2話
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[やったじゃないレベルアップよレベルアップ]
強力な魔族を1000体も倒したからだろう。ステータスを開くとレベルが250になっている。基本能力値は幸運度を残して全て100とカンストしている。そこに初期値がプラス値として表されている。幸運度も50であるから人並みにはなっているはず。 HPやMPは3000と表記されている。残りスキルポイントは4500と書いてある。とりあえずスキルでも上げるか。剣術スキルは使えそうなヤツは全て欲しいな。レベル1〜9までだし、これは余裕だ。しかも剣術の中にも色々系統があってレベル1あげる事にスキルを5個くらい会得してゆく。
[あんたソードマスターにでもなる気?魔法よ魔法!異世界なら魔法使いでしょ!]
「いやいや、戦士だ戦士!」
魔法を使いたいのは山々なのだが、残念ながら使えそうな魔法スキルがなかった。俺はひとまず剣術スキルをカンストした。あとは耐性スキルにも割り振っておこう。敵探知スキルやマップがわかる空間把握スキルも大事だな。俺はその他にも隠密やら色々と割り振ったのだが、500ほどしか減っていない。それもほとんどが剣術と耐性である。
とはいえ、これからはなかなかレベルが上がらないだろうから残りは必要な時に割り振るとしよう。
さて、次は袋の中を整理だ。勝手に収集してくれるのは便利だと思ったがゴミのようなものも集めてしまうのだな。古びたやら破損したやら使い物にならないものが沢山ある。さすがに選ぶのが面倒だ。
「なあ、女神様。これステータスリングみたいに中身を表示とか出来ないか?」
[ちょっと待ってなさい。神にできないことは無いわ]
転生失敗したクセに。なんてことは思わない方がいいだろう。俺の心に話しかけていると言っていたから心の中も読まれているに違いない。
[出来たわよ。ステータス開いてその隣に袋の中身も見れるようにしたわ]
本当だ。先程までにはなかったタブが現れている。それに、同じアイテムが勝手にスタックされているのも良い。俺はホイホイと使えそうなものと不要なものを分けた。
中には財宝や通貨などもあった。この世界での通貨はユールらしい。9000万ユールと書いてある。1ユール何円かは知らないがいきなり大金持ちだ。それに加え財宝もある。一生楽して暮らせるに違いない。けど異世界に来たからには冒険はしたいよな。これは困った時に使おう。
最後に装備品の確認だ。なかなか面白い装備が多い。剣に関してはカラドボルグというエクスカリバーの元となった聖剣や妖刀村正などがあった。なかでも十握剣(トツカノツルギ)がとても気に入った。日本神話に登場する剣でデザインが好きだ。
他にも魔法銃や槍、大砲や弩を搭載した対空武器などもある。
魔力を発射する魔法銃はランチャー式やショットガン式のものもあったが、小回りの効く連射式のハンドガンタイプを装備した。試し打ちしたところほとんど魔力は消費しないうえ、巨石を貫通するくらいに威力は抜群で、これだけでもある程度の敵は倒せそうだ。
服装はマトリックスに出てくるネオコートに似たものを装備した。単純にカッコよくて強そうだったからだ。
「さてと、そろそろ移動するか。近くの都市は......あったあった」
今いるところから北東にトーカイという都市があった。他の都市は空間把握圏外で、トーカイも1日はかかる距離にあるに違いない。
4時間くらいすると、何も無い草原から抜け出し、なんとか街道に出た。めんどくさいからテレポートなんかないかなと思いながら走っていたが、そもそもスキルに魔法系が見当たらなかったことを思い出した。それならばと持久力スキルと走力スキルをカンストし、韋駄天というスキルを得た。
「やべぇ!これめちゃくちゃ速い!」
まるで動物にでもなったかのようだ。息は荒らげなくても足がスイスイ進む。これならあと数時間でトーカイに着くだろう。
ところで、なんとなくだが、この世界での一日は前の世界よりも長い気がする。何時間なんだろう。女神さま教えてください。
[だいたい36時間ね。]
半日も長いのか。体内時計の調整が大変そうだな。
1時間してトーカイが見えてきた時だ。また女神の声が聞こえてきた。
[ねぇ、そろそろ時間みたい]
以前よりも小さく、ノイズがかった声だった。
転生ミスをしたことを除いては感謝しているぞ。口に出すのは恥ずかしかったから、心の中で唱えた。
[常に神には感謝するべきよ。あなたの旅に幸あれ]