆から杖を受け取って、どっかに歩いて行った。
史帆「えっ?和くん?」
少しして、袋を持った和也が戻ってきた。
和也「右か左か?」
和也は袋を身体の後ろに隠すと、史帆に質問する。
史帆「えっ?あっ、左!」
和也「はい、これが史帆の杖」
和也は史帆に袋を渡した。
史帆「えっ?えっ?」
和也「悩んでたもう1つは俺が持ってるね?」
史帆「和くん…」
史帆の目から涙が溢れた。
和也「えっ!もしかして、嫌だった?なら、こっちにする?」
史帆の突然の涙にテンパる和也。
史帆「ううん、こっちでいい!和くん、ありがとう!」
史帆は泣きながらお礼を言った。

グッズを買って展覧会を出た2人は帰りの電車に乗った。
電車の中で史帆は幸せそうな顔をして、杖の箱を大事に抱えて寝ていた。
そんな史帆の寝顔を見て、和也は微笑み頭を撫でた。

日向町に戻ってきて、史帆を家まで送っていく。
史帆「あーあ、空飛ぶほうきがあったら、和くんに毎日会いに行くのになぁ〜!」
和也「ほうきがなくても、ほとんど毎日会ってるよね?」
史帆「そうだけどさぁ〜!学校じゃなくて、和くんとお家で一緒にいたいじゃーん!空飛ぶほうき売ってないかなぁ〜」
史帆は本気で空飛ぶほうきが欲しいみたいだ。

そんな話をしていると、史帆の家の前まで着いた。
和也「史帆、改めて誕生日おめでとう」
史帆「うんっ!ありがとう!あっ、そうだ!ちょっと待ってて!」
史帆は袋の中にある箱を取り、箱から杖を取り出した。

史帆「うーん、えいっ!!」
史帆が魔法の杖を振った。
和也「なにしたの?」
史帆「魔法使いとしちゃんが和くんに魔法をかけたの!」
和也「ふふっ、俺はどんな魔法をかけられたのかな?」
史帆「ずーっと、としちゃんにハマってくれる魔法だよ!効果抜群なんだから!」

史帆は今日1番の笑顔で和也に魔法をかけたのだった。

■筆者メッセージ
少し長くなってしまいましたね笑
しゃもじ ( 2022/02/02(水) 19:07 )