日向高校




























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サイドストーリー
ひよりの誕生日
ひより「先輩!!日曜日、何してますか?」
ある日の部活終わり、片付けをしていると、ひよりが話しかけてきた。
和也「日曜日?何もしてないと思うけど、どうしたの?」
ひより「日曜日、ひよたんとデートして下さい!」
和也「デート??」
ひより「はい!デートです!朝の10時に駅で待ってます!それでは!」
ひよりはそう言い残して帰っていった。
美玲「ひよたんからデートに誘われた?」
和也「あっ、美玲。どうしたの?」
美玲「タオル忘れちゃってね!それでひよたんは?」
和也「デートって言ってたから、誘われたのかな?」
美玲「ひよたんも頑張ったね〜!」
和也「でも、ひよりから誘ってくれてよかったよ」
美玲「んっ?なんで?」
和也「もうすぐひより誕生日でしょ?いつものお礼にお祝いしてあげたかったんだけど、どう誘ったらいいか分からなくて」
美玲「おぉ〜!鈍感の和くんもちょっとは良くなりましたなぁ〜!」
和也「あははっ、おかげさまで。それに、プレゼントも買ってあるんだ。あっ、このことはひよりには内緒ね?びっくりさせたいから!」
美玲「和くんもやりますねぇ〜!うんっ!みーぱんと和くんの内緒ね!」
和也「ありがとう、助かるよ」
美玲「いえいえ!その代わり、みーぱんの誕生日もお祝いしてね!それじゃ、用事があるから先に帰るね!ばいばいっ!」
美玲は小走りで体育館を出ていった。
和也「てか、なんで美玲はデートに誘われたこと知ってるんだ?」

      〜日曜日〜 
5分前に駅に着くと、ひよりがもう待っていた。
和也「ごめん、お待たせ」
ひより「いえ!ひよたんも今来た所です!」
和也「ありがとう。それで、朝からどこに行くの?」
ひより「ふふっ、これです!!」
ひよりがかばんからチケットを取り出した。
和也「これって…舞台?」
ひより「はい!ママがプレゼントでペアチケットプレゼントしてくれたんです!だから先輩と観たかって!」
和也「そうなんだ。でも、陽菜とかじゃなくて、俺なんかと一緒でいいの?」
ひより「はい!先輩がいいんです!」
和也「そっか、なんかありがとね?」
ひより「いえ、それじゃ早速行きましょう〜!」

電車に乗ると、ひよりが最近の好きな物について話してくれた。
ひより「花組のこの人がすごくかっこいいんです!」
スマホの画像を見せながら説明をしてくれる。
和也「へぇ〜、女性なのにかっこいいね!」
ひより「そうなんです!ひよたんの憧れなんです!この方のような強いかっこいい人間になりたいです!」
和也「ひよりならきっとなれるよ」
ひより「先輩にそう言ってもらえると嬉しいです!」
その後もひよりは色々なことを話してくれた。
メイクが上手くなりたいや、ゲテモノ料理を食べてみたいなど、楽しそうに話してくれるので、和也も笑って話を聞いていた。

そして、最寄りに着いた。
会場まで徒歩10分程度らしいので、歩いて目的地を目指す。
ひより「あ、あの!デートなんで…手を繋いでもいいですか…?」
和也「うん、どうぞ?」
和也は手を差し出すと、ひよりはそれを嬉しそうに握った。
ひより「ふふっ、先輩の手は大きいですね!」
ひよりの案内で会場近くまで着いた。

ひより「まだ時間ありますね!いい時間なのでお昼ご飯食べますか?」
和也「そうだね、何食べよう?」
ひより「そうですね〜、ゲテモノとか?」
和也「えっ、ゲテモノ!?」
ひより「あははっ、冗談ですよ!ひよたんは今パスタの気分です!」
和也「俺もパスタ食べたいと思ってた!」
ひより「一緒ですね!なら、パスタ食べましょ」
会場近くのパスタ屋を探してお昼ご飯を食べた。

ご飯を食べ終わり、開演時間が近づいたので、会場に入り席に着く。
ひよりは楽しみで興奮しているのか、座ってからソワソワしている。
ひより「あぁ〜、ヤバいわ!」
(ひよりってたまにギャルみたいな喋り方するな)
そんなことを考えると、舞台が始まった。
和也は舞台を観るのが初めてで、あっという間に世界観に取り込まれてしまう。
ミュージカルとはまた違い、迫力、緊張感が凄かった。

そして、あっという間に終わってしまった。
ひより「すごかったですね!あのシーンが…」
会場を出た帰り道、ひよりは興奮が収まらない。
しかし、それはひよりだけではなく、和也も同じだった。
2人は舞台の余韻に浸りながら、日向町まで帰っていった。

日向町に着いて、ひよりの家の前まで着いた。
ひより「先輩!今日はありがとうございました!」
和也「こちらこそありがとう。あっ、そうだ。ひよりに渡したい物があったんだ」
和也はかばんから綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
ひより「ひよたんにですか?」
和也「うん。もうすぐ誕生日でしょ?だから、誕生日プレゼント」
ひより「うそ…覚えててくれたんですか?」
ひよりの目から涙が溢れてきた。
和也「うん。いつも助けてくれてありがとう。そして、ちょっと早いけど誕生日おめでとう」
ひより「うれしいです!開けてもいいですか?」
和也「うん。初めて買ったから、気にいるか分からないけど」
ひよりは綺麗にラッピングを剥がし、箱を開けた。
ひより「香水だ…」
和也「ひよりが欲しがってるって聞いたから、買ってみたんだ。気に入らなかったらごめ…」
喋っている最中、ひよりの顔が近づき、唇に柔らかいものが触れた。
ひより「嬉しいです!絶対使います!」
ひよりは涙を流しながら、太陽のような笑顔をしていた。

翌日、登校していると後ろからひよりの声が聞こえた。
ひより「先輩〜!おはようございます!」
和也「ひより、おはよ。今日早いね?」
ひより「日直なんです〜!先に行くのでまた後で!」
ひよりが通りすぎると、僅かに金木犀の香りが残っていた。

■筆者メッセージ
メンタル回復しました!笑
しゃもじ ( 2021/09/29(水) 07:17 )