第二章 出会いは突然
心強い人

昼休みの時間。

何故か大輝と彩は二人で昼食を食べていた。

「明音とか花音たちは、今日は別のクラスのやつと食べるって。」

「そうか。二人切りやね。」

「うん。」

…………

二人は着々と弁当を食べ進めて行き、会話は食べ終わるまでほとんど無かった。

「あれ?山本さんって……」

「どうかしたん?」

「意外と喋らないんだね。」

「そ……そう?別に普通な方やと思うんやけど。」

彩は話ながらギターをケースから取り出した。


彩はギターを持つとすぐに運指の練習を始めた。

「やば、かっこいいな。」

「アンプ無いから音出えへんよ。」

彩がそういうと大輝は昨日の昼休みに聞いたギターの音を思い出した。

「昨日音出てたじゃん、ジャーンって。」

「昨日のはアコースティックやからな、今日のはエレキでアンプでやるやつなんや。」

サッカー頭の大輝には彩の言うことはイマイチ理解出来なかったが、ギターには種類があるという事は分かった。

それから彩は大輝をそっちのけに黙々と練習をしていた。

(めっちゃ真剣な顔してる。)

大輝は彩の表情を見て、少し笑みを浮かべた。


「山本さんって、いつもそうやって練習してるの?」

「そうやで。私、下手やからたくさん練習せんと。。」

彩はそう言いながらギターを下ろして、スタンドに立てかけた。

「私、将来はプロのバンドメンバーになりたいねん。」

「へぇ。」

「あはは。笑ってまうよな、私みたいな人が……」

彩は少し俯いている。

「そんなこと無いって、言いじゃん、頑張る目標があって。山本さんとは今日話し始めたばっかりだけど、めちゃくちゃ応援したいよ。」

「大輝くん……ありがとう。(私の夢、真剣に受け止めてくれたの初めて…)」

「いやいや、何だか山本さんには凄く共感出来るっていうか、、俺、もっと山本さんのこと知りたいよ。」

彩の目は何故か少し潤んでいた。

「そういって貰えるの初めてや……、何か凄く嬉しい。私も大輝くんのこともっと知りたい。」

微笑み合う二人。純粋に理解し合える友達になった瞬間だ。


そして大輝はついに人生初めての事をしたのだった。

「山本さん、アドレス教えてよ。」

女子からアドレスを聞き出すのは大輝にとって初めての事だった。

別にたいしたことではないが…

「うん!私も大輝くんのアドレス知りたかったから丁度よかったな。」

二人はアドレスを交換した。


「よろしくね、大輝くん!」

「うん。てかさ、大輝でいいよ。」

「あ、そうなん?私あんまり男子と喋らへんから。」

「そんな感じするよ。」

「ははは、ばれてたか……、私の事もよかったら名前で呼んでくれてもええよ?」

「分かった。なるべく彩って呼ぶようにするよ。」

この日の昼休みが大輝と彩が仲良くなるきっかけとなったのだった。


そして昼休みが終わり、午後の授業はほとんどの生徒が昼食後の眠気で睡眠学習をする中、新学期二日目の学校も放課後になっていた。


バステト ( 2013/11/11(月) 10:49 )