第一章
松井って誰?
秋元は俺の前に仁王立ちすると今一度口を開いた

「君はお爺さんの伝手でこの会社に入ってきたそうだね…」

秋元の言葉には一つ一つ棘があり、俺からすると良い様には聞こえなかった
確かに俺は祖父の伝手を頼りにこの会社に就職した
しかし別に俺は祖父の伝手を最初から頼りにして努力しなかった訳ではない
どころか祖父と祖母に迷惑をこれ以上掛けない為に人一倍努力して頑張ってきたつもりである
ただまぁ、そんな事を知るよしもない人達からしてみれば俺の現状はあまり好ましくは無いのだろう…

「まぁいい 一応、君には今日、これからマネージャーの仕事を始めてもらう…」

「はい」

短く返答をする
こういう人間には反論をしても無駄だろうし…というかここでこのお方に何かを言えば、まずクビだろうけど…



3分ほど経っただろうか
秋元は"マネージャーの仕事を始めてもらう"と言い終わり、もう一度椅子に腰をかけなおした後一言も喋らなくなってしまった

何を待っているのかも分からずに、しかし俺が座る訳にもいかない為に立ち続けて待っているとようやくこの部屋の扉がノックされてある人物が入ってきた

「遅いぞ松井、何してたんだ?」

「あ、すいません 会議室の方かと思って…部屋を間違えてました」

秋元に"松井"と呼ばれたその女の声は少し掠れた様な独特の声をしていた
しかし、俺が何よりまず驚いたのはその声の事よりもその女の顔であった
それは見間違えも無く、さっきエレベーターに一緒に乗っていたあの女であった

「落合、お前がマネジメントする相手がこの松井だ…知ってるだろ?」

秋元の言葉を聞く限りだと、隣に立つ松井という女のマネージャーを俺は請け負ったらしい
がしかし、後半の"知ってるだろ"という言葉に俺は合点がいかなかった
秋元はかなり自信を持ってそれを言っている様だが、ハッキリ言って俺は一切この女の事が分からない
昔からあまりテレビを見ていないせいもあるし、その上ここ最近では勉強が忙しくて、見ているのは毎日7時のニュースぐらいだから当然芸能人などはあまり知らない

「えっと、すいませんが分かりません」

嘘を付いても仕方がないので、正直に答えた
するとその言葉を受けてか、秋元の顔が徐々に暗んでいったのだった

つづく

■筆者メッセージ
"全然話が前に進まない!"
と思って、早くストーリーを進めたい筆者であります
(次話から本格的に始めますorz)

因みにもうストックが切れたのでここからは今から書きますw

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ラキ ( 2014/01/06(月) 17:56 )