いつの間にかの恋心










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第七章
いつの間にかの恋心その3
優子side

「はぁ〜、篠田先生に言い切っちゃったな・・・どうしよ・・・」

独り言を呟きながらながら、私は教室の扉を開けた
すると、てっきりもう教室には誰もいないかと思っていたのに今日もまた一人静かに真剣な面持ちで本を読んでいる生徒がいた

「ぱるる、今日もまたその本読んでるの?」

昨日と同じく電気を付けると、二日連続の出来事で流石に昨日よりは驚いていないもののまた今日もぱるるは"ビクッ"と体が動き、慌ててこっちを向いた

「・・・優子さん、どうも」

「あ、またビックリさせちゃったね・・・ゴメン」

「いえ・・・あ、それよりも、もし良かったら今日も私と一緒に帰りませんか?」

「・・・うん、いいよ」

今日の登校が久々に一人だった事もあり、私は正直嬉しかった
それと同時に私には一つの疑問も浮かび、ぱるるに直接聞いてみる事にした

「もしかして私の説教が終わるの待っててくれたの?」

昨日は偶然、私の説教だけ短かったからまだ帰っていなかっただけであろうが、流石に今日は30分以上も掛かっていた為、偶然と言う訳ではないだろう・・・

「はい・・・あ、もしかして待ってたら迷惑でしたか?」

私は"待っててくれてありがとう"という意味を込めて聞いたつもりだったのだが、ぱるるは私が怒ってしまったのかと勘違いしてしまった様だ・・・

「ううん、全然そんな迷惑何かじゃないよ 逆にありがとう」

私がそう言うとぱるるは昨日も見せてくれた満面の笑みで笑ってくれた
こうして私とぱるるは二日連続で一緒に下校する事になった



二日連続の下校ではあったが、初めて一緒に下校した昨日とは違い、今日はかなりぱるるも喋っている間にタメ口も増えていき、ようやく友達らしい会話になっていった
そして、もうそろそろでぱるるの家近くという所でぱるるがいきなりこんな事を言ってきた

「あの優子さん、ちょっと良いですか?」

そう聞いてくるぱるるの顔は少し強張っていて何かを考えているようだった

「どうかしたの、ぱるる?」

私がそう聞くとぱるるはもう一度大きく考え込んだ後、ようやく口を開いた

「あの・・・盗み聞きはいけないと思ったんですけど、あまりにも優子さんが職員室から帰ってくるのが遅かったから、職員室に行ったんです・・・」

「それで?」

「そしたら篠田先生と優子さんの会話が扉越しに聞こえていて、その中で優子さんが磯貝君の事が好きって事を聞いちゃったんです・・・」

「え」

ぱるるにはあの会話を聞かれていたらしい・・・

「で、優子さんは磯貝君を手に入れる為に磯貝君と松井さんに嘘を付いたんですよね」

「うん・・・」

全て聞かれてしまった上では最早、嘘は付けない
私はこれからぱるるに何を言われても絶対に正直に答えようと思った
が、しかし・・・

「って事はですけど・・・優子さんのしている行為ってつまりは親友であるはずの松井さんと磯貝君の二人を裏切る事と同じじゃないんですか?」

「・・・」

私はさっき"絶対に正直に答える"と決めたのにぐうの音も出なかった
何故なら、ぱるるの発言はある意味正当なもので、
人の彼氏を自分の物にしたいが為に、ありもしない嘘を付き、尚且つその二人というのが親友であるならば、裏切りと言われてもしかたがないからだ
私はつい30分前に自分で篠田先生に結論を言ったはずなのに、その答えを今更悔やんでいる・・・いや"悔やむ"なんて言葉だけでは収まらないけれど・・・



結局その後は私とぱるるは一言も喋らずに別れた・・・
が、私は別れた後もぱるるの言葉が歩を進める度に蘇ってくる
"松井さんと磯貝君の事を裏切る事と同じじゃないんですか?"

(裏切る訳じゃない・・・でも、だったら私はどうやってこの気持ちをハルキに伝えればいいの・・・)

私はこの時にようやく気付いた・・・いや気付けた
自分の気持ちは人には決めてもらえないと・・・
結局のところいくら先生などに相談しても、いくらアドバイスをもらおうとしても、最終的に決めるのは私の・・・いや上っ面だけの私では駄目だ・・・
決めるのは私の"本心"であると・・・

つづく

■筆者メッセージ
"う〜ん"
書いている途中で話が詰まってしまい更新時間がいつもと1時間違ってしまった筆者であります

物語の方はもう三回目になった"いつの間にかの恋心"、つまりは第七章のラスト話になります
次回からは第八章でいよいよ物語も終盤へ…
ハルキのハートを射止めるのは珠理奈か優子かそれとも黒幕のあの人か?

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(指摘、ダメ出しコメントをする際はどこが悪いのかをしっかりと明記していただくようにお願い申し上げます)
ラキ ( 2013/11/23(土) 15:57 )