【訓練】
04
背後に見えるボルシティが、どんどん小さくなっていく。名残惜しそうに見てる勇介は、前を歩く奈和に声を掛けた。


「なぁ奈和」


「なに?」


「俺、思ったんだけど」


「何を?」


「魔戒法師って、何処に居るの?」


「さぁ」


旅はまだ、始まったばかりだ。勇介は奈和に質問したが、まずは魔戒法師の居場所を知る必要がある。


「それよりザルバ、魔戒って気持ち良いとこね?」


笑顔の奈和は、軽く伸びをした。

2人の魔戒というイメージは、空は黒く、自然などない悪魔が住んでいる場所だと思っていた。
だが現に2人が居る魔戒は、空は青く、耳を澄ませば小鳥の囀りも聞こえてくる。
歩いている一本道の両脇には、野生動物が芝生の上にちらほらと居る。


「嘗て、この魔戒に光を齎らす者が現れた。それ以来、このように住みやすい世界となったんだ」


「それって、もしかして!」


勇介だけでなく、奈和も勘付いている。


「あぁそうだ。黄金騎士、牙狼だ」


勇介と奈和は、改めて牙狼の偉大さを知った。


「だが気を付けろ。住みやすい世界になったとはいえ、ホラーは現れる。周囲に気を配る事だな」


その途端、2人の前に暗黒の光が現れた。その中から、絵に描いたような悪魔が出てきた。人間に憑依する前の素体ホラー達だ。


「早速、お出でなさったな。2人共、修行の成果を見せてみろ!」


勇介は魔戒剣を勢いよく鞘から抜き出し、左足を前に右手で持つ剣を下に向けた。
奈和はホルスターから魔戒銃を取り出し、銃口を向けた。

雄叫びをあげ、魔戒剣を持つ右手を左肩の前に当て、勇介は走り出した。
奈和はそれぞれ1発ずつ発砲し、天高く飛び上がった。

勇介は、1体のホラーに剣を振り下ろし、奈和はもう1体のホラーの背後に周り、上段蹴りを放った。
それぞれホラーとの闘いを繰り広げる中、すぐ側には人間に憑依したホラーが迫っていた。

人間の姿に化けている。


「おい、そこのホラー」


アズダムが振り返ると、顔を右斜め上から斬りつけられた。
アズダムを蹴り飛ばし、空中で後方に一回転してから着地した由依は、魔戒剣の先端をアズダムに向けた。


「魔戒騎士は、牙狼だけやないで!」


由依は自分の背後に、魔戒剣で円を描いた。右足を一歩前に出し、身体を横向きにした。視線はアズダムに向けられている。
光り輝く円が前進し、頭から由依を潜らせた。
すると、由依の身体は赤い鎧に包まれた。灼熱騎士、夜射刃となった。


「あんたの陰我、私が断ち切る!」


由依は魔導火を剣に灯し、目の前で十字を切った。魔導火はアズダムへと向かって行き、十字に斬りつけた。

黄金騎士 ( 2014/07/08(火) 20:33 )