4話
「なんやあんた息上がってんで」
「そっちこそ!」
これが命の駆け引きというものか。なんかすごく怖くてゾクゾクするけど楽しい。けど、明らかにこちらが劣勢だ。
それに、まだリッチは本気を出していない。表情で何となく分かった。確かに息遣いは荒いが、スタミナがないだけで、魔力自体はまだ存分にあるはず。対する俺は、魔力の使い方が下手な分、近接攻撃をするしかなく、魔力に特化したリッチ相手には不利だ。
「じゃあ、そろそろ本気出すで」
リッチは距離をとり、深く構える。そしてテチや俺が攻められないように周りにバリアのようなものを張った。何かものすごい魔法を使うに違いない。
【マーシレスディストラクション/無慈悲な破滅】
リッチの張ったバリアが消えると、轟音と共に禍々しい黒紫の波が襲いかかる。
やばい!本能的に躱しきれないと判断し、何層もの壁を目の前に作る。頼む耐えてくれ。破壊の波が壁を粉砕する音が聞こえた。もっと強度がないとまずい。そうだ!氷を張ればいい。俺は壁の表面に氷を張り、防御力をあげた。
「止まれええ!!」