3話
俺達はモアチルボ平原にやってきた。放牧した羊が草を食べてるような穏やかな平原だ。本当にこんな所に異常があるのか?敵感知を使うと遠くの方でポツポツと敵が増えているのがわかる。あの場所からモンスターが産まれているのか?
「テチ、とりあえず少し歩くぞ」
「はい」
しばらく歩くと、小さなスケルトンが1列に並んで歩いてくる。スケルトンってどうやって倒すんだ?
「テチ、スケルトンってどうやって倒す?」
「基本骨へし折る感じですね」
いや、言い方。けど、少しばかり強引でいいんだな。
「しかし、ユート様の場合光魔法があるんで、スケルトンは一瞬で消えると思いますよ。スケルトンは魔族なので光属性に弱いんです」
光の玉を先行させて進めばいいんだな。俺は光魔法【リヒト】を使った。スケルトンは光の玉が当たると塵になってゆく。
スケルトンを塵にしながら進んでいると、ややあって、しゃがんで地面からスケルトンを生み出している紫のローブを着た女性と対面した。地面を見ていた女性が顔を上げる。フードを被ってよく見えないが、若い。そして美しい。俺と同じくらいだ。
「すいません、スケルトン生み出してたのって君?」
「せやで。あんたがみんな倒したん?」
「まぁ、そうだね」
女性はすっと立ち上がり、俺を見つめる。敵意の眼差しだ。ていうかなんで関西弁?
もしかして、この世界の言葉の訛りが関西弁で翻訳されてるのか?
「絶対に許さへん」
女性の手のひらにに闇の炎が現れた。彼女は手を振り、炎をこちらに飛ばす。見るからに凄まじい威力だ。
「ユート様!相手はおそらくリッチです!気をつけてください!」
「だとしたら、死なないじゃないか!」
リッチの放った炎を躱し、俺はリッチの懐に入り込む。リッチの脇腹を切りつけようとするが、魔力を帯びた手で払われた。
「いい動きやけど、甘いで」
リッチの背後を取ったテチだったが足元の地面から茨のツルが生え、テチの両腕に絡まる。俺は鋼のナイフを創出して投げ、テチに絡まったツルを切り裂いた。
「無属性魔法。あんたなかなかええセンスやな」
「まあな!」
魔族ってのは光に弱いんだったな。だったら刀に光属性の魔力を纏わせればいいだけだ。
リッチは振り下ろした刀を手で弾こうとしたが、サッと一歩退き、躱した。
「クソッ」
「危ない危ない。光属性は苦手やぁ。あ、だからスケルトンがやられた後がなかったんやな」
「お前も同じようにしてやるよ」
「やれるもんならやってみぃ!」
リッチは両手の間に魔力を溜め、俺目がけて黒い玉を放った。