【訓練】
07
相手が振り回す剣を躱し、距離を取った奈和は、短剣を取り出した。

相手と鍔釣り合いをし、相手の腕を振り上げた由依は、身体を時計

回りに回転させ、華麗に相手の顔面へと後ろ回し蹴りを放った。

勇介は、相手の剣から逃げ回り、隙をついて攻撃をしたが、防がれた。

互いに3組共、距離を取った。
それぞれ武器を構え、目の前に居る敵を睨んでいる。

その時、茂みから、もう1人姿を現した。
全身を包む白いロングコートを身に纏い、白く長い槍を右手に持ち、左耳にはイヤリングをしている男だった。端正な顔つきであり、若そうだ。


「もういい。辞めろ」


すると、3人を攻撃していた忍達は、武器を収めた。素早く男の後ろで横一列に並んだ。
男は、勇介達に近づき、目の前で立ち止まった。無言で3人の顔を見渡し、勇介の持つ魔戒剣に目が留まった。


「紅い鞘。黄金騎士だな」


「そ、そうだけど……」


「ふんっ。こんな若造が牙狼の称号を受け継ぐとは、歴代の黄金騎士が聞いてるな」


「な、なんだと!?」


自分よりも若そうな男に挑発され、流石の勇介も切れそうになった。


「お前、何様だよ!」


「俺は、山刀翔」


その名を聞いたザルバが、口を開いた。


「お前さんが、白夜騎士だな」


剣を収めた由依は、翔を凝視した。


「あんたが、白夜騎士」


「お前は、灼熱騎士だな?」


「光栄やな。私の事を知ってるなんて」


「ひ弱な女が騎士など、俺は認めないが」


ムッとした由依から視線を逸らし、翔は勇介の前に立った。


「貴様、歳は幾つだ?」


「16。お前は!?」


強気な勇介。


「18だ」


「し、失礼……」


まさか歳上だとは、思っていなかった。年齢の割には、若く見える。


「黄金騎士。その実力が本物かどうか……試させてもらうぞ!!」


「!?」


間一髪、翔の振り回した魔戒槍を躱した勇介は、距離を取った。


「おいおい、いきなり何をする!?」


勇介も、ザルバと同じ事を聞きたかった。


「問答無用。怯えるのであれば、今すぐ鎧を返還しろ!」


翔は、右の人差し指と中指で、左耳のイヤリングを弾いた。

すると、翔の前に無数の石が浮かび上がった。
襲いかかってきた石を鞘で弾く勇介は、一気に剣を引き抜き、先端を向けた。


「不意打ちするとは、魔戒騎士の風上にも置けないな!」


「フッ。随分と大口を叩くようになったな、小僧」


「うるさいなぁ……」


「何をゴチャゴチャ言ってる!?」


勇介は、翔を見た。
鋭い眼光で見ている翔。負け時と勇介も、睨み返した。


「どうやら、本気を出す必要があるようだ」


翔は槍を掲げ、円を描いた。光り輝く円の中から、白い鎧が舞い降り、翔の身に纏った。

白夜騎士打無(ダン)
魔戒槍は穂先の部分が大型化し装飾の施された白夜槍となり、牙狼とは異なった牙の露出しない口元と、深紅の背旗を装備しているのが特徴的だ。


「勇介、お前さんも鎧を召喚するんだ」


「よぉし、任せろ!」


魔戒剣を掲げ、円を描いた勇介は、鎧を召喚した。
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黄金騎士 ( 2014/07/09(水) 18:42 )