いつの間にかの恋心










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第八章
本当の黒幕
その頃学校では・・・

篠田side

昼間は30人以上もの生徒達で活気に溢れていたこの教室もこの時間となっては私と一人の女しか残っておらず、静まりかえっていた
その中で私は静寂を破り、女に一つの問いをぶつけた・・・

「そろそろ珠理奈ちゃんには私が裏で糸を引いてる事がバレそうだけど・・・いいの?」

すると女はただでさえ口元が緩んでいたのにも拘らず、その口元を更に緩め、また目を大きく見開き、私にこう言い返してきた

「ニャハハハ、それで良いんですよ篠田先生 これで二人は先生を黒幕だと完全に信じ込む・・・そうなればいよいよ私が三人の間に入り込んで、今度は完全に三人の友情関係を粉々にする・・・そういう作戦だって前に言ったじゃニャいですか・・・ニャハハ」

私を完全な黒幕キャラに仕立て、その上で自分はハルキ君たちの味方を装い接近、そして不意を衝いて三人の友情という名の、今まで築き上げてきた塔を一突きで崩壊させる
残酷過ぎる話であった・・・

それでも私は相手に合わせて不敵な笑みを浮かべた
もし"何故笑みを浮かべるのか?"と周りの人間に聞かれれば、私は"自分の身を守る為"と答えるのだろう
そもそも私がこの女の味方・・・と言うよりかは手下の様になったのは私が過去に犯した過ちをこの女に知られてしまったというところから始まる・・・

もしこの女が今すぐにでもその事を口外すれば、私はこれまでの人生で培ってきた全ての物を失う事だろう・・・

"だから私は自分の名誉を守る為にこの女に・・・生徒達の友情を売った"

(最低な先生でごめんね、ハルキ君、優子ちゃん、珠理奈ちゃん・・・)

私は心の中で三人に謝った・・・が、その言葉は決して口に出しては言えない・・・
口に出して言える言葉は私が微塵にも思っていない、最低過ぎる言葉ばかり・・・

「フフフッそうだったわね、もう少しであの子達の関係が崩れる・・・その時の三人の表情・・・それを見るのが私の唯一の幸福だもの・・・フフフッ」

そう言い終わると私は自分が言った言葉に対し、耐え切れなくなり今にも涙が出てきそうになった
しかし、"この女の前で涙を見せる訳にはいかない"その一心だけに集中して涙を堪えて、平然を装い"少しトイレに行ってくる"と言い残して教室から出ることにした

廊下を歩く中でさっき酷い事を言ってしまったのに追い討ちを掛けるように、ハルキ君や珠理奈ちゃん、そして何より優子ちゃんの笑っている顔が脳内にフラッシュバックされ、瞳からは数えきれないほどの滴が頬を伝って流れていくのが分かった・・・



ハルキside

15分を掛けて学校へと珠理奈と共に戻ってきた
これを機にもしかしたら優子の謎の不登校の真相が分かるかも知れない・・・
その一心でここに戻ってきたつもりだったのだが、改めて考えてみるとそれはつまり今まで信用していたはずの篠田先生の裏の顔を探るという事でもある・・・
俺は"優子を救ってあげたい"と思う傍らで"珠理奈の予想が外れていて欲しい"と思っていた

「ねぇハルキ、今の時間だと篠田先生ってどこに居るのかな?」

不意に珠理奈に篠田先生の居場所を聞かれ、確かに今の時間帯は先生はどこにいるのかは直ぐには分からなかった

「ん〜? どうだろうな・・・俺達の説教が終わった後に、"教室でやり残した事がある"って言ってたから、まだ教室の可能性もあるけど・・・」

結局、話し合ってもあまり良い結論には至らず、まだ可能性があるという事から俺達はまず教室へと向かった



教室の扉を開けると、電気は消えており薄暗く、その上篠田先生の姿はそこには無かった・・・
しかしその代わりにある人物が教壇の上に座っていた

「あれれれ、てっきり篠田先生が戻ってきたと思ったのに・・・ハルキ君と珠理奈ちゃんじゃないですか・・・」

教壇の上に座っていた人物は軽く微笑すると教壇の上から降りてこちらに向かってきた
教室内が薄暗かった事もあり、教壇の上にいた時は誰だかが判別できなかったが、徐々に近づくにつれ、その顔は鮮明に確認できた

「わ、渡辺さん?」

つづく

■筆者メッセージ
"文章は長い割に全然ストーリーが進まない"
と一人悩んでいる筆者であります

この暗い展開を早く打破しようと毎話必死になって進めているのですが、あと2話ほどはこのテンションです
この一連が終わったら、ようやくまた恋愛に戻りますのでそれまでもう暫く、ストーリーが進むのを見届けて頂ければ幸いです
(つまらない展開ばかりで本当にすいませんorz)

それとつまさきさんコメントありがとうございます!
今後も頑張っていきますので引き続き応援のほどよろしくお願いいたします

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ラキ ( 2013/12/05(木) 14:56 )