いつの間にかの恋心










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第八章
黒幕の正体は危険人物?
「わ、渡辺さん?」

俺達の目の前に立っていた人物とは夏休み明けにこのクラスにやって来た二人の転校生の内の一人・・・渡辺さんだった

夏休み明けに来た、二人の転校生とはとくに喋っていない上に、渡辺さんは島崎さん以上に会話もしていなかったので、あまり性格なども分かっていない・・・
だが、少なからず自己紹介の時を見ていた限りではちょっと変わり者である

「渡辺さん・・・じゃなくて前にも言った通り、私の事はまゆゆって呼んでくださいね」

俺に"渡辺さん"と呼ばれたのが気にくわなかったのか、渡辺さんは自分の事を"まゆゆ"で呼ぶように、と俺に言ってきた・・・
本来ならば、ほぼ初対面の相手をあだ名で呼ぶのはどうかと思うのだが、多分俺が"まゆゆ"と呼ばなければ物事が先に進まないと咄嗟に感じとった俺は渋々まゆゆと呼ぶことにした

「あ、そう・・・うん、まぁ今後はそう呼ぶようにするよ・・・まゆゆ」

「そうです、それですよ、今後も私の事はまゆゆと呼んで下さいね」

何とかまゆゆの機嫌を直すことには成功したのだがしかし、今の俺達からしてみれば、この教室に渡辺さんが居ようが居まいが、渡辺さんをまゆゆと呼ぶかどうかそんな事はハッキリ言ってどうでもいい
今、気になっているのは篠田先生の所在である

「あのさ渡辺さん、さっき篠田先生がどうのこうのって言ってたけど、篠田先生って今どこに居るか分かる?」

「だ〜か〜ら、渡辺さんじゃなくて"まゆゆ"ですってば!」

先程、"渋々まゆゆと呼ぶことにした"と決めたにも関わらず、また渡辺さんと呼んでしまった・・・

「ゴメン・・・ じゃ、じゃあまゆゆは先生の居場所知ってる?」

「はい、知ってますよ だって私、ついさっきまで先生とここで話してたんですから」

この答えを聞くや否や、珠理奈は何かを覚ったのか、先程までの和やかな表情を一変させて真剣な面持ちへと変化した
そして少しうつ向き加減に何かを考える様に顎に手をあて数秒後、考えがまとまったのか、ずっと閉じ続けていた口を開いた

「まゆゆ・・・間違ってたら悪いんだけどさ、もしかして篠田先生と話してた内容って優子ちゃんの話じゃないよね?」

直球過ぎる珠理奈の質問に、一瞬だけだが辺りの時が止まった様に静まり帰った
沈黙の中、珠理奈の言葉に反応してかまゆゆの表情が今までアイドルの様に明るい笑顔を振りまいていたのが嘘の様に徐々に暗く、闇に包まれるようになっていった
目を大きく見開き、口角を上げて・・・まさしく狂ったような表情である

そして長い沈黙を破ってまゆゆはこう言い放った

「ニャハハハハ・・・何だ、珠理奈ちゃんは本当に勘が鋭いニャ」

狂った様な表情や、"ニャハハハハ"と笑う言葉がどこか不気味で、俺は少し身震いがしたのをおぼえた
そして質問をした、珠理奈もその場から一歩、二歩と後退りをして少し震えた声でまゆゆにまた訊いた

「え、じゃ、じゃあ本当にまゆゆは先生と優子ちゃんの話をしてたの?」

「ニャハハハ、正確に言うとちょっと違うニャ・・・まぁこの事は私が説明するのもなんだし、ここは篠田先生に答えてもらった方が早いんじゃ無いかニャ・・・」

まゆゆがそういい終わるのが先だったか、教室の扉が開くのが先だったか・・・兎にも角にもほぼ同時のタイミングで教室の扉が開き、篠田先生が姿を現した
が、しかしその先生の表情はどこか落胆している様に感じられた・・・

「篠田先生・・・」

つづく

■筆者メッセージ
"物語が暗いトーンだとテンション、下がるな〜"
と思いながら書いている筆者であります
(早くこの章を終わらせたいのにそういう時に限って、忙しい・・・)

それでも年内中にはこの物語を完結させたいですがね・・・
(因みに完結まであと9話・・・あれこのペースだと間に合わないか・・・)

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ラキ ( 2013/12/08(日) 14:56 )