【訓練】
03
日が登り、勇介と奈和は杏奈に見送られながら、出発する事にした。


「お世話になりました」


頭を下げる2人に、杏奈も頭を下げた。


「いいえ。また是非、いらしてください」


子供達は笑顔で手を振りながら、2人を見送った。

まず最初に2人が向かったのは、バトルコロシアム。武器の使い方を学ぶ為に。

案内人に訓練場へと案内された2人は、魔戒銃の使い方を学んだ。
奈和は抜群のセンスを見せつけ、全弾を的の中心に的中させ、勇介も奈和には劣るが、中々の腕前だった。シューティングゲームで鍛えた甲斐があったと、ホッとしている勇介だった。
一通り、武器の使い方を教わった2人は、実践練習へと移った。

闘技場には、2頭の黒いドラゴンが、檻に閉じ込められていた。ただのドラゴンではない。ホラーだ。


「安心しろ。危険な時は、我々が助ける」


それを聞いて安心した奈和は、先に体験する事にした。


「奈和、気をつけてよ」


顔を振り返らせた奈和は、微笑みながら頷いた。
フィールドに入ると、出入り口の門が閉められた。

奈和を見たドラゴンは、雄叫びを上げた。その声は街中に響き渡りり、今この場で行われている事が何なのか、直ぐに察した。


「それでは、始め!」


ビーっというブザーが鳴ると、ドラゴンを閉じ込めている檻が開いた。
2頭のドラゴンが、一斉に奈和へと襲い掛かった。

弓を構えた奈和は、一本の矢を右側にいるドラゴンに向かって放った。矢は黄色く光り輝き、ドラゴンの眉間を貫いた。
唸り声をあげ、ドスンっと倒れたドラゴンは液体となり、消え去った。


「よしっ!」


「奈和、危ない!」


振り返った奈和の目の前には、もう1頭のドラゴンが迫っていた。
天高く飛び上がった奈和は、空中でクルッと後方に一回転し、ドラゴンの上に着地した。腰に装着している2丁の魔戒銃を取り出し、ドラゴンの頭に無数の弾丸を撃ち込んだ。

ほんの数分で、奈和はドラゴン2頭を倒してしまった……。

呆気にとられる勇介と見張り番。奈和は余裕の表情で、戻って行った。


「さっ、次は勇介の番だよ」


「わ、分かった……」


緊張している勇介は、右手と右足を同時に出しながら歩き出し、フィールドの中に入って行った。門が閉められ、床が両方に開き、檻に入ったドラゴンが2頭、運ばれて来た。


「ゴクッ……」


「勇介、しっかりしろ。お前もやれる」


「う、うん……」


勇介の目付きが変わった。魔戒銃を抜いた勇介は顎を引き、先端をドラゴン達に向けた。

開始のブザーが鳴った。ドラゴン2頭が一斉に襲いかかってきた。勇介はしゃがみ込み、勢いをつけて飛び上がった。空中で前方に一回転し、1頭のドラゴンの眉間に魔戒剣を突き刺し、魔戒銃を取り出した。顔面に全弾を撃ち込み、右足で顔を蹴り飛ばし、剣を引き抜いた。後方に回転し、着地をした勇介は、倒れ込んだドラゴンを見た。

ゆっくりと振り返った勇介は、もう1頭のドラゴンを見た。勇介に向かって雄叫びを上げている。


「勇介、鎧を召喚しろ。牙狼の力を見せてやれ!」


「よっしゃあ!」


勇介は魔戒剣を頭上に掲げ、円を描いた。
光り輝く円の中から、黄金の鎧が舞い降りて来た。

建物の屋根上から、闘技場を見下ろしている由依は、初めて目にした黄金騎士、牙狼に感極まっている。
先代、夜射刃の師匠である牙を倒した、黄金騎士。
由依には、そのイメージが強かった。


「黄金騎士、牙狼か……」


ロングコートの裾と共に髪を風に靡かせる由依は、現在の黄金騎士の戦いを観戦する事にした。

雄叫びをあげ、牙狼に向かって走り出したドラゴン。牙狼は天高く飛び上がり、空中で後方に一回転し、牙狼剣を掲げた。

すると、牙狼剣が光り輝き、大剣へと姿を変えた。

落下に沿って大剣を振り下ろし、ドラゴンの巨体を真っ二つに斬り裂いた。

着地した牙狼の後ろでは、ドラゴンが消滅した。

鎧を返還した勇介は、鞘に剣を収めた。

訓練を終えた勇介と奈和は、コロシアムから出た。


「はぁ。怖かった……」


「でもまぁ、無事に終わったし、いいじゃん」


奈和は、勇介の肩をポンポンっと叩いた。


「これで実戦練習は完了だ。後は2人のキャンプ用具が必要だ。奈和はテントを、勇介は食料を用意するんだ」


ザルバに言われた通り、2人は動いた。

1時間後、2人は街の門前に集合し、札を作った魔戒法師を捜す旅に出た。

黄金騎士 ( 2014/08/01(金) 11:36 )