5話
やばいあと1枚。最後の1枚に直接魔力を流し込み、何とか攻撃を防いだ。
「まさか防ぐなんて驚いたわぁ」
そんな飄々と言うな。こっちは必死だってのに。リッチはお構い無しに氷の槍を創り、こちらに向かってくる。俺十握剣で向かい打つ。地面から氷の刃が襲いかかってきた。間一髪躱すが、腕にかすり傷を負った。やはり、全ての動きが読まれている。
「あんた魔法覚えたてやな。魔法の使い方がまるでなってないわ」
「おっしゃる通りだ」
リッチの言う通り魔法が使えるようになったのは昨日のことだ。状況によって使い分けるなんてできるわけが無い。
「あんためっちゃレベル高いようやけどほんまに見せかけやな!」
リッチは大鎌を空間にできた黒い丸【マジックポーチ】から取り出す。大鎌を持ったリッチの見た目は死神そのものだ。
これで俺はますます近づきにくくなってしまった。だが、鎌は懐に入ることができれば、魔力を纏った手で払われることも無く、チャンスになる。あるいは......。こうなったらパワープレイだ。スタミナのある限り攻撃を続けるしかない。
「いくぞ!」
俺は勢いよくリッチに向かって駆ける。鎌の柄を目掛けて剣を振りかざす。斬り方など関係ない。何度も何度もがむしゃらになって斬る。いや、振り回すという方が正しかった。
「なんや、焦りすぎておかしくなったん?」
「元からおかしいんだよ」
いいぞ。柄が徐々に磨り減っている。もう少しだ。リッチのように魔力を纏うことができれば楽に壊せるのだろうが、自分にそんなことが出来るのか。分からないが、魔法を使う時のようにやってみるか。