02
ザルバから、魔戒の事についてを聞く2人は、ザルバの前で椅子に座り、ファーストフード類を食していた。
「ホラーが出現するのは、お前さん達、人間が原因だ」
口の中一杯にハンバーガーを詰め込んだ勇介の隣で、奈和が繰り返した。
「人間が?」
「あぁ。人間の心に邪心がある限り、ホラーは永遠と出現する。だが昔、ある魔戒法師が人間の邪心が永遠と生まれないよう封印する札を作り上げた」
それと共に、魔戒法師も、魔戒騎士も鎧を返還し、人間界から姿を消した。
2人が行ったあの洞窟は、その為の儀式が行われた場所だった。
「じゃあ、私達が封印を解いちゃったの……?」
「お前さん達、壺を割っただろ?」
ぎくっとした図星の勇介は、ハンバーガーが喉に詰まった。
急いで飲み物で流し、咳き込んだ。
「どうやら、お前さんが割ったようだな。あの壺には、札が入っていた。壺が割れる事で、札の封印が解けたようだ」
「ご、ごめんなさい……」
途轍もなく大きな責任感を感じる勇介は、口癖である言葉を口にしていた。
漫画のように全身が真っ白になってしまった勇介を冷めた目で見た奈和は、前のめりになりながらザルバに質問をした。
「その封印は、どうやったら元に戻せるの?」
「難しい質問だな。そうさな……誰かがまた、その札を作るしかないだろう」
「そんなぁ……」
人間界に居ない魔戒法師を捜すなど、無理な話だ。
だが、ザルバは可能だった。
「お前達、人間界を救う気はあるか?」
奈和は即答だった。自分達が招いた大惨事に、責任を感じているからだ。
その横で答えを迷っている臆病者の勇介も強制的に承諾させた。
「なら、魔戒に行くぞ」
「魔戒?」
「あぁ。そこの何処かに、その魔戒法師が潜んでいる」
手に付いた油を舐めとった勇介は、勢いよく立ち上がった。
「よし、捜しに行こう!」
特撮だけでなく、ゲームも大好きな勇介は、冒険が出来るという事で、やる気が出た。
「だがその前に、準備が必要だ」
ザルバは2人に、自分の言った必需品をメモさせた。
魔法衣。通常の人間がホラーの返り血を浴びてしまうと、100日後に死んでしまう。それを防ぐ為の服だ。これは魔戒で手に入れるしかない。
次に、行動するのに必要な資金。魔戒といえど、金は人間界と変わらないようだ。
最後に武器。これは勇介のみである。
「でもさユビワ、俺達が魔戒に言ってる間、両親とか心配するよ?」
「安心しろ。その間は、お前達の事は記憶から消えているようになってる」
「じゃあ勇介、早速準備するよ!」
「うん。支度してくる!」
勇介は勢いよく、部屋を飛び出して行った。