1章
9話
クエストから戻っても日が暮れるまで時間があったため、パーティ参加再び希望者を待つことにした。

「もう少しアピールしといた方が良かったかな」

「うーん、どうでしょう。私はしばらく二人でも全然構いません。なんなら一生でも」

テチの口元が綻んだ。

「回復役は欲しいんだよなぁ」

「私が回復します」

勢いよくテチが立ち上がる。

「テチは回復魔法使えないじゃん」

「頑張って覚えます」

謎のガッツポーズを見せるテチ。

「いや、ダメだ。テチは攻撃魔法に長けているのだから、それを伸ばした方がいい」

「うー」

テチは不満げな表情で渋々座った。

「絶対あんな募集じゃ来ません」

「あ、ついに言ったなお前」

テチのむっちりとした頬を引っ張る。軽いお仕置きだ。

「痛い。痛いです。やめてください」

口から出る言葉に反してテチは嬉しそうだ。この子見た目はクールなのにドMか?ドMなのか?

「私、生まれてすぐ奴隷になって、親も友達もいないまま育ってきたんです。だから、ユート様と過ごすのがとても楽しいです」

テチはニッコリと笑った。正直可愛すぎる。なんだこの小動物のような愛くるしさは。

ややあって、あの受付けのお姉さんがやってきた。ついに希望者か? お姉さんは悟ったらしく、首を横に振る。

「一週間後にあるクエスト受けてほしいんだけどいいかしら?」

なんだクエストか。でもなんか直接依頼頼まれるのってワクワクするな。

「どんな内容ですか?」

パンを齧りながらテチが尋ねる。何かを食べている時のテチはどんぐりを頬に溜めるリスのようだ。

「ただの調査よ。最近この辺りで変な現象が起きててね」

「新米の俺たちに任してもいいんですか?」

「このギルドでレベル3のクエストをクリアしてましてや母鳥を倒す人なんてそういないもの」

お姉さんはくすくすと笑った。そういえばお姉さんの名前はなんて言うのだろう。聞いてみよう。

「あの、お姉さんって名前はなんて言うんですか?」

「私?私はミサミサ。ミサさんでいいわよ。一応ここのギルドマスターなの」

ミサさんはふふふと笑った。やっぱ綺麗な人だな。ミサさんがいいならどストライクなので交際申し込みたい。

「わかりましたミサさん。明後日またここに来ます

「ええ、待ってるわ」

■筆者メッセージ
募集中というサブタイトルです^^*

しばらく更新日に間が空くと思いますが、よろしくお願いします。
( 2018/10/31(水) 09:10 )